陽ひの降る谷間を登っていったら、太陽を追い越した。
という言葉を、なぜかひるまに瀧道を登っているときに、あたまのなかで反芻していました。
歩いているときに、ふいにやってくる言葉というのがあって、それは、自分の姑息な意図からはとりあえず離れているような気がするのが気持ちよい。
今日は太陽がよく照っていて、谷間はキラキラしていた。冷たい空気にも湿気がなくて吸い込むごとに気持ちが良い。
登る途中の昆虫館に、巨大な蜂の巣が飾られているのを、子どもたちが見ていました。
行儀よくせんかい。
ヘッドフォンからは、スティーヴ・レイシーがプレスティッジに吹き込んだセロニアス・モンク集である『Refrections』と、ジャー・シャカのダブが交互に流れていました。

Reflections: Plays Thelonious Monk
- アーティスト: Steve Lacy
- 出版社/メーカー: Ojc
- 発売日: 1991/07/01
- メディア: CD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
ここでのレイシーのワン・ホーンはあらためて聴いていると、若々しいツヤと弾力があって、とくに冒頭の「Four in One」などでレイシーのソプラノが切り込んでくるところは、ぞくぞくとするし、晴れ晴れともします。ブエル・ネイドリンガーのベースも不穏な漏洩線を描くようで、レイシーのうたう高い線と好対照になっている。結構、聴きどころのある盤だったのだ。

In the Ghetto (With the Fasimbas)
- アーティスト: Jah Shaka
- 出版社/メーカー: Ernie B
- 発売日: 2009/01/01
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る

朝登山のかたが置いていったとおぼしき杖数本がきれいにまとめて置いてあった。

*
夜に、NHKでヴァンクーバー・オリンピックの開会式を観ていました。
いきなりグルジアのリュージュ選手の不幸に見舞われて雲行き怪しいとも感じましたが(日本の誰かの服装がどうのでどうの、というのはくだらなすぎ・レベル低過ぎな話であって)、冒頭の山頂からスノーボードで滑り降りてきた選手が、あたかもそのまま滑って会場に現れた(と見てほしいという)演出が、自分でも意外なほど高揚しました。
先住民(ファースト・ネイションズ)の4部族が、とりわけヴァンクーバー先住のひとびとなのか、それともホストとして率先して名乗りをあげたひとびとであるのか、自分にはよくわからないのですが、ドームの真ん中に聳え立ったトーテム・ポールは青白く巨大で、オリンピックが彼らに大きな経済効果を与えるのでなければならないだろう、と思ってみていました。それにしても、伝統衣装で登場してきた彼らは、選手団の一時間くらいに及ぶ入場のあいだずっと踊っていたようで、こりゃすごいと思ったり。
ファースト・ネイションズに限らず、オリンピック会場の建設のおかげを蒙ったホームレスのひとびとがヴァンクーバーでは問題になっているらしいです。ファースト・ネイションズの若者たちの、他人種の数倍と計上される自殺率も、問題の根が深く、歴史的・構造的であることを物語っていると思う。
ヴァンクーバーや北西海岸の先住民文化のことを考えると、昨年は「みんぱく」の企画展がとてもおもしろくて、自分として興味がぶり返しましたが、昨年のあらたな発見は、画家であり文筆家だったエミリー・カーでしたが、このことはまた後日。
*
ジェブ・ロイ・ニコルズが聴きたくなって買ってみました。

- アーティスト: Jeb Loy Nichols
- 出版社/メーカー: Tru Thoughts
- 発売日: 2009/09/08
- メディア: CD
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (2件) を見る

- アーティスト: JEB LOY NICHOLS
- 出版社/メーカー: PARISH BAR
- 発売日: 2017/06/16
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る