みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

ふちがみとふなと@阿倍野ロック食堂

nomrakenta2007-12-01


今日は早めに起きて瀧道クルーズ。紅葉シーズンなので、人の波に飲まれてしまわないようにと配慮。運動不足につき、瀧を越えた百年橋から、自然観察路という名の山道に入り、ところどころ斜面の土砂が崩れてきていて綺麗に渓に向かって45°となっているのに「自然観察どころか自然に還ろうとしておりますぜ」とびびりつつ、いつもは役行者が昇天したという「天上ヶ岳」へ向かい左に折れるところを正の茶屋(箕面ビジターセンター)に向かって右へ。尾根道の地面は案の定、枯葉が秋色に敷き詰められていて、それは割としっかりとした石段の降り坂にも均一になっていて、上から見ると、階段があるのが認識できない瞬間もあったりするのだった。山には一日として同じ表情の日がない、と一般的にいうのは、やっぱり本当なのだけど、もうちょっと気のきいた言い回しにしたいものではあります。帰りにやっと紅葉見物の行列とすれ違う。
帰宅後はクロックアップしてシャワーを浴びてコーヒーとパン。それから京都まで行って、目星をつけていた本をまとめて購入。このために残業しているのである。そこにあるのが分かっているのならネットで買うのはもどかしいのです。とんぼ返りで梅田へ。地下街で鰻のひつまぶしを喰らう。いいのだ、これくらいは(このために残業しているのである)。
ひつまぶしが出てくると店員の女の子が「食べ方はご存知ですか?」と丁寧に訊いてくる。人生の中でまだ片手で収まるくらいの経験なので素直に「教えてください」というと、得々と「3回に分けてお食べいただけます。1回目はそのまま。2回目は葱と山葵を入れて。3回目はお茶漬けにしていただけます。」おいしゅうございました。
かなり重荷になった本の手提げをロッカーに預けて、阿倍野へ。
よく考えたら今年は『ふちがみとふなと』ばっかり観てました。
①春先の雨にたたられた(たたえられた?)緑地公園での『春一番』から、②ロック食堂、それからまた③緑地公園での『レインボーヒル』(なんとこの日も雨)、それから④友人に連れられていった11月の精華大学での鈴木祥子大友良英のライブ(ほんとはこっちがロック食堂に連れてきたかった)、それから本日の⑤ロック食堂、ということで今年は実に5回観ています。

個人的に今ライブを観るなら「ふちふな」の音が一番具合が良く、またバンド自体の勢いの良さが伝わってくる一年だったわけです。
しかし、それにしてもこの『ロック食堂』は居心地がいい。演奏前に芋焼酎屋久の島」をロックで×2。おでんのスジとダイコンをついばみ、演奏中に同じく「屋久の島」をお湯割りで×2。[rakuten:hukuya:539149:image:small]
今日の前半は、ちょっと渕上さんが風邪気味なのか?と思わせるところが正直ありました。それとも、自分がもう聴き慣れてしまったのか?と危ぶむところでしたが、後半からは張りのあるパフォーマンス。
オリジナル曲も良いのですけども、今日は「ふちふな」恒例のカバーソングのラインアップに改めて感じ入ってしまいました。
『百万円』や「きせる」の曲(曲名がわからない。すいません)も良かったのだけれど、出色だったのは浅川マキの曲(これも曲名がわかんない)。「あばずれ」の女が好きで、その胸に赤い薔薇の贈り物をしてしまうという、浅川マキが暗いステージで歌う様が目に浮かぶような強烈な歌でしたが、「ふちふな」バージョンはそういう重い心情を蒸留するわけでもなく密度はそのままですんなりと聴かせてしまう。唄とコントラバスという、最少編成ながら音の世界は伸びやかで広く、とても具体的。
そして「ふちふな」の『ワイルドサイドを歩け』。これはルー・リードの『Walk On The Wild Side』というロッククラシックから聴き手が受け取るだろう曲想のどこか適確な部分を言い当てて目の前(耳の前?)に置いてくれる。後半のドラマチックな部分は、この曲を好きな人なら意識せずともどこか頭の中で再アレンジ・リプレイしていたもののはず。そんなありえない既視(聴)感がある。
セットの最後に演奏されたのは、早めのクリスマスプレゼントで、確かポーグスの『フェアリィテイル・イン・NY』のなにわバージョン。
アンコールのリクエストには思わず言った『坂をのぼる』を「ふちふな」が演奏してくれました。この曲を聴くと千里丘陵を自転車をこいで登って緑地の塾に通って、また夜降っていった記憶が蘇ります。
とにかく贅沢な休日であったことは確か。

堕ちた天使

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