吉野大作『ランプ製造工場』と佐藤優『国家論』
吉野大作については浅いです。
吉野大作を初めて聴いたのは、『REBELSTREET』という日本インディーズのコンピで吉野大作&プロスティチュートの「ここ、そしてここじゃない場所」という曲を聴いた時で、その後はかなり時間を置いて『死ぬまで踊りつづけて』を聴いた、でもその時は自分の耳がどうも日本インディーズのフリーキーな部分から少しずれていたのと、1972年をえぐり返しつづける「M.U.R.A」がちょっとつらかった経験がある(でも今聴くと、ひとめぐりしていて「闇の中のドッペル・ゲンゲル」なんかひじょうに格好良い。)。
で、今回はこれ↓
- アーティスト: 吉野大作
- 出版社/メーカー: ディウレコード
- 発売日: 2007/12/21
- メディア: CD
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なんだろうこれは。ひどくまっとうなフォーク、ブルースベースのロックで、歌も上手いとは決していえないんですけど、なぜか当時のシーンとかを勘定にいれる必要なく気持ち良く鳴っている。ジャケのコラージュからは想像もつかない気持ちのいい風が吹いている。ライナーにもあるように、当時の東京や大阪とは孤立していたという横浜のシーンがあっての話なのだろうけれど、その後の吉野大作&プロスティチュートも射程にいれて、ここは、日本におけるメイヨ・トンプソンの『コーキーズ・デプト・トゥ・ヒズ・ファーザー』*1とするのが腑に落ちるんではなかろうか、とはあくまでもとりあえずの感想です。
- アーティスト: Mayo Thompson
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- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: NHK出版
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最近内容が重複しだしたような印象がして遠ざけ気味だった佐藤優もの。昨年末に出た本書は、松岡正剛のような噛み砕いた語り口で、テンション高いです(そういえば、『千夜千冊』で松岡正剛が佐藤優を褒めてましたね)。
特に、国家というものを「否定神学」的な手法で、語るというゆきかたが興味深いです。
現在の国家は社会と一体になっている。近代以降はネーションと一体になっている。ならば、思考実験として国家から社会というものを排除してみよう。ネーションという概念を排除してみよう。そこから、国家というきわめて厄介な存在の本質が見えてくるのではないか。このような作業仮説です。
--佐藤優『国家論』p.18