みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

読書中:原 宏之『言語態分析―コミュニケーション的思考の転換』

本屋の棚の佇みながら「言語態」というコトバが気になってはいたのですが、買ってまで・・・と思っていたんですが、先日読んだ『東京大学「ノイズ文化論」講義』に著者の原 宏之氏が登場。著書の『バブル文化論―“ポスト戦後”としての一九八〇年代』についての絡みでの対談が載っているのを発見したので、最近読み始めています。

言語態分析―コミュニケーション的思考の転換

言語態分析―コミュニケーション的思考の転換

基本的にフーコーディスクール分析を分析の基礎的方法として考えていて、紙媒体だけでなくネットやテレビCMなどマルチモーダル化する言説の「かたち」を広範に捉えていく・・・という構造のようですが、それだけなら全く目新しさはない。今100ページくらいの序文をやっと読み終えて、ここからやっと「言語態分析とは」みたいなものが始まりつつあるんですが、「言語態分析」のミソは、どうもマルチモーダル化したディスクールへの節操のない分析よりも、基本的な態度・認識に変更を迫る、みたいなところにあるみたい。文体に対する「彩」とか発話のニュアンス、アクセント、こういった状況的な「情報価」みたいものは単なる音声の発話やテクストだけじゃなくて、それこそテレビCMでもネットの書き込みでも、いろいろ想定することができるわけで、そんな「言語態」の網の目みたいなものを絶えず想定していく、という動的な視点に言及が進んでいきそうな予感です・・・といって、そこをこれから読むんですけど。

全然違ってたらまたそれもおもしろい。
それにしても、この年代の学者さんのフーコーの持ってき方に、そつが無いのが最近好ましいです。僕なんかがフーコーとか読めるようになるには、多分こういう人達が説明してくれるのを待たなきゃならなかったのか。