みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

たゆたう、アキビンオオケストラ、室内@富田カフェ・コモンズ

nomrakenta2009-03-07


今日は、『笑うイシ Laughing stone rolls around』という投げ銭制のライブにいってきました。
阪急京都線を富田で降りるのは初めてでした。出口をでるとすぐに商店街があって、ファミリーマートの入っているビルの5階にカフェ・コモンズhttp://cafe-commons.com/があった。
開場時間より前に入ろうとしたら、店の前で江崎氏率いるアキビンオオケストラの皆様が空き瓶をもってまさに打ち合わせと練習をしようとしていた。まだか、と思って一階に降りたら、アキビンの練習の音が頭上から降ってきた。自分ならそれとわかる音でも、通りかかる人はこれが楽音だとは思わないようで、誰も上を見上げたりしない。
店内はカフェとしては広いほう(だと思います)。いつも演奏のスペースを確保しておられるのかどうか知らないが、お客は20名くらい入ったらきつそうな感じではあった。
トクヒツすべきは、その富田商店街というロケーションで、5階にあるカフェからは、もしあなたが京都側を向いたとするならば、すぐ左には阪急京都線、右見ればJR駅である。二本の路線にちょうど挟まれた土地にいることが、はっきりとわかる感じで、演奏中も、両路線の電車のゴトゴト音が効果音になっていた(べつに皮肉ではなくて)。
カフェ・コモンズはオーガニック食材にこだわったカフェ・レストランで、ピザは石窯で焼いているというこだわりようだった。マルガリータを頼んだのですが味はしつこくなくて素朴なもの、ピザの生地がしっとりとしていて食感がとても嬉しい。

◆今からライブですよ〜という仕切りらしい仕切りもなく、一番手の「たゆたう」が「こんばんわ」と演奏をはじめる。「たゆたう」は、つい先週末京都でみたばかり。ふたりとも裸足で演奏しているのに気づいた。
◆「アキビンオオケストラ」http://akibin11.blog.shinobi.jp/をはじめてみたのは、最後から2番目か、最後の「フェスティバル・ビヨンド・イノセンス」だったと思う。とにかく、2年ほど前、いまはなき新世界BRIDGEでのことかと。今回はそのときから比べると人数が減ったような気がして8人くらいだった(これだけで純粋なお客の数を上回っていたりして)。カフェの店内を横切るようにして並んで一斉にメンバーが口に添えた空き瓶に息を吹き込むと、その場にいないとわからない、ユーモラスで親密な音の場面が生成する。
輪になったメンバーに江崎將史氏が指揮(というか合図)して、ホッ、ホッ、モッ、モッ、といた音がリレーされる。横歩きで吹いてみたり、ぴょんぴょん跳びながら吹いたり、円陣組んでステップ踏みながら吹いたり、結構バリエーションがあります。最後の輪唱のような形の曲がよかった。ぜひいちどアキビンオオケストラに囲まれて眠ってみたい。
◆「室内」http://www.myspace.com/situnaiは初見。男性二人のデュオだが、かなりおもしろい。サンプラーとギター、パーカッションを担当する人と、サックス、チェロ、マンドリンウクレレ?)、エレクトロニクスを担当する人の二人で、どちらもメガネをして帽子をかぶっていて様になっている。音は「popo」を思い起こさせるダブマナーがあって、アンプから出る音響には、細部まで神経が行き届いている。そこに生演奏をかぶせつつ、その楽器のフレーズも同時進行でシーンケンスして、小さいけれど気の利いた音のテクスチャーを作り出していた。ギターのアンプがちょっとしたヒス・ノイズを出していたけれど、それが意図的な効果と思えたほど。


「アキビン」は、そのてっていてき(ひらがなが似合うと思う)に非アンプリファイな「楽器」とハプニング的な体制(狙ってはいないのだとしても)からして、音の最後のひびきかたまでのコントロールは放棄せずにいられない、というか、あえて言うと不完全な音響のほうに場面を引き寄せて補完させる。対して「室内」は、完全に自分たちの音のテクスチャーを響き方・消え入り方まで「曲」として把握している。
しかし、そのどちらも親密な音の場面から立ち去りはしない。むしろ「たゆたう」も一緒になって、その親密さの真ん中に、常に留まっていこうとしているようなのが興味深かった。


これはアキビンオオケストラ(4名)が新世界BRIDGEに別れをつげ「おひっこし」する様子、とのこと。