みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

あがた森魚『乗物図鑑』

乗物図鑑

乗物図鑑

ちょっと前に買っていたものを聴く。ジム・オルークなんかがこのアルバムの熱狂的ファンらしい。
いきなりチープなトイポップ風の1曲目に勝手に抱いていた予想を裏切られて面食らう。あがた森魚自体殆どまともに聴いたことないのに、このアルバムからってのは無謀だったかと一瞬後悔。
しかし、次の『ブリキ・ロックンロール』の闇雲さにのったロマンティシズムを聴いて印象改まる。3曲目は、ジョイ・ディヴィジョンの「She's Lost Controll」のベースライン(というかベースラインしかない曲だが・・・)を下敷きにしたという『サブマリン』に腹蔵なく良い意味での時代を感じる。神経質に痙攣するあがた森魚の「うた」の端々が、全体的なサウンドとしっくりいっている(Phewの無表情なコーラスも乙)。この『サブマリン』という曲のあとにくるのが『エアプレイン』。この並べもさすがな感じですが。出だしの変な音声詩みたいなのは、稲垣足穂の声らしい。この曲は加工された電子音の連打をほとんど唯一の「演奏」として、あがた節を朗々と歌いあげているもの。『スチームボーイ』みたいなレトロフューチャーで不思議な崇高さがある。