R.I.P. LOU REED
27日肝臓移植後の合併症のため、とのこと。肝臓が悪いとは知らなかった。
このニュース、朝のオフィスでYahoo!でみたのだけれど、偶然にも朝のバスで、iPhoneのシャッフルでたまたま聴いていたのがThe Velvet Undergroundのサードの「I'm Set Free」だった。
「俺が死んだらみんな“ワイルドサイドを歩け”を聴くんだろう。わかりきっている」という意味のことを本人がどこかのインタビューで毒づいてたと思いますが、とりあえずはそうならずにすんだ。
いつかは来ることだと思っていたけれど、やっぱり喪失感あるな。
村上龍の小説「69」や、Jesus&MaryChainが好きだったから、どうしても遡らざる得なかったが、そもそもはじめてルー・リードという歌手がいるのを知ったのは、80年代のどこかの年のグラミー賞で、ステージじゃなくて、ホールの非常口から「Walk on The Wild Side」を歌っているのを観て変な声で変な歌だなと思ったのが最初だった。
リアルタイムに聴いたアルバムは何度目かの復活作といわれる「New York」からで、このときはライブも観に行った。でも本当に見たかったジョン・ケイルとの「Songs For Drella」は大阪には来なかったと思う。
何はともあれ、文学的な歌の部分とメタリックなノイズにも代表されるエレクトリックギターサウンド部分をずっと両立させた稀有なミュージシャンだった。最近ブックオフで昔のギターマガジンを読んでいたら、ルー・リードのインタビューが載っていて(昔といっても「Ecstasy」発表時)さんざんピート・コーニッシュの手にによるエフェクター・システムを褒めちぎったあとに、「俺にとってギターとはエレキ・ギターの音を意味する」「俺はずっと轟音をとても柔らかに聴かせることだけを考えてきた」という発言をしているのを読んで、何か胸があつくなってきた。
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で、一番好きな曲は、といわれると、何曲でもあげられるけれど、あえてアルバム「Blue Mask」からの『Wave of Fear』になるかも。
Crazy with sweat, spittle on my jaw
what's that funny noise, what's that on the floor
Waves of fear, pulsing with death
I curse my tremors, I jump at my own step
I cringe at my terror, I hate my own smell
I know where I must be, I must be in hell
気が狂うほど汗ばみ、アゴは唾でまみれてる、
あの妙な音は何だ?床の上のアレは何だ?
恐怖の波が、死ぬほどに脈打ってる
自分の震えが忌々しい、自分の足音にもとびあがる、
自分の恐れに嫌気がさし、自分の臭いを憎んでいる
自分が何処にいるかなんて知ってる、地獄にいるにちがいない
ルーの逝った次の日に感心する歌詞でもないのかもしれないが、特にこの緊張が絶頂をむかえるあたりでのルーの言葉の吐きつけ方が何度聴いても凄まじい、と感じる。
いつだったか、自分にもこの歌詞の通りに眠れなくなったときがあって、そんな時にルーにこの歌があるの思い出して、聴いて、思ったのは、これはドラッグの禁断症状の歌というわけではないんじゃないか(そう思っていた)ということだった。勇気づけられたとかではないんだけれど、どこか、安心した。そういう状況で助けをこうわけでもなく殆ど自己嫌悪で爆発していて、ベースのうねりは多分これが恐怖の波の音像化なんだろうと思わせ、その上で二本の尖ってささくれだって爆発した音色のギターが絡み合っている。
少なくともいくつかの意味で、ルー・リードにしか作れない曲だとずっと思ってきた(この人の曲はそんな曲ばかりだ、ともいえる)。