みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

和書

フェリックス・ガタリのインナーマッスル :山森 裕毅 『スキゾ分析とリトルネロ』を読む

ここ数年、ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの二人に関しては『ドゥルーズ・ガタリの現在』『交差的評伝』が翻訳出版されたり、特にガタリに関しては『アンチ・オイディプス草稿』や『精神病院と社会のはざまで』が翻訳されたりして、文献の数もドゥ…

『青きドナウの乱痴気―ウィーン1848年』良知 力

読了。 数年前、京都の「砂の書」店長の寺井さんから、「あとがきだけでも読んだほうがいいよ」と薦められて購入して積読していた書。平凡社ライブラリーになっているのは知っているがこれは単行本。 だいぶ良くなってきた右足とはいえまだまだ瀧道歩きなど…

本厄耳瞬日乗⑥

なんか淡々としてきましたが…。6月25日(火) お昼に中華レストランから出るときに、めくれたドアマットに怪我している右足の先をひっかけて、さらにぐねってしまう。涙出る。 山森さん著書のガタリ論文、付箋を貼りながら読み終わりかけ。面白い。ガタリ…

本厄耳瞬日乗⑤野ざらし骨釣りスローなカセット

6月18日(火) 松葉杖をやめてステッキにして一週間ほど経過。だんだんステッキなしで室内なら歩けるようになってきている。少しずつ復調しつつあることを実感。 早く普通に歩きたい。千里の丘陵を歩いて越えていきたいんです。6月19日(水) 山森さん…

高嶋進『ジァンジァン狂宴』

ジァンジァン狂宴作者: 高嶋進出版社/メーカー: 左右社発売日: 2013/04/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る読了。 自分が立ち上げた聖域に、自らの手でトドメを刺すこと。実際に店舗の取り壊しに向けて高ぶっていく描写は…

本厄耳瞬日乗④非そも論 とその他のはなし

6月7日(金) 風邪をひく。喉の痛みからきて、猛烈にだるくなる。誰からもらったのかはわかっている。会社で背後に座っているユニットマネージャーである。彼も先週変な声をしていた。 * 突然、わけのわからない以下の義憤(熱のせいだろう)。 「そもそ…

本厄耳瞬日乗③6月のホケトゥス

5月28日(火)John Russell×豊住芳三郎 & .es(ドットエス)@中崎町コモンカフェJohn Russellと豊住芳三郎さん。 昨年夏にロンドンのVortex Jazz Clubでも堪能したこのデュオ。 こんなに早く日本で観れるとは…。 共演の .es(ドットエス)のお二人から一…

本厄耳瞬日乗②

5月7日(火) 世間はGW明けですが、お休みをいただいて、病院へ。 レントゲンを再び撮ってもらうが、ヒビの黒いクレバスみたいな影は変わっておらず、少し縁に薄いもやがかかってきた程度。やはりあと、2か月くらいはかかるだろうとのこと。ギブスは外…

本厄耳瞬日乗①

この1月〜5月までに行ったライブや日記の書き漏らしの、IphoneカレンダーやTwitterの呟きを掘り起こしつつの、思い起こし、接ぎ木、になります。ずいぶんたまったものです。 最近、体験が書き言葉になるのに時間が少しかかるようになっているなあとは実感が…

高橋アキ『パルランド』、モートン・フェルドマン

パルランド 私のピアノ人生作者: 高橋アキ出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2013/01/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る世界的なピアニスト、高橋アキ氏の自伝的本が店頭に並んでいた。 インタビュー形式で生い立ちから現代音楽への目覚め…

師走の解像度

12月の日録になります。 *** 7日(金) 退社後に十三の七藝に立ち寄って、上映最終日だった『スケッチ・オブ・ミャーク』を観る。スケッチ・オブ・ミャークアーティスト: Blue Asia出版社/メーカー: ウ゛ィウ゛ィト゛・サウント゛発売日: 2009/07/15メ…

破線をあるく :『ソナタとインターリュード』

哲学とは何か (河出文庫)作者: G・ドゥルーズ,F・ガタリ,財津理出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/04メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログ (12件) を見る『哲学とは何か』も文庫化。これはハードカバーを持ってない。 自…

つれづれ、振り返り気味に。

**夢の話を書くときは美大惑星というカテゴリになる。 皆さんにもある事なのかどうかわかりませんが、眠りながら「これは夢だなあ。むちゃくちゃだなあ。どこまでいくかこのままほっておこ」という自分の夢見に自覚的な時間が、特に明け方目覚めるまでの3…

レイ・ブラッドベリ

レイ・ブラッドベリ死去のニュース。 http://jp.techcrunch.com/archives/20120606goodbye-ray-bradbury/ブラッドベリの小説を全て読んできたわけではない。 小学生から中学生になるまでの間に、短篇集と『火星年代記』を読んだ。もうひとつの代表作『華氏4…

この夏の予定と日録 その他

今年の8月のロイヤル・アルバートホールでのPROMSに行くことにしました。今年はジョン・ケージの生誕100年。これを祝う一日ということで、思い切ってチケットと航空券を入手。 出演者が豪華。ピアノにJohn Tilbury、Frank Denyer、高橋アキ、Christian Wo…

苅部 直 『安倍公房の都市』、安倍公房『方舟さくら丸』、矢部史郎『3.12の思想』

苅部 直 『安倍公房の都市』 安部公房の都市作者: 苅部直出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/02/14メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る昨年の『安倍公房伝』等の資料の充実を受けてか、安倍公房のあまり陽があたら…

