みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

紅葉みおさめなど Morteza Mahjubi,Swans,安藤裕子,William Parker

nomrakenta2010-11-28


沖縄の知事選とか(なぜ前回より投票率が落ちるのか?)、米韓合同軍事演習とか大変な日でしたが、NHK大河で『龍馬伝』の最終回をちゃんと観た。
(後日、肝心の暗殺シーンで選挙のテロップがデカデカの流れたことに対して、苦情が200件ほど入ったと知りました。たしかにアレはひどかった。)

いろんな意味で通常の「大河」の表現方法を問いなおしていた一年だったなあと思う。
龍馬を斬った見廻組に、市川亀治郎だけでなく、ミュージシャンの中村達也SIONをもってくるのも自分にはそんななかのひとつのように思えました。中村達也SIONもほとんどしゃべってなかったけれど、生っぽい存在感は醸していた。
このあとは『坂の上の雲』があるし、来年は豪姫(と書いていいのか?)で上野樹里か…予告編見てたら映画『豪姫』(懐かしい)の宮沢りえも出るんだねえ。
ゲゲゲの女房』が全国的に評判だったこともとても嬉しかったし、今年はNHKさんにお世話になったな。



昨日は、今年の紅葉も見納めと思って、瀧道へ。
紅葉狩りのひとたちの波につかまらないように朝8時半くらいに家を出て正解。一週間経つとやっぱり紅葉も深まっていて、滝の上のビジターセンターでは朝靄に包まれて、黄金色から鮮やかなオレンジそして朱色へのヴァリエーションにみたされた世界がありました。




Song of Black Tulips / 黒いチューリップのうた

Song of Black Tulips / 黒いチューリップのうた

  • アーティスト: モルテザー・マフジュービー,Morteza Mahjubi,モルテザー・ザーヘディ,Morteza Zahedi
  • 出版社/メーカー: panai / NATURE BLISS
  • 発売日: 2010/10/20
  • メディア: CD
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イランの作曲家ピアニスト、モルテザー・マフジュービーの2枚のオリジナルアルバムから5曲を選曲して収録されてます。微分音を含んだペルシア音階にピアノを調律しなおすことでイラン伝統音楽の楽器サントゥールに近い音色を再現、といわれてもサントゥールがピンとこないんですが、エキゾチシズムではなくて、音や旋律が最小単位から再構成されていくような柔らかな衝撃があり、これはジョン・ケージの『プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード』を聴いたときに近い体験です。
Cage:Sonatas Fort Piano

Cage:Sonatas Fort Piano

この曲を演奏したCDをいったい何枚自分が持っているか数えたことがないのだけれど、高橋悠治さんもいいのですが、ここは自分が一番はじめに聴いたWergo盤の律儀な演奏を推しておきたい…。

My Father Will Guide Me Up a Rope to the Sky

My Father Will Guide Me Up a Rope to the Sky

何年ぶりなのかもはやよくわからないスワンズの新譜。
スワンズ休止からのマイケル・ジラは、もちろん自身のYoungGodsレーベルからのAngel og Light関連リリースやフリーフォークへの関与など十分に濃厚なものだっただけに、「いまさら」という言葉は決して使いたくはありませんでしたが、今スワンズの意味が果たしてあるの?とは思ったけれど…十分に意味はあったみたいです。
もちろん、それこそ『COP』あたりの呪詛に満ちたジラの咆哮は聴ける筈もないのだけれど、冒頭曲のスぺーシーに鳴りみだれる鐘の音に続いて、10年ちかくの歳月をひとっとびして鳴らされるトレードマークといえる強迫的なビート「スワンズ節」…それも確実に、Angel of Lightなんかでの深い歌の世界を通り抜けていることを感じられるところが好いですね。出会い頭にいきなり殴らずに、聴き手の深いところに届いてから揺さぶる方向に転換したジラの歌も新生スワンズにやっぱりふさわしい。
『COP』の裏ジャケのオリジナルスワンズの凶悪犯めいた4人の写真にびびりまくっていた人間としては、できればロリ・モシマンにも合流してほしかったですが…。
Cop / Young God

Cop / Young God

JAPANESE POP

JAPANESE POP

よく考えたら、このひとのアルバムを一枚通してちゃんと聴いたのは初めて。前日にiPodに仕込んで、紅葉輝く朝の山道を歩きながら通して聴いてました。
なので、自分の印象は、安藤裕子をちゃんと追って聴いているひとからすると完全に的を外しているものというのはよく自覚しているのですが、通して聴いて感じたのが、なんて多くの「うた声」が入っているんだろう、というもので…ほとんど、初めてキャプテン・ビーフハートの『トラウト・マスク・レプリカ』を聴いたときの心地よい「とまどい」に近いものを感じました。
あの「鱒仮面複製」アルバムは、ハウリング・ウルフとフリージャズの邂逅というよりも、いかにドンの声が豊穣に含有されているか、をこそ聴くべきアルバムだと思います。『問うてる』とか、いい歌だなあ。口ずさみそう。
Trout Mask Replica

Trout Mask Replica

I PLAN TO STAY A BELIEVER: THE INSIDE SONGS OF CURTIS MAYFIELD

I PLAN TO STAY A BELIEVER: THE INSIDE SONGS OF CURTIS MAYFIELD

Uncle Joe's Spirit House

Uncle Joe's Spirit House

Billy Bangと作った『Scrapbook』、そしてPeter Kowaldとの『The Victoriaville Tape』からずっと好きで店頭でみつけるたびに購入しているベーシスト、ウィリアム・パーカーの新作2枚。
ものすごく広く旺盛な音楽語彙をもっているひとだから、一枚一枚がどう、というのは難しいけれど、新作がそれぞれ、それこそ誰でも知ってるCURTIS MAYFIELDに、もう一方が自分の伯父さんに捧げられているというのがおもしろいです。狭義のフリージャズではくくれないフリーさを音楽に込めることができる数少ないひとのうちのひとりだと思う。
Scrapbook

Scrapbook

しなやかな名盤。
Victorianville Tape

Victorianville Tape

併疾走する2本のダブルベース。演奏の光悦が。

千のプラトー 中 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)

千のプラトー 中 ---資本主義と分裂症 (河出文庫)

文庫化されたミルプラトーの中巻を拾い読みしています。通し読みというものが困難な著作だから、こういう拾い読みに文庫三分冊化というのは非常に助けになります。市田良彦の『ランシエール』を読んでから、そしてここ数か月では佐々木中の『切り取れ…』を読んでから、ちゃんと読みたいと思ってきた「リトルネロ」の章。リトルネロについての章でありながらいまひとつ理解ができなかったのが、今日、寝ころびながら拾い読みしていて、むしろその前章である「強度になること、動物になること、…」に、リトルネロについてはかなりはっきりとしたことが書いてあることに気付いた。
ランシエール―新〈音楽の哲学〉 (哲学の現代を読む 5)

ランシエール―新〈音楽の哲学〉 (哲学の現代を読む 5)