みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

『サロゲート』『ブルーマスク』

 

サロゲート [DVD]

サロゲート [DVD]

 粉川哲夫氏の『シネマノート』の評が、めずらしくけちょんけちょんでなかった記憶があって、DVDになるのを待っていたブルース・ウィルスの『サロゲート』を観た。
 2時間という尺にどうしてでも物語を収斂させなくてはならないと思い込んでいるあいかわらずの窒息した筋運びだと思ってしまった。尻切れトンボで謎ばかりで終わってくれたほうが楽しめるような気がしてならない。おそらくはサロゲードという設定が、あまりに人間くさい欲望に根ざしていて、外部性のスリルを取り逃がしてしまっているからだろう。過負荷銃などという武器も安易すぎて、こんなしろものが驚異となるような世界はそもそも成立し得ないと興醒めしてしまう。でも、ヒゲづらのブルース・ウィルスはいい感じだと思った。
 この映画のおもしろさは、目の前のサロゲートを遠隔で操作しているオペレータがどんな人物なのかわからないということよりも(ぼくらはとうのむかしに、スタンドアローンサロゲートのものがたりを知っているから)、サロゲートで埋め尽くされた街を生身で行くブルース・ウィルスが感じる眩暈と吐き気のほうにありそう。しかし、それすらも、観終わってなんとなく物足りなくて聴いたルー・リードの『Waves of Fear』のほうが強烈かつ甘美。
Blue Mask

Blue Mask

ロバート・クワインに言わせれば嫌味なおっさんだったらしいですが、このアルバムのルー・リード・バンドの錬り具合はやはり凄い。ルー・リードはやっと自分のロックがやれた、と思ったんじゃないだろうか。
Set the Twilight Reeling

Set the Twilight Reeling

『ブルーマスク』といろんな意味で対になっているのがこのアルバムかと。この画像のは黄色ですが、たしかブルーのケースに入ってジャケットもブルーマスクの20years afterという感じだった。なにより収録曲のテイストが、ブルーマスクの曲と交互に聴いても違和感がない。