テニスコーツの『タンタン・テラピー』とロバート・ワイアットの『コミックオペラ』
最近気になる新譜のラッシュ。うれしい悲鳴もそろそろただの悲鳴に。
まずは、すでに色んなところで(?)傑作との呼び声も高いテニスコーツの新作を聴いてみました。
意外に『ミオフーⅡ』とかなり嬉しいリンクしております。私の中限定で。
- アーティスト: テニスコーツ,tenniscoats
- 出版社/メーカー: WEATHER/HEADZ
- 発売日: 2007/10/20
- メディア: CD
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「ハプナ」のテープ勢の全面的なバックアップで録音された本作。たしかに、メロディーも「うた」もくっきりとしながら、甘酸っぱいだけではまったくなく(むしろ渋いモードで訊いた方がよい)、幽かななだけでももちろんない(むしろアヴァンギャルドな「みんなのうた」であるような)微妙な「テニスコーツ」の空気を確実にパックしつつ、スケールも大きい。
ジャケットもかなり「ハプナ」。
ライナーを読むと、当初から「テニスコーツ」名義のアルバムとして録音にはいったわけではなくて、ハプナ人脈とのコラボレーションだったみたいですが、こちらは出来上がったおいしい果実を頂くだけの立場で申し訳ありませんが、これらのエコ・ジャジーな演奏の「うた」への寄り添い加減の具合良さからして、「テニスコーツ」として大成功、と思います。
録音時期が2006年の10月から今年の7月にかけての数回にわけて、となっているから、今年最期になってしまった「FBI」の最終日とも重なってくるなあ・・・。
そう思うと、Sayaさんの歌声がまたくっきりとたちあがってくるような錯覚が。
静かに聴き続けられていきそうな、やはり「傑作」か。
で、こんどはロバート・ワイアット翁の新作。
- アーティスト: Robert Wyatt
- 出版社/メーカー: Domino
- 発売日: 2007/10/09
- メディア: CD
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噂通り力作で、ワイアットのヴォーカルも元気、というのにウソはない。
ただ、新作のたびに(といっても数年に1作で、それこそファンは待ちわびておるわけですが)称賛されるワイアットの「天使の声」みたいなコピーはいい加減「そうかあ?」と言いたくなります。あり得ない声とは勿論思うのだけれど、ワイアットの歌声の何かゾッとするような抜き差しなら無いところが、いつもそういう感想からはとりこぼされているような気が。
本作はまだ一回しか聴きぬけておりませんのでなんですが、ワイアットの想像力はむしろシニカルなものが骨としてあるんであって、叙情的な部分も多分に両義的なスタンス、という気がします。
それでも長年の愛着からか、『Old Rotten Hats』の頃のほうがシンプルでも「うた」が大きいと思っちゃうんですけど・・・。