みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

本厄耳瞬日乗⑦「アルゴ」

近所のアジサイは皆、ちから尽きて暑さのなかでしぼみしおれつつある。梅雨は終わりじゃないのか?
7月6日(土)
朝。
病院でレントゲンを撮ってもらうと、骨のヒビの黒い亀裂はなんとか見えなくなっていた。しかし、2か月以上この状態だったため骨が委縮して庇う癖が出来ている、と。
はっきりヒビはなくなったと分かったので、固定具は付けずに、右足を骨折前に日常に慣らしていく事に。

昼。
梅田まで出て、ACTⅢのレコード市をのぞく。
ハン・ベニンクHan Bennink1982年のソロ「Tempo Comodo」、ブッチ・モリスButch Morris1985年の最初のコンダクション作「Current Trends In Racism In Modern America」、デヴィット・モスDavid Mossの1984年「Full House」と1985年の「Dense Band」の2枚、ロスコー・ミッチェルRoscoe Mitchell(クレジットを見てとロスコ―がラップしてる曲がある!未聴く)の1984年「And The Sound And Space Ensembles」、パンク・バンドのトイ・ドールズの1st(懐かしい。彼らではこれだけが好きだ)アナルコ・パンクのCRASSと仲が良かったというポイズン・ガールズPoison Girls1980年の「Chappaquiddick Bridge」(これは安いしピカピカなのでリイシューものだと思います)、、スネークフィンガーSnakefingerのLPに、ジェイムス・ブラウンJames Brown、キャンド・ヒートCanned Heat、ロバート・ワイアットRobert Wyattの、そして東京ロッカーズPASSから出ていたBOYSBOYSのEPなどを見つけたが、なかでも副島輝人『世界フリージャズ記』で読んで知ったばかりのオランダの「ノードバンド」noodband のおそらくは唯一のアルバム「shiver」を見つけたのが大きかった。『世界フリージャズ記』では、リップ・リグ&パニックに触れた直後にメールスに出演したこのノードバンドのことが興奮気味に書いてある。
400円だったミュージックマガジン1982年3月号の内容が素晴らしかった。今のマガジンにはない何か。情報がほとんどここにしかないという熱気、なのか。
蒸し暑さがこたえる。


7月7日(日)
昨日に引き続きの猛暑。
レンタルしてきたDVD映画『アルゴ』を観る。

ベン・アフレックはなぜか苦手な俳優だったが、この監督・主演を務めた作品は、1979年のイランアメリカ大使館人質事件で、架空の映画『アルゴ』のロケハンを偽って人質を奪還しにいくウソみたいな話を題材にしていて、政治サスペンスとして超弩級のクオリティを持っていると思うが、それプラス、架空の映画を使う、ハリウッドの業界人を巻き込むといった、映画が映画自身に言及したときに特有の夢見るような感覚がある。
イランでは、この『アルゴ』の事件の描き方が適切な見方を欠いているとして、イラン側からの視点で同事件をとりあげた映画「The General Staff」を製作するというが、アメリカ映画が一方的なのは大昔からだ。この『アルゴ』でもラスト近く空港での離陸までシーンのドタバタの描き方はハリウッド映画のパターンに嵌っていた。
しかしむしろ、ジョージ・クルーニーベン・アフレックがこの映画を作りたかったのは、実話に基づいた政治サスペンスでありながら、ハリウッドの自己言及ができるまたとない題材だったから、その辺なのではないかと感じた。
しかし、たった120分でこの密度とは!