雪が積もった日 「ゆきぼっくり」の誤用 :SAKANAの新譜、Han Benninkのソロ
6時頃に、あんまり静かなので目が覚めた。砂糖をまぶしたような家の前。案の定、つもっていた。前の晩に雪が降るかもという話はあったのだけれど、明け方のちいさなざわめきを雪が吸い込むと、静かさで目が覚めるのか、と自分でも驚いた。
それはしかし、大阪のチベットであるはずの箕面でも、ここ十年ばかりこれほどはっきりした積雪を見たことがないほど稀になってしまった、ということでもある。
二度寝して、11時くらいにまた起きて散歩に出かけると、まだ雪は積もっていた、というより本降りであるようだった。
あわてて玄関に戻ってビニール傘をとってきた。ビニール傘を鳴らすのは、いつもなら雨滴なのだが、今日は雪片であるという。ビニール傘の下は、雪片のパサパサという音がいい感じのひとり音響システムである。
「ゆきぼっくり」という言葉があるみたいだが、何を指しているのかよくわからない。雪をかぶった松ぼっくりなのか、そういう名前の花があるのか。自分としては、ゆきが花や蕾の上に丸くつもっていたら「ゆきぼっくり」と頭のなかでつぶやいてしまう。
近所の葦原公園の溜池もいい具合でした。
ゆきぼっくりアゲイン。
この時間(11時)でこの積雪なのだから、必ずある筈、と見当をつけていたら、やっぱりゆきだるまんがいらっしゃった。間近でみるとたいへん微妙なお顔だったので、この辺から。
*
この連休にいたるまでに聴いていた音楽。
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昨年末から待ちに待っていたSAKANAの新譜『campolano』。先日のライブでも聴けた曲が数曲入っているようす。ライブ通りの案チームで穏やかさに、ゲストも含めて音がカラフルになってくる曲もあって緩急ついて息が通った一枚になっていると思いました。これは後々傑作の一枚と呼ばれそうです(いつもです)。
先週末に、心斎橋アメリカ村のafuのバーで待ち合わせして飲んだのですが、その前にアメ村をぶらぶらしながら入ったKINGKONGで、アリス・セーラーさん(ex. アマリリス)が、アマリリスのベスト盤の発売に合わせて、一日店長のイベントをしておられて、トークも含めてディスカウントもされていたり、最後に一曲披露してくださったりで、けっこうな時間KINGKONGで楽しめた。で、そのとき購入したCD。

- アーティスト: のいづんずり
- 出版社/メーカー: ス-ハ゜-フシ゛
- 発売日: 2011/01/19
- メディア: CD
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これはポーリン・オリヴェロスのディープ・リスニング・バンドの良い相棒スチュアート・デンプスター(ディジリデゥ)とGreg C. Powers(トロンボーン)という人によるラーガ・デュオ。ジャケ写右で馬鹿長くデカいディジリデゥを嬉々として構えているのがデンプスターさん。ボヨーンとした二種の低音がボヨヨーンヨーーンと延々ドローンのとぐろを巻く快作。基本的にラーガ旋律なので、そんなにヘヴィーではないです。「雨季ためのラーガ」っていうタイトルもいい。プロジェクト名はたぶん、Pandit Pran Nathから採っているような。
『Island Vibes Reggae+Dub Classics』。アイランドから98年に日本盤も出たレゲエ・ダブのコンピ。ASWADやBlack Uhuru、もいいんですが、初めて聴くToots & The Maytals が荒々しくてハッピーで好き。Louie Louieまで演っているんだ。今度Iggy Popのやつとかも合わせてLouie LouieだけのCDつくろうかな。真冬に聴くダブって乙だな。
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同じく、KINGKONGで、アヴァンギャルド系のCDが大量放出されていて、嬉しいやら侘しいやら複雑な気分で掘っていたら、探していたハン・ベニンクのソロを発見。

- アーティスト: Han Bennink
- 出版社/メーカー: Atavistic Records
- 発売日: 2000/09/05
- メディア: CD
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全身音楽であるドラマー・パーカッショニストのハンが1973年にブレーメンで突貫したライブ録音『Nerve Beats』。探していたのにこんなときにひょっこり出てくるとは。
怒髪天を突くよな雄たけびとともに、猛烈な乱打ラッシュが始まったりリズムマシーンやかわいい電子音を使ったり。とにかく全身から音楽が溢れて出てくるハンという人。こないだの十三宝湯でのEricの演奏でも感じたのだけれど、本当に凄い打楽器奏者は、リズム感だけではなくて音色に対する感覚が鋭く、リズム自体がメロディアスに聴こえたり、倍音がハーモニーを醸しているように思えたりする。
ハン・ベニンクの場合、時折出す素っ頓狂な声も含めて一打一打動作ひとつひとつが呼び水を重ねて、ベニンクの身体を通して音楽が奔流してくるように感じられてしかたがない。
この映像なんか、チーズ叩いてるよ!でも、ちゃんとミュートしまくったスネアのような音の連なりになっている。

- アーティスト: Han Bennink,Dave Douglas
- 出版社/メーカー: Songlines
- 発売日: 1997/03/11
- メディア: CD
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【 Tinderbox / Cor Fuhler,Han Bennink,Wilbert De Joode / 2002】ピアノ、メロディカのCor FuhlerとコントラバスのWilbert De Joodeとアムステルダムで吹きこんだ盤。しっとりと割とオーソドックスな曲をやったかと思うとフリーキーに脱線していったりと自由な雰囲気。
ハン・ベニンクのつくるレコードジャケットはどれも絵心が効いていて好きだ。あらゆるものからビートを手繰る寄せてくる演奏と同じように、ベニンクが手掛けるグラフィックにも、稚気と危ういブリコラージュ感覚があふれている。どこかにベニンクの画集はないものだろうか。