みつめるひとの耳は、なにを歌うか、その香りに。
何気に手強い月末。てんてこを舞う快楽。花粉も舞ってる。
ほんとに仕事減ってるんだろか。受電数はかなり健康なのだが。しかも本日付けでお辞めになる方もいらっしゃるので、来月からの応答率が心配である(心配、というか落ちることははっきりしてますが)。
今月の動静。
先月末に、「みみのまばたき」用の「はんこ」を篆刻屋さんに発注した。なにか現実的に入り用というのではないのですけれど、なんだか気分を出してみたくなったのです。…が、最初から一か月くらいかかります、とは断られてはいたのだけれど、未だなんの音沙汰も。個人でやっている方なので、あんまり急かすことはできません…。
- 作者: ローワン・ジェイコブセン,中里京子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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「(蜂蜜の)甘さと(蜂ろうで作ったろうそくの)光というもっとも崇高な二つのものを人類にもたらした」(ジョナサン・スウィフト)ミツバチと人類の歩みは、最も典型的な「共進化」とそのものだといえる・らしいのですが、その蜜蜂のコロニーの突然死(蜂群崩壊症候群)が近年騒がれている…と、ここまで昼休みに読んだところ。
- 作者: きだみのる
- 出版社/メーカー: 冨山房
- 発売日: 1981/01/30
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精神はもっと別のところにあるし、ユマニスト、ってなんだっけ、と想起してみてもいい。
一七九〇年、グザヴィア・ド・メェストルという男がパリで決闘騒ぎを起こして閉門。男は蟄居した「自室の」周遊記を書いた。まさに「部屋の隅から、向こうの隅まで」の探検記である。この本は敗戦後の日本を「閉門」に処された国家として、著者が当時住んでいた集落を周遊してみるというかたちをとっている。
あれは昭和二十年頃でしょう。食うものも食えず、世の中は乱れ放題だったし、ぼくは絶望していて、食うためにパン焼工をしたり旋盤見習工をしたりしてました。日本の小説はワラジムシみたいなものが多かった。何にも精神の爽快というものがなかったとき『気違い部落』が出たのですよ。あれはいささかペダンチックな趣きがあるけれども、けっして軽薄ではなかったし、じつに爽快、胸のなかを風が吹き抜けるみたいでしたね。
――開高健の発言 『気違い部落周遊紀行』より
「ひきこもりかた」にもいろいろある筈だってことを、日本は忘れてはいないだろうか(なんつって)。
- 作者: 吉本隆明
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- 作者: 鈴木志保
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ロバート・ワイアットが抜け殻のように美しい声で歌いあげた「船を建てる(Shipbuilding)」とは若干趣は異なるのは、そして「タイタニック」と反響しまくっているのは、当時も今も、ご愛嬌。
主人公(達)は可愛いアシカ2匹である(コーヒーとタバコ、という)。自分たちのイチゴ畑(Strawberry Fileds)が欲しくてクジラ解体工場に勤めている。懐かしいシブヤ系にも通じるリチャード・ブローデイガンやボリス・ヴィアンからの引用(というかオマージュ)が局所的に自分にはヒットしていたが…漫画としてはどうなのか。再読してみると、驚くほどに古びていない。いろんな元ネタは、もちろん読む者に応じてその楽しみの度合を変えただろうが、再読すると、それを超えて「メルヘン」としての純度が、結晶度が、異様に高かったことがわかる。エピソードによっては読み難いほどの、漫画形式じたいへの「震え」とでも形容できそうなものがある。
昔は作家が若いからなのだと(不遜にも)思っていたが、今読むと、そうではなくて鈴木志保という作家の根幹の部分であり、「語り」のリズムのなかに織り込まれているものであるらしいのは、最近話題になった「HEAVEN」を読むと、さらに得心できる。これはいろんな漫画家にとって、うらめやましいことなのではないか。
どちらにしても、これ以上言葉をいじくりまわすのが、どうにも嫌になるのは、おそらく正解。恋人たち、あるいは元恋人たちのための(であってもなくても)。
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ディレイ・デュオ、というのもおもしろい。壁紙のような音楽。スーパー・デラックスには、一瞬だけ東京にいた2000年に、これまた一瞬だけお邪魔させていただいたことがありました。「生意気」さんの企画するエール・ビール呑み放題のパーティーで、タコ焼きを焼くお手伝いをさせてもらったのですが、もちろん誰も覚えていないだろうし、今まで自分でも忘れていた(ヒロ杉山さんが、最後に黙々とひとりで表を箒がけしておられた)。パーティーの終わりに「生意気」さんの事務所でちょっとだけ休ませていただいたら、そこにはヨーロッパ即興音楽系のイベントのチラシが山のようにあった。その日ではなかったけれど、色校正を持っていったとき、「生意気」さんのどちらかは忘れたけれども、何もいわずにグッと親指を突き出してOKを出して頂いたことだけは、一生忘れない。普通の色校正ではない。本刷り用の紙に、バーコまで乗っけた、まさに本番校正だったのだ。そんな極私な想い出とともに、この音の壁紙は、僕を浸す。
それからスーパーデラックスにはもちろん行ったことがない。オーサカで、生きているのだからね。
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これまでマイナー音楽雑誌の珍盤紹介欄(?)の薄暗いモノクロ写真の極小角版で時々お見かけして、意味深なのか肩をすかしたいのかわからない「
ロルさんを初めて知ったのは、中学生の頃、レコード屋でみた(買ってないところがミソ)「突然段ボール」との共演盤だった。ずんぐりとした犯罪者さんに見えなくもないルックスで、しかも即興音楽の人というのは、ちょっと近寄り難い雰囲気があった。フリージャズな出自ながらなぜか微妙なポップ感がある仙人というイメージがあったロルさん、なんでそんなイメージがあったのか、このアルバムを聴いてやっとわかった。冒頭からしてもろコックニー訛りなロルさんのアナウンスである。つづく鉄橋の上で録音したというソプラノ・サックスのソロのサラウンドがとてもすんなりと自分に染み込んで、いや自分を通り過ぎていくのが気持ち良い。子どもに歌わせてコラージュしたビートルズの「おいらはセイウチ」だって完璧な「
大道芸みたいな風通しの良さが、実験的な断片をつなぎ合わせて、不穏な音のスクラップ・ブックにしている。これは一生好きなアルバムになりそうです。
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サイコさんにしか見えないクリスチャン・ベールは、ありえない人間としてのブルース・ウェインに、上手く「身をやつして」いると思う。ジョーカーはジャック・ニコルソンの時と比べて出自自体の説明責任を観客に対して負わない、どころか裂けた口に関して異なる逸話を仕上げて攪乱さえして潔い。メイクが剝げかけている留置所シーンではなぜかドキドキしてしまう、のに比べて後半のハービー・デントの転換は無理やり型に嵌めているようで浅い印象。「バットマンはヒーローではない」という割り切りには、ついに出たかと溜飲を下げたが、誰かをヒーローにしなければならない、という物語の要請(が代弁したそうな「アメリカ」の要請)自体には心底得心はいかないところのあるぼくは、やっぱり今でもストラングラーズが。
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