Cut Chemist、BRIGHT MOMENTS、ダダリズム、afu三周年 etc.
この連休、これほど音楽三昧でいいのだろうかという日々でした。先に謝っておきます。
すいません。
金曜は念願のカット・ケミストを京都のMETROで。
土日は二日続けて大阪九条のFLOATで、suzukiiiiiiiiii × youpy、中川裕貴さん、Jason Kahn ×Tim Oliveのデュオ、高岡大祐さんのトリオ「BRIGHT MOMENTS」、ツインドラムのダダリズム、という充実っぷり。
〆の祝日月曜は、天神さんの古本まつりで好みの書籍をまとめ買いしてから心斎橋の「afu」の三周年パーティーで、とりねむりさんのボサノバ・デュオで聴き惚れていました。
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5日(金) CUT CHEMIST@METRO京都丸太町
行ってきましたカット・ケミスト!私はこの一年でヒップホップを聴き始めている超初心者なのですが、ヒップホップ熱にかかる前にカット・ケミストの『Sound of Police』は聴いていて凄く好きでした。その後知り合ったIさんにカット・ケミストのDJプレイの何が凄いのかを教えてもらって自分の中でまた盛り上がった。ジュラシック5の名盤各種に接したのはその後でした。
仕事終わりに京阪特急に飛び乗ってなんとかメトロの開演に間に合いました。
考えてみると、メトロ来るのは初めてでした。本当に駅と地上の狭間にあった。
クラブの集客は自分が想像していたより少なめだった。もっと満員かと思いましたが…これはこれで見やすい。
カット・ケミスト氏、出てくるなり、テンション上がりまくり。VJとのシンクロも毒とユーモアとビートの感覚があって盛り上がってました。
最初から「おとなしいなあ、図書館にいるみたいだぜ」とか「行儀正しいなー」とかケミスト氏も煽りまくってましたが、アメリカのお客のノリはもっと激しいんでしょうね。ちょっと高くなっている通路から見ていた私の周りには、結構なお歳らしきカップルが最初の一音から盛り上がっていて良い感じだなあと思った。確かに、フロアは首は振れど身体動かずな感じのクールな人たちとか、とにかくケミスト氏の機材とプレイを間近で見ようととブースにかぶりついているDJらしき人たちが多かったけれども、ケミスト氏のプレイがとにかくバキバキとファンキーに、ジャジーに、ノイジーに、モンドに、スポーティーに、エンターテイメントフル(?)に決まっていくので最後にはケミスト氏もお客の反応にご満悦の表情で終わっていました。
手元。
足元。
好きな『Sound of Police』も中盤でプレイ。とにかく気持ち良い音に踊らされてしまいました。
ターンテーブル一台と足元のループペダルだけでプレイしたり、私はDJ技術については無知の極みですが、それでもこれは凄い事をしてるなと感じました。でも、それが説教くさくなくて完全に質の高いエンターテイメントとしてプレゼンされているから、それにこちらも盛り上がる。
ギター小僧のようにターンテーブルをプレイ。「スモークオンザウォーター」のイントロまでターンテーブルのツマミで演奏してしまうケミスト氏。またその時のドヤ顔が最高に楽しそう…。
このマッドマックス的なC級暴走アクション映画の映像をバックにプレイされていたのはリンク・レイの歪みまくったギター。「大好きなんだよ」って言っていました。
物販で購入した「Outro」7インチにサインを頂く。
- アーティスト: Cut Chemist
- 出版社/メーカー: A Stable Sound
- 発売日: 2010/07/27
- メディア: CD
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6日(土)suzukiiiiiiiiii × youpy"sxy"release tour in Osaka@FLOAT九条
この日は箕面から車を出して九条のFLOATまで乗りつける。九条って駅から遠いからちょっと億劫だったので、酒を飲まないと決めれば車の方が吉。周りも休日の倉庫街だから停めやすい。
今年の7月に同じFLOATでガットギターの山崎さんとのデュオ「dobames」で初めて聴かせて頂いた中川裕貴さんのソロ。チェロの演奏にマイク、エフェクター、PCからのフィールドレコーディング音源などを自在に組み込んで独自の音世界を聴かせて頂きました。ひとつひとつの音へのこだわりが半端じゃないな、という事と、極私的凄く好みの音楽だと思った。演奏後、中川さんと少しだけお話させて頂いたら、中川さんはこの拙ブログをご存知だった…恥ずかしくも、やっぱり嬉しかった。
suzukiiiiiiiiii × youpyさんの変名ユニットと元BusRatchのヤマモトタカヒロさんのトリオ。