20 minutes in Minoh、『音楽の本の本』、稲田雅美『音楽が創る治療空間』、恩田亮『DIARY』、「インキャパシタンツ&ソルマニア」@難波ベアーズ

箕面ではこの冬2度くらい雪が明け方の路面に残っていたそうですが、ほとんど記憶にありません。 ただ今年の冬の寒さは特に身に沁みた。 風邪をひきやすくなったのはひとえに自分の運動不足によるものですが、ライブに行きたくても到底家を出る体調ではなかっ…

Best in the Rest 2011年のまとめ 本・映画など編 

今年の読書に関して総論してみると、音楽関係の本については一本筋の通った読み進み(読み漁り)ができたように思います。 ヒップホップ関連の入門本がどれもクオリティが高く、『HOMEMADE MUSIC』の個人を起点とする立場から、『ヒップホップ・ジェネレーシ…

みみはコンバスの五つ目の方位にむかう

コンバスの五つ目の方位、つまり「中心」はいまだ誰の口にものぼったことがない、というような意味のことを、ル=グウィンが不思議な短編集の序文で書いているのを最近古本で手に入れた文庫本で読んだ。 この短編集のどこが不思議かというと、最初の短編は、…

呑秋(どんしゅう):酒祭り@広島・西条〜倉敷、円城塔『これはペンです』、オノ・ヨーコ展 など

広島は西条市の『酒祭り』に今年も行ってきた(二回目)。もちろん昨年購入したマイ枡を持参。今年はどうせなら一泊することにして、帰りには倉敷に寄って帰ることに。旅の道連れは芥川賞候補になった円城塔の『これはペンです』。 (感想はエントリーの最後…

蝸牛の歩みで惨い爪痕を残した台風がせめて:「思想地図」、伊藤比呂美、Lois Weinberger、『ステイクランド』、EP4など

蝸牛の歩みで惨い爪痕を残した台風がせめて残暑も持ち去ってくれたのかと思うと、まったくそうではなく、昨日は汗をボトボトかきながら門真まで運転免許証の更新に出かけた。 5年前にきたときはちゃんと京阪古川橋駅で降りたようだが、今年はまったくそれを…

どじょう、藤井貞和、カウシキ、William Parker、ヒップ・ホップ、映画「スタテンアイランド」

今日、被災したいわきの代理店と電話で話しをしていて、代理店の70歳の社長から、民主党の代表選で野田佳彦が選出されたことを知らされた。 この社長は3月11日から被災地で顧客のために飛び回りながら、この9月末をもって損保代理店を廃業にすることを決…

マーク・リーボウと偽キューバ人たちMarc Ribot y Los Cubanos Postizos@心斎橋クラブクアトロ

月曜ですしチケット高いしギリギリまで悩んだけれど、今回逃すと次いつ観れるかわからないというあまりに定番な唆し内言に軍配があがり(をあげ)、仕事終わりにクラブクアトロへと直行。結構お客さんが入っていてテンションあがってくる。前日にTwitterでフ…

何からかというと、準備ができていないうちにわかってしまうことからだ:ジンジャーエールの素を仕込む、カナヘビのこと、レベッカ・ソルニット『災害ユートピア』、前島幹雄『フクシマ/ヒロシマランニング』

9時に目が覚めた、のでまだ間に合うと思い瀧道へ向かう。 向かう途中の公園の脇道で、カナヘビがチョロっと溝に逃げ出すのが目の脇にはいった。 今日は暑さもまだゆるいし、幸先がいい。カナヘビという単語自体、10年くらい忘れていたとおもう。 だから幸…

サイ・トゥオンブリーと時間割

PCが直るまで長いエントリは書けないなあ・・・ 職場で苦情。オペレーターのしゃべり方が信用できない、と。東北いわきの代理店。先日の松本龍大臣のように態度ひとつで信用などは簡単になくなる、と。ごもっともなおはなしでお詫び。* ローマではサイ・…

雨の季節がまためぐる:ミシェル・ビュトール『時間割』、小笠原鳥類さんの「骨おりダンスっ」への詩、女性シンガー系アルバム各種

先週は雨だったので、不足が運動はじめているくらい運動不足でした。 土曜の朝も雨でしたが、降りは控えめだったので、今のうちにと瀧道へと(午後からザザと降ったのでこれは正解でした)。近所に紫陽花が見事なおうちがあって、この雨の時節になると、コン…

2011年うどんのたび

5月27日金曜日の夜、台風2号が直進してきているというのに、めげずに深夜三宮に集合。ジャンボフェリーに乗り込む。じつは讃岐うどんは現地で食べたことがない未経験者でしたが、今回はUDNマスター同行していただけるとのことで、お店に関してもマスターに…

安部ねり『安部公房伝』を読む

日常感覚からの飛躍は、学問が現実に接近する方法であり、その逆転の瞬間を、我々は安部文学の中で体験する。 最近では残念なことに、日常的感覚自体が損なわれるという事態になってしまい、知識の日常感覚からの飛躍という側面は無視されがちである。 ――安…

『足ふみ留めて』『HomemadeMusic』、山田ノブオ

今日は、エイプリル・フールということだったけれども、嘘どころか冗談いう気にもならない。 管政権が東北の復興をよびかける青写真と野党への協力呼びかけには、災害前に息も絶え絶えだった民主政権の起死回生をねらったポーズが透けて見える。被災者にとっ…

「りとぅるねろ・りとぅるねろ」 :F.ガタリ、小山彰太・登敬三・横沢道治@北堀江Futuro、Thurston Moore『12 String Meditations For Jack Rose』

家の前の桜坂。年々桜の枝がまばらになっていくのが長年住まう人間からするとはっきりと感じられてしまうのですが、その桜のつぼみがもう大きく漲っていた。もうじき吹きこぼれるように咲くのだろうな。まだまだ寒いのに。 そして人間たちの不安はよそに、樹…