大本雅彦『星の舞台から見てる』を読み始める。David Tudor『Bandneon!』
「人類は、今だって、麺類。」という、かつての安藤百福さんの言葉をリニューアルした日清食品のCMが、小売・店舗に限らず麺商品全体の売上を底上げしている。オアシスの「Don't Look Back in Anger」をバックに、若きハリソン・フォードが、今度は刑事に邪魔されることもなく屋台でラーメンを心おきなく啜りついに汁まで飲み干すという歓喜あふれる映像の最後に、さきほどのコピーがかぶさる趣向なのだが、それが人々の麺類全体への食欲をいたく高ぶらせ・募らせ・あるいは思い出させるのだ。
とはいえ、デッカードがブレードランナーのなかでありつこうとしていたのはラーメンではなくてウドンだったよな(4玉も)とつぶやきつつ、立ち食いソバのスタンドを出ると、酸性雨の向こうで宇宙旅行の広告が天空に流れていた、というレトロな妄想が、通勤準急30分で寝ぼけ混線頭に去来していました。
現実に戻ると、さすがに/すでに「そして、人類は麺類になった。」 というコピーがあったのだった。
残るは「麺類だって、人類。」だな。
木村カエラが堀北真希の携帯であるというdocomoのCMや広告をみていると、頭のなかで読み始めた大本雅彦『星の舞台から見てる』のエージェントの世界がダブりはじめた。ふと思うことは「アバター」というアイデアより「エージェント」というアイデアのほうが個人的には好きだなということ(同じ俎上にのせれる用語ではないのだろうけれど)。とはいえ、この種のアイデアの究極は、すでに岩明均の描いたミギーである、と結論したい自分がいて困ります。
『星の舞台から見てる』は最初、なんかライトノベルみたいなトーンだな不安、などと不遜にも思ってしまいましたが、エージェントがサールを引きあいにセマンティクスについて語りはじめたところで、完全に巻き込まれている読者としての自分を認識。。
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当時チュードアがバンドネオンという楽器に夢中になっていて、アルゼンチン・タンゴを現地で聴き漁っていた、というエピソードも。オマケというよりは核心であるようで、好いです。