みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

今日の箕面は天狗祭り@西江寺、ローランド・カーク『We Free Kings』

nomrakenta2007-10-16


9時過ぎに箕面駅に着くと、お山のほうからあの太鼓の音が。

どん、どん、どんどんツクツク どん、どん、どんどんツクツク

ああそうか。西江寺さんの天狗祭りなのだ。
一年経ってしまったのだ。


9時ならもう終わりかけなんでは?との思いに急かされて狭い登り口をせっせと登って境内へ。
よかった、まだやっていた。
天狗さんも二人、手に持った「ササラ」をジャリジャリいわせながら腰を屈めて見物の人々の間を縫って走り、めぼしをつけた人の頭をぱしっ。ぱしっ、(時々)ベシ!と叩いておられる。
かなり日本酒も呑んでおられるせいもあるのだろうが、腰を思いっきり折った中腰で(こどもを狙っている)ふらふらと不規則によろめいていたかと思うと、急に全速力で駆け出したりで「酔拳」を想起させる動きがおもしろい。


いつもながらお祭りの高揚がそこにはあって、お酒も飲んでいないのに心が浮き立ってくる。
女の子はうれしそうに怖がり、男の子は隙あらば挑みかかろうとする。小さな子供を抱えたお父さんは、厄払いに子供の頭を叩いてもらおうとして、天狗に近寄るが子供はぎゃんぎゃん泣き出す。
じっさい天狗が子供を叩くときは寸前に手を止めて、やさしくペンとやるんですが、それでも特に男の子が泣き止まないのが、微笑ましい。みんなひとつの演劇空間にいるのだった。心地よい。


それにしても、今日気になったのは、太鼓のビートがちょっとスローで音も小さめなような気がしたこと。付近に新築の家も増えたので遠慮しているのだろうか。それに上記のビートが一巡するときに、一時急激になってその拍と拍の間に観客が歓声というか罵声を天狗に浴びせるのが、僕の子供の頃から通例だったんですが、それがまったくなかった。
どん、どん、どんどん。『あーほ!』どん、どん、どんどん。『あーほ!』
だったのである。そこだけ境内は暴力的なムードに包まれて、昔は本気で怒り出す天狗さんもいたようだ。
まあ由来なんて特にないんだろうし(たぶん悪ガキが言い出したことが通例化しただけなんだろうし)、品もよくないし、幼稚なこと甚だしかったわけだが、そんなものでも無くなってしまうとなんだか「なんだこれは。ジェントリフィケーションか?」などと思ってしまう。

良い悪いはわからない。しかし昔「あーほ!」と思い切り叫んでいた中学生は、学校で暗い顔をしていても、このときだけは優しい顔をしていたような気がするのだよな。要はさびしいのか。


帰宅後、お祭り気分を失いたくなくて、ローランド・カーク

We Free Kings

We Free Kings

いや失礼しました。滅茶苦茶洗練されたジャズなのだった。
曲が求める音色で吹くために、しかもパッセージごとに楽器を変えたカークの「耳」は、ジョン・ケージのそれの対極にあるなにものかだとも思うし、例えば感極まって音色が「ぐしゃり」とつぶれたりひしゃげたりするところでも、きっちりとメロディーとして了解できるものがある。