みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

驚嘆のSOFA勢など

8月の第4週は、濃密なライブが続きました。

8月24日(土)Kim Myhr/Streifenjunko/Sofia Jernberg@中崎町モンカフェ
 オープニング・アクトは高岡大祐さん(Tuba)。ホスト役も務めておられた。
 ノルウェーのSOFA勢は、最上級の音楽・素晴らしい多様性を聴かせてくれた。
Kim Myhr(12 strings acoustic guitar)
 2年ほど前ヌオーがまだあったころに、SOFA勢のひとりがKim Myhrだった。最初みたとき、ギタープレイのミニマルさにやっぱりちょっと吃驚した。今回二回目だけど、今回は12弦ギターの音の奔流に陶然とした。およそ12弦ギターから発する音で聴きたい音のすべてがKimのギターから聴こえてきた。
彼のサイトによると、http://www.kimmyhr.com/もうすぐ初のソロ作品がリリースされるとのこと。楽しみだ!!
Streifenjunko:Espen Reinertsen(reeds)Eivind L�・nning (trumpet)
 お二人の真ん前に座って聴くことができましたが、頭を数センチ傾けるだけで、音の位相はまるで違って聴こえてきた。そして、どの位置・どの角度で聴こうとも、繊細で芳醇な響きを二人の演奏、二人の楽器の干渉は持っていた。

 会場で5000円が2000円になっていたアルバム『Sval Torv』も、アナログ二枚組ですが、乾上がりかけの魚が水中に飛び込んだかのようにぐいぐい聴けてしまいます。
Sofia Jernberg(voice)
 エチオピア系のソフィア。高岡さんが激推するのもわかる女性ヴォイス・パフォーマー。フリージャズでよくいる女性のヴォイスは、素っ頓狂で苦手な人が僕には多いのですが、ソフィアさんはそれらとはまったく異なっていた。また、狭義の「フリージャズ」や「インプロ」の美学とも離れていると感じた。声・うた、といってもソフィアさんのヴォイス・パフォーマンスは、声というのが喉と舌によってのみならず頭蓋骨ひいては全身を共鳴させて発音しているものだということをあらためて(いや、はじめてか?)思知らせてくれるものでした。

 ライブ後、Sさん・Gさんと「にしかわや」で、終電間際まで串カツで一杯。SさんもGさんもTwitter経由で知り合って、ライブで声を僕からお声かけた方たち。今みた聴いたばかりの凄い音楽について、感想を誰かに話せるのはとても楽しい。箕面線の終電一本手前で帰る。Sさんは勝尾寺におつとめのお坊さんなので終点まで一緒に帰る。自分より「うえ」に住んでいる人には初めてお会いする…。

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8月25日(日)
昼過ぎより、北堀江のFuturoで、T.坂口氏の『スローなカセット魂 カフェ編』
以下のような貴重音源のカセットをかけつつ坂口さんのお話し。お客は少なかったが…。
・アンドリューチョーク六つの花
・プトーズ(Ptôse)。1986に活動休止したフランスのビザールな実験ポップトリオ。

ヴァイナル・オン・デマンドでリイシューされたりした。「プトーズ」自体は「垂れたもの」という意味。チンパンジーでもわかる音楽。 ユニット名の曲と、ハエの王様(というよりせみの王様 トイポップのメンツによるカバー 最初はパンクからテクノポップに。
ブーレーという曲のテクノバージョン国連総会コンピ 影を食べる人。
パートナーのエリカによる「猫のゆりかご」、クラスターから影響を受けた曲 ハーフジャパニーズによるカバーかっこいい! 阿部怪異、ほぶらきん
・ディフォーム 国連総会コンピから
・ピナコテカ 佐藤氏のピアノ〓リングモジュレータ演奏。
・ピナコテカ・カセット ジョンダンカンの貴方が完結させる音楽。短波ラジオの音。トムシッション。
・AUBE。オイルオンザウォーター ・ソルマニア大野自宅録音期さんのソロ  ・なしくずしの共和国
・オーディオアーツ・カセットから、AMMのジョン・ティルベリーのピアノ、同じくAMM絡みのクリストファー・ホブスの「Aran 」という曲。この「Aran」は、イーノのオブスキュア盤にも別バージョンが収録されている。また、この「Aran」を聴いて失語症が治ったという女性の歌をオーバーダブしたバージョンを大熊亘さんが提供している。女性は外国人?らしかった。
 
・最後に坂口さんがかけてくれたのが、僕自身2011年4月、3.11震災直後に芦屋山村サロンでひらかれた復興支援チャリティ・コンサートで観た「Veltz」の演奏のテープだった。あのコンサートの主宰をしておられたのが坂口さんなのだから不思議ではないわけだった。生で聴いたときも深い衝撃を受けたけれど、もういちどテープでかけてくださったのを聴くと、やはり、凄い演奏だった。スピードを落とした室内楽のよな導入部。そこにピチピチ泡立つように絡んでいくノイズ。くぐもった音質がたまらない。次第に眠ってた首長流が背中をゆっくりと起こすように、ハーシュなノイズが立ち上がり、深海をさぐるよなピアノへと。耳をつんざくメタルノイズへ。これらが一つの大きな覚醒のなかでミックスされている・・・。なんと、この音源がマスタリングされてリリースされる予定とのこと。
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夜から同じくFuturoで、「Plays Standard」江崎將史 trumpet×高岡大祐 tuba@北堀江Futuro
というわけで、この日はほぼ一日Futuroにいたことになります。
ここ何度か高岡さんと江崎さんのデュオを観させていただいています。最初にデュオを聴かせていただいたのは、神戸元町の「のらまる食堂」の二階だったとおもう。そのときから継続して丁々発止な興演奏が主体だった。
今回「Plays Standard」(高岡大祐・船戸博史・登敬三の編成でのトリオ名)という嬉しい名前が使用されたのは、今回のセッションが以前からやってみようという話になっていた試みで、それは「メロディー」を演奏する、という事だったようす。この日は、17世紀のヨーロッパ舞曲、モンク、シドニー・ベシェ、クルト・ワイルの曲などが取り上げられていました。普段、一瞬先を決めつけない即興演奏を積み重ねているミュージシャンが寄り添うものとして「メロディー」を得たら、どうなるのか?メロディーの聴こえかたが、やはりほかとは異なっている、違う感覚があるとしか今の僕には書けません。