みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

高嶋進『ジァンジァン狂宴』

ジァンジァン狂宴

ジァンジァン狂宴

読了。
自分が立ち上げた聖域に、自らの手でトドメを刺すこと。実際に店舗の取り壊しに向けて高ぶっていく描写は、淡々としながら鬼気迫るものがある。
もちろんジァンジァンに去来する名だたる文化人、芸術家たちの、特に小劇場でも特異だったジァンジァンのスペースでパフォームすることの手応えを軸に読んでいけることについて興味が尽きない。
しかし、読み終わって今猛烈に印象づけられているのは、マイナー文化の最後の城とまでいわれた小劇場を自らの手で無に帰すことへのこだわりと熱狂。
自伝小説の語り口で、良作という三人称に仮託して語られているのがなぜなのか、過去との距離の取り方として適当だったのか、それはちょっとわからない。

個人的な話をすると、渋谷ジァンジァンには行ったことがない。
2000年の初めから年末にかけて1年近く東京に住んだことがあった、本書によると、その年の4月にジァンジァンは閉店している。たしか、渋谷を歩きながらジァンジァンの看板だけ見かけて、ああここがあの、と思った記憶があるから、伝説の小劇場を体験しようと思えばぎりぎり間に合ってはいたのだ。特に後悔はないけれど。

その後、「谷川俊太郎の33の質問」を文庫本で楽しんで会場がジァンジァンだったと知った。

谷川俊太郎の33の質問 (ちくま文庫)

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津軽三味線ひとり旅 (中公文庫)

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