みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

マーガレット・レン・タンのケージ

マーガレット・レン・タンの弾くピアノは、ある意味、表現主義的でつかみやすいんですよね〜。
他のピアニストだと、禅僧のように枯れた風情でいかにも「現音」な印象のケージの曲も、レン・タンが弾くと、音にメリハリが出てきて、とっつきやすい。
少なくとも自分にとってはそうで、最初ケージの曲聴いても「やっぱわからんわ」でしたが、響き自体が凛としてていいのだな、と思い始めたのは、このCDからでした。
ケージのピアノ曲集はレン・タンものでも何種類もありますが、これは普通のピアノとプリペアド・ピアノと両方入っているのと、ジャズをネタにした「ジャズ・スタディー」や「アドリブ」*1、現代彫刻家アレクサンダー・カルダー*2のためのドキュメンタリー用の「Works For Calder」は、映像中のナレーションもあり、ノイジーなパーカッション(というか鉄の階段降りる音orドラム缶をもて遊ぶ音?)もあり、といった風に、変り種を寄せ集めた(いい意味です)感もあって面白い、とうかお得感あり。
定番ともいえる「マルセル・デュシャンのための音楽」をあらためて聴くと、ほんのりとした幻想風味が、やっぱり得がたいものだなあと思います。
最後の「One2」は、1〜4台のピアノを一人の奏者が演奏するように指示のある作品で、レン・タンはここでは三台のピアノを使用して、次が一切予期できない音楽を作り上げています…が、実際演奏しているところも見ないと、ほんとのところはわかりづらい部分あるかと。。残り二分きったところで、地獄のような音がします。一体何をしているのか…。

*1:ケージは「即興」を否定してましたね。そういえば。

*2:動く彫刻「モビール」を作った