みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

箕面の山で鹿に会う

先週、箕面の瀧を歩けなかったので、今日はその分も含めて、瀧の上の大日の駐車場(いつもながら缶ジュースや煙草、コンビニ袋などゴミを捨て帰るのはいい加減にしてほしい)から天上ヶ岳(役行者が昇天した処らしい)まで登ることに。
暴風のためかかなり大きな枝も落ちている細い山道には、気の早い落ち葉も目に付く。
一年くらい前に登り始めた頃は、この辺りでヒイヒイいっていたが、それは単に歩き方を知らず、滅多矢鱈に飛ばしていたからで、最近は腰から下にとにかく力を溜めながら小刻みに歩けば、この程度なら全然大丈夫と発見した。
雨がふりそうだったので天上ヶ岳に着いてとんぼ返りでくだり始めた時、目の前の潅木が不自然に揺れるのに気がついた。
ほとんど同時に何かいるのだと確信して、足を止めて樹々の間を見ていると、大きな雄鹿がじっとこちらを見ていた。箕面の山といえば、言うまでも無く猿なわけだが、鹿も同じくらい親しみのある動物で、瀧道によく降りてくるので、遊歩者の楽しみにもなっている。姿を見せないときでも、朝など瀧の上へいく九十九折などを歩くと、路面に彼らのした黒く丸い糞が大量に残されていて、その強烈な臭いはとても愛嬌があるとは言えないけれども、とにかく彼らの存在を感じることはできる。
運よく、鹿の姿を見ることができるときでも、ほとんどは滝道の十数メートル上の斜面からこちらを見下ろしている格好なのであって、これほど近くでしかも鹿と自分しかいないというケースははじめてだった。
5メートルくらい離れていただろうか。
茂みが揺れるのに気付いたのと同時に、鹿特有の臭いがしていたから、すぐに何かいると思ったのだ、ということに鹿と向き合いながら思い至った。
こちらもしゃがんで、一分くらいまじまじと観察し合っていたが、雨のひとしずくを顔に感じて、腰を上げた瞬間に、そこだけ白い毛を生やした尻をプリッと向けて走り去ってしまった。わけもなく負けたような気がした。
帰りはなんとか降られずに済む。今日は朝から降りそうで降らない日だ。