みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

ポジティブシンキング!!Live version@新世界BRIDGE

nomrakenta2007-06-22


コの字の先が不揃いな和音
などという意味ありそうでなさそうな言葉を誘発する音だった。
折れ曲がったギタリストの体躯からの連想か、はじめて鳴らされた和音のリフが震えるような湾曲でピアノのクラスターを包囲したように思えたからか。
それは、3番目のデュオ、YTAMO(ピアノ)+半野田拓(Eギター)の演奏で、冒頭数分でピアノがちょっと「歌い」ぎみになってきたときだった。
それまで、半野田拓のギターはピアノの演奏をちょうど、「ほどく」ようなスタンスで演奏されていたと思う。それがここで変わった。
もちろん両者の音は対峙をやめたりはしなかったのだけれども、ここからは役割がどんどんスイッチするようになってきたように思えた。一瞬、ギターの語彙が出尽くしたか?と冗長の気配が走ったと思うと半野田拓はそろそろとステージ裏からスネアを持ってきて膝にのっけて叩き探りはじめる。この叩き方がまたギターと同じくらいニュアンスに富んでいて、ピアノと互角に音を広げていた。スネアが済んだら今度はピアノに割って入って連弾。このあたりのかけあいが相当おもしろかった。YTAMOのピアノはまったく途切れることなく次々にフレーズを生み出していって止む気配がなく、最後に半野田が、もうそろそろ、とちいさく声をかけて終わった。いつまでも続きそうだったし、聴いていたくもあった。このデュオなら今度は一時間くらいぶっ続けで聴きたいもんです。
半野田拓は多分、誰が見ても天才だと思うだろう。音の選択に抜けがない。といって窮屈に論理的なものではなく、伸びやかな音楽なのだ。演奏中の小さな身体は、無駄な力がまったく入っていないのがわかる。だから、フレットの方の手のハンマリングだけで音を出すときも、最後部分でちょっと歪ませぎみにギターを大きく鳴らすときも、音の立ち上がりと消失自体はクリアー。トーンが綺麗に聴こえるのだ。

半野田拓は左利きだ。

本日の順番は下記の通りでした。

①umamo(FUTA9082)+bikemond(ブラジル)
②内橋和久(アルタードステイツ)+森山ふとし(かきつばた)
YTAMO(ウリチパン郡,ホアン海)+半野田拓(ベレー帽)
千住宗臣V∞redoms,PARA,ウリチパン郡)+江崎將史(popo,ホース)

YTAMO+半野田拓がかなり時間を押したためか、最後のデュオは時間的にコンパクトに感じましたが、最初に江崎將史が紐に吊るした鐘(のようなもの)をぶんぶん振りましたりコンクリ床に当てたりしてコ〜ンという音を出し、千住宗臣は客席にハイハットのみを持ち込んでふわ〜んとしたドローンを出したりして、パフォーマンス的におもしろいものでした。
江崎將史→鐘→金属板2枚の擦り合わせ→割れた皿の擦り合わせ→CDRの円筒プラケースにCD一枚だけ残したもの(!)を前後に傾けて中のCDが動く音を拾う→トランペット→トランペットをコンクリ床にひきずるようにして擦って音を出す。
千住宗臣→客席でハイハット→扇風機を回してブラシをあてて音を出す→ピアノ連打→ドラムとピアノを同時演奏→ドラムに専念→扇風機で身体を乾かす(!)

トランペットを床にひきずってキ〜という音をたてながら終わったときは、ものすごく決まっていた。