みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

Vフォー・ヴェンデッタを観ていると教育基本法改正案が。

昨日、帰宅すると鈴木志郎康さんから映像作品のDVDが到着していた。今回は85年〜90年代のもの。じっくりと時代と作風の変遷を捉えながら年代順に観ていくことができる貴重な体験をさせていただいています。またエントリー書きます。

教育基本法改正案、可決。

Vフォー・ヴェンデッタ 特別版 [DVD]

Vフォー・ヴェンデッタ 特別版 [DVD]

DISCASレンタルで。同時に送られてきた『アンダーワールド』の2作目は酷かったが、これはまだ良い方かと。『マトリックス』自体最後まで観ていないので、過剰な思い入れはないですし。合衆国を「再・植民地化」した近未来、オーウェルの「1984」ISBN:4150400083会となった英国が舞台の革命劇。ナタリー・ポートマンが劇中剃髪して頑張る。警視役のスティーヴン・レイは好きな役者です。「1984」のようなと書いて、似ているのは独裁者サトラー議長が巨大なモニターで話をすることくらいだと気づく。「市民蜂起」にいたる過程が優先されるのはわかるが「管理社会」の描きかたとしてはこれは半端な部類。「仮面の男"V"」に喝采を送る市民は潜在的に独裁者への不満を持った存在になっていますが、そんな現象そのものを未然に防ぐために、互いの言動を監視し合い思考を自己調整するように統制されているのが「管理社会」なのではないかと思う。とはいえ、こういう話は好きな部類なので、観終わった後にある種の溜飲を下げる効果はある。エンディング曲がストーンズの「ストリート・ファイティング・マン」。ハハハ。

カネと暴力の系譜学 (シリーズ・道徳の系譜)

カネと暴力の系譜学 (シリーズ・道徳の系譜)

「生きていくためにはカネが必要だ」という当たり前の地平から出発するカネと暴力を巡っての思考。ヤクザと国はどう違うか?など、小難しい書き方は全くなく、学術書というよりカシコイ不良のあんちゃんの与太話のような節回しが好感持てます。
やはり、というか、ドゥルーズ=ガタリからの引用が一番多いですが、ありがちな「D+Gが言ってるから私もそう思う」タイプの文脈をそのままパクッてくるような違和感あふるるかたちではなく、著者の思考に共鳴してくる部分だけつまんでくる感じでいい距離感がある。

国家は法にしたがわなくてはならず、それによって国家の暴力実践はさまざまな制約をうけてしまう。ならば、国家は法そのものをとり払ってむきだしの暴力によって統治すればいいかといえば、決してそうはならない。というのも社会のなかで唯一、法にもとづいて暴力を行使できるということが、国家の国家たるゆえんだからだ。
法を制定し、みずからの暴力を法にもとづいたものにすることは、暴力を合法なものと違法なものとに分け、合法的な暴力の唯一の担い手としてみずからを定立するためには不可欠の手続きである。

p.89

まあ・・・そうなんでしょうけど。そういえば今日は音楽を聴かなかった。そんな日もあるのです。