みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

台北1日目:大阪でジョン・ブッチャー聴いた翌日に台北で小籠包頬張るしあわせについて

お盆の分をずらして溜めこんで、九月の連休に決死の想いでぶつけてとった11日連休でしたが、前半は腰が急に痛くなって、怖れおののいて駆け込んだ総合病院で保険証忘れるわ、意味のないレントゲン撮られるわで散々な出だしだったのですが、近所に良い整骨院を見つけてやっと二泊三日の旅行に行ける目途がついた。できれば三泊四日にしたかったけれども、代理店に駆け込むのが遅すぎた。

日本でみる予報では生憎台湾は台風のため22,23,24連日雨ということで、ずいぶん覚悟というか諦めを嚥下してキャセイパシフィック台北経由香港行に乗り込みましたが、台北に着いてみると、どこがやねんという快晴…そして、やはり38度という猛暑。当たり前ですが。
空港に着いた後はツアーバスに乗り込んで、ホテルのチェックインまでの時間潰しのために免税店に連行されました(笑)。バスの中でまっさきに感じたのは、冷房のきつさ。外が暑いので乗り込んだ瞬間はたすかったーと心底思いましたが、かなり冷たさでガンガンにかけてる。窓から見える併走するバスの後部を見ると、バス後部に日本では見たことないような連装の空調用の室外機(のようなもの。僕にはバズーカ砲のようにも見えた)が付いている。話にはきいていましたが、台湾って冷房王国なんだねー。
今回の台北行きは、九份(きゅうふん)をどうしても観てきたくなってしまった、ということがそもそもの動機だったのですが、日本の代理店では同行者が集まっていないので九份行きのツアーバスは出ない、と言われて、自力で高速バスに乗っていくつもりになっていました。それも中日はゆっくり台北の街をフラフラしたいから、初日にチェックインしたらすぐに高速バスに乗ろうと思っていたんですが、免税店でガイドさんが意外にも、「九份ツアー行く人〜〜!」と呼びかけしていて、参加者も結構いらっしゃったので、あ、こりゃこっちのほうが楽かなとあっさりとはじめの覚悟を放棄してそちらに参加表明。しかも夜の九份観光というから、あの赤い提灯が見れるなーこりゃ幸い、と。ただ、バスが出るのは翌日23日。
ツアーの中みは完全に自由行動にしていたので、これで初日が丸々空いてしまった。

MRT西門駅近くのホテルにチェックインして、とりあえず台北をうろうろしてみようと部屋を出てみた。西門付近は、台北では映画館や若者向けの服屋の並んだ電気屋街。

ホテル出て5分もしないうちに、えらく気合いの入った『アバター』コスプレに遭遇。家族連れが喜んでましたが、肝心のお子さんが怖がっちゃって、ナヴィも困惑顔だったのがなんとも微笑ましかった。
地球の歩き方」によると、西門に「ローズレコード」というCDショップがあるというので、台北タワーレコードみたいなもんかと想定して、友人Mに頼まれていた「S.H.E.の人」のソロアルバムを購入しに立ち寄ってみると、たしかにHMVとタワレコの中間のような看板があるが…入ってみるとプリクラとゲームセンター?で、すみっこにCDの棚がちょっとだけ…でも目当てのCDはあったのでよしとする。

Iさんの奥さんに教えてもらった台湾料理屋さんがあったので、かなり早めの晩飯だけれどもそこを目指してみようと思って、はじめて台北市内の交通機関である「MRT」に乗ってみる。MRTでは切符は買わずに、自動販売機で行く先の運賃分のプラスチックの小さな円盤「トークン」を買う。これを出発駅の機械にピッとかざして入り、降りる駅で機械に放り込みます。
サイズは500円玉より大きい感じかと。これなら失くしにくいし、もともと僕は汗っかきなので、夏場は胸ポケットに切符を入れておくとたいがいふにゃふにゃに湿らせてしまうので、大阪よりも暑い台湾ではなおさら、このトークンに良い印象を持ちました。MRT構内って時刻表がないし時計もないんですね。来たら出る時間なのだよ、というシンプルさ。MRT車内もキレイ。あと、運賃がやっぱり安い。記憶だとMRTの終点「淡水」までいっても30NTD以内だったんじゃないのか。日本円で100円以内。大阪市交通局とか北大阪急行には是非見習ってほしいと強く思う(若干、怨念こもってます)。

大阪でIさんの奥さんに教えてもらっていたのが、長安東路二段にある台湾料理『九番坑』
いまおもえば、「九番坑」という名前からして、目的だった「九份」のイメージだったことは明らかだったと今気づいてぜひとも料理を食べたかったなあと思うのですが、汗をダラダラたらしながら辿り着いたお店は本日休業、残念ながら22,23日の台湾は祭日でお店はお休みでした。