- Jason Kahn ×Tim Olive duo
初めて観るJason Kahn氏。しかもTim Olive氏とのデュオとは贅沢。
- suzukiiiiiiiiii × youpy
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7日(日)未知の知vol.6/BRIGHT MOMENTS×ダダリズム@FLOAT九条
前日に続いてFLOATでライブ。以前からこのブログでも告知させて頂いていました「未知の知」主宰の奇跡の2マン。Hさんの「知る限りでは今大阪で最も深く音楽を突き詰めている二組」という言葉が少しも誇張ではない事が納得できた濃密な音楽体験の夜、となりました。お客も34,5人は入っていたのではないでしょうか。人数も盛況だったと思いますが、ひとりひとりのお客の熱心さが、また、その中に自分もいることがとても嬉しいのでもありました。
- BRIGHT MOMENTS
(高岡大祐/tuba × 有本羅人/tp × 橋本達哉/drum)
堀江のFuturoでこれまで二回観させて頂いた「BRIGHT MOMENTS」。FLOATでの鳴りはまたさらに熱くて格別、でした。気のせいか、futuroで最近聴いたときよりも、三人の音がそれぞれ際立って聴こえるようでもありました。細密と激情が交互に現れるような橋本さんのドラム。オーネットのアトランティック時代のドン・チェリーはこんな音だったのではないのか?と思えてしまう程に宙を舞う有本さんのトランペット。そして三人の演奏をさらにそれぞれに際立たせる高岡さんのチューバ。本当に新しい音楽が目の前で演奏されている時感じる、不安と期待が混ざったギザギザした感触が、このトリオにはあると思う。
最大音量で橋本さんのドラムが叩かれた次の瞬間に、高岡さんのチューバと有本さんのトランペットが極上の弱音で音のヴェールを敷きつめていくと思ったら、役割交換してチューバとトランペットが唸りをあげて、ドラムがガラスが限りなく細かく砕けていくような音。音量のコントラストといえば簡単かもしれないけれど目の前で生音でされたら、凄いのです。「河」という指示の曲の冒頭では高岡さんはチューバの管に水を入れてコポコポという音で演奏していた。これは何気なくされたけど自分にとって凄く新しい音に聴こえました。奇を衒った効果音ではなくて、演奏の中に完全に必要なものとして生まれてくる音。最後の曲無しの即興の演奏終了後、「音楽、なんだよなあ」という自分でもよくわからないことをつぶやいていました。
- ダダリズム
何年か振りで観るダダリズム(先日も書いたように前に観た時は違う名前でした)。メンバーのひとりが演奏直前まで酷い体調不良だったと後でききましたが、そんなことをつゆとも思わない演奏でした。50分くらい切れ目なく演奏していたんではないかと。「BRIGHT MOMENTS」とは違う、細部のひとつひとつがキメキメに嵌っていって、タイミング毎にがらっとビートが変わるときの慄然とする感じ。ビートから、リズムから、はっきりとメロディーが聴こえてきて、それがずっと終わりまで継続していった。
この二組。音楽は全然違うけれど、どちらも、どんな場所でグループが演奏していても、通りすがりの人間でも、何か凄い事をしていると絶対感じるだろうなと思った。あえて言うなら、そこが共通点なんだろうな、と。
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8日(月祝)天神さんの古本まつり〜「afu」三周年記念パーティー
明けて休日の月曜日。まずは自分の中でも毎年恒例になってきている天神さんの古本まつりを覗いてみる。
さすがに三日目ともなればあらかた抜かれた後だろうなあと本当に期待せずに行ったら、ジャリの『ユビュ王』だとかサルトル『聖ジュネ』(中学生の頃から読みたかった…けどどこにも売ってなかった)、エンデとボイス『芸術と政治をめぐる対話』(再読)など欲しいなーと思っていたものが色々と。
そのあと、地下鉄を乗り継いで、昨年「PLAYS STANDARD」のライブを企画させていただいた会場、心斎橋アメリカ村のど真ん中の屋上スペース「afu」へ。「afu」の三周年の記念パーティーで、ドリンクもフードも全部無料でした。なんという太っ腹!
去年より確かに枝々が逞しくなった桜の木のあるテラスで、ほっちさんのサングリアを飲みながら、とりねむりさんのボサ・デュオを聴く午後。
とりねむりさんの美声。
「afu」は、ロケーションもちょっと他にはないくらい素晴らしいけれど、やっぱりここに集まる人たちの気取り無さが、心地よさの本当の理由だと思う。
「場所」の半分は人で出来ている。
また、僕もここで何かしたくなってきました。