瀧道で紅葉に浸る〜NHKスペシャル『雨の物語〜大台ケ原 日本一の大雨を撮る〜』に魅入る〜フェイセズの『ウー・ラ・ラ』各種
今年、紅葉見れるのも最後かなと思い、8時過ぎから瀧道へ。
最初枯れ葉色の刷毛でもひいたような印象だったのが、朝陽が谷間に差し込んでくるにつれて谷は色で溢れてきた。
多少恍惚となりながら、シーズン中はドライブウェイが1車線になるのでそのまま車道を登ってビジターセンターまでいってみた。
黄金色の谷間を撮ろうと、数名のカメラマンがすでにポジションを確保していた。
朝露に濡れて閑散としたバーベキュー場の空気がうますぎた。木製のベンチに落ちた濡れた紅葉たちの色が鮮やかだった。
そのまま谷間を満たす朝のひかりの中、町へと下っていった。
夜、大河ドラマで篤姫が江戸城をなんとか無血開城までもっていった後、NHKスペシャルの『雨の物語〜大台ケ原 日本一の大雨を撮る〜』を観る。
高速度カメラで捉えた雨の姿の映像は、驚きの世界だった。歌川広重は浮世絵「大橋あたけの夕立ち」で、雨の降る方向の不規則性を繊細に捉えているとはいえ、雨を降下する「線」として表象していた。
今夜、高速度カメラによって、引き伸ばされた優雅な一瞬の中で、球形の雨滴は、はじめボタ雪のようにみえて、絶えずふるふると震えながら浮遊するように見えて、ゆるやかに落下していった。その滴ひとつひとつの隙間をかいくぐっていけそうなほど、幻想的な映像だった。大雨になると落下の急激さによって、雨滴は平らになって直径1cmくらいになり、地表に当たると500円玉大の面積を濡らすことになるのだそうだ。
梅雨の時期にだけ出現する泉の上にかかる木々に泡を作って産卵するモリアオガエルや、雨に弾かれる虫を捕食する渓流のアマゴ、雨滴の「着弾」の衝撃によって胞子をポフッと吐き散らすホコリタケ、など雨の生命の連関も興味深く、小さな世界のダイナミズムを伝えていた。積乱雲の中にジェット機が突っ込んでいく映像もすごい(幼稚なコメントですね)。
突然、はまってしまう曲というものがあって、最近の場合、フェイセズのラストアルバム「ウー・ラ・ラ」の最後に収められている同名の曲がそうで、ここ2,3日、今日紅葉を見ながら歩いているときも、頭の中ではこの曲がローテーションになっていた。
祖父の思い出を歌っているのだけれど、そんなにしんみりしているわけでもなくて、テンポは軽妙なくらいだと思うのだけれど、染み込んでくるものがある、オールタイムな名曲なのである。
そうなると、いろんなバージョンを聴いてみたくなるわけで、YouTubeでいろいろ探していたのだけれど、フェイセズはおろかロン・ウッドも出ていないこのクリップが最高に良かった。
単におじいちゃんと孫が一日遊んでいる、というものなのだけれど、タイムリーな秋の映像といい、歌詞に無理に合わせないゆるい作りといい、映画のブリッジ部分のワンシーンみたい。
演奏しているものでは、ロニー・レイン↓がやっているものが一番良かった。
最後でバツッと終わっちゃうんですが、ロニー・レインの顔と声に免じて…ということで。
コアーズとロッド・スチュワート↓が演奏しているのが、これ。
もともとそういったメロディーなのか、アイリッシュなアレンジが相当はまっています。やっぱりうまい歌手ですわこの人、あたりまえだけど。個人的にはトム・ウェイツの「ダウンタウン・トレイン」をカヴァーしたときにかなり抵抗を感じたのだけど、歌だけで表現してきてるんだもんねえ…と言葉にすると身も蓋もない感想ですが。コアーズ姉妹、奇麗です。
ロン・ウッドのもの↓もいいのだけど、これはちょっと痛々しいところも。
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