どうもこの「星期日」というのに運悪く当たってしまったみたい。
で、気をとりなおして、今度は会社の同僚の女性に教えてもらった小籠包の美味しい店を目指そうと「地球の歩き方」のページを繰ると目指す店『京県小館』は、長安東路二段から歩いていけそうな敦化北路にある。なので、大阪市内を歩いているようなつもりで歩きだしたのですが…すぐに後悔しました。暑いんだもん。
で、暑さに朦朧となりながら、台北市内の歩道を歩きながら、印象深かったことがふたつばかり。
まずひとつめは、先に触れた「冷房王国」に直結することで、台北市内のビルの下の歩道を歩いていると、突然頬を打つ水の滴がある。一回や二回ではなくて、頻繁に落ちてくる。馬鹿みたいに晴れているのになんだと思っていると、冷房の室外機から落ちてくる水だった。そのビルが、っていうんじゃなくて、ほぼすべての通りで気を付けていないと、頭の上に水がポトポト落ちてくる。

もうひとつは、歩道のいたるところで、付近の住民が勝手にバーベキューしているということ。写真は「九番坑」近くの長安東路で撮ったけれど、ここが特別というのでは全然なくて、たとえばMRT木柵線が真上を運行している復興北路沿いの割とおしゃれなテナントが入っているビルの歩道でも、いきなりバーベキューしているのである。俺もアメ村とか南森町でやってみてえよ。ビートルズならこういうね。

「Why Don't We Do It In The Road ?」

やっと辿り着いた『京県小館』は、観光客向きに衒った風情など皆無の、おそらくは台北市内のひとが普通に食べに来たり、夕食用に小籠包を買いに来る庶民的なお店でした(といいつつ、東京恵比寿にも店舗があるそうな)。
とにかくビール飲みたいという強い意志を顔面に漲らせて席につき、日本語なのか英語なのかよくわからない片言と身ぶりで台湾ビールと小籠包と排骨チャーハンをオーダーしてみました。汗ダラダラかいた男ひとりの日本人の注文をとってくれたのは「矢田亜希子」を3段階くらい「ふくよか」にした感じの店員さんでしたが、オーダーのとき微妙な顔をしていた。それに気付くべきだったのですが、まず排骨チャーハンっつうのがとにかく「山盛り」なんですな。こりゃ絶対二人分。でさすがに最初だからと警戒して注文した小籠包ひとつも10個入っているのでたちまち腹は10分目を越してしまった。でもビールは二本飲んだ…。チャーハンが大変だったにしても、生姜醤油につけて食べる小籠包のジューシーさにはほんとに台北来てよかったと思いました。味が口のなかにじゅっわっと広がって、すぐに消えてしまう感じ。それが名残惜しすぎて次に手が出る。チャーハンなかったら延々と食べてたんだろうな。
大阪の中崎町で、ジョン・ブッチャーさんとエディ・プレヴォーさんのデュオ即興を聴いた次の日に(極私的音楽嗜好成就の日の翌日)、こうやって台北で汗たらしながら小籠包頬張ってるのって、凄い好い感じ、と我ながら思ったりしましたですね。

入店したのが、夕食としてはかなり早めの5時半くらいだったから、4人席で一人悠々と食べれましたが、食べてるあいだにドンドンドンドンお客が入ってくる。さすがの名店だなと嬉しくなって胸いっぱい(お腹いっぱい)で店を出たわけですよ。

次にMRTで向かったのが、有名な「士林観光夜市」。街ごと夜市なアジアな印象、ですが、あまりにお腹いっぱいで、食べたり飲んだりはできず。それが残念。

まず目につくのがフルーツ屋台。色とりどりのフルーツが目に鮮やか。おばちゃんが目の前でバスバスとフルーツを捌いているのもいい。夜市の奥のほうまでいってみると、服で止まらずに、ペット売っている店まであった。なんでも売っている勢いです。

完全にアーケードになっている夜市のほうにいってみると、そこはもう「喰い」の天国のような様相。『京県小館』で食べ過ぎたお腹をうらみつつ、ひやかしで済ませましたが。

雰囲気最高なんですが、ひとつだけ。市に充満する「臭豆腐」の匂いが、個人的にやっぱり耐えられず、それは僕だけじゃなかったみたいで、ほかの観光客でも鼻押えてるひといるでしょ?とにかく強烈。

このあと、ガイドさんが紹介してくれた林森北路のマッサージ店に行って二時間くらいマッサージと美顔をやって顔の脂を絞ってもらう。噂通り安かった。ホテルまで送迎つきといわれたけれど、タクシーも安いときいていたので、ぶらぶらしてホテルまで帰ることに。林森北路っていうのは割と柄の悪い界隈ときいてましたが、べつに強盗さんにもポン引きさんにも出あわずに国父史跡記念館くらいまで歩いてあとはタクシーに乗って西門のホテルへ。