みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

10th festibal BEYOND INNOCENSE@新世界BRIDGE

nomrakenta2006-12-09


イベント2日目を覗いてきました。3時過ぎに入場したので、僕が見れたのは以下のような順番だったと思います。
Audrey Chen+いとうはるな+Gianni Gebbia
正統派(?)フリー・インプロ
半野田拓+千野秀一+一楽儀光
フリージャズの筋肉とノーニューヨークのような痙攣的な攻撃性を感じた。半野田拓さんのギターが印象に残る。
popo
振り返るとバー横で演奏を始めていた山本信記さん(トランペット、スライド・トランペット、yamaha cs-01)、江崎將史さん(トランペット、リコーダー)、喜多村朋太さん(korg cx-3)三人のユニット。演奏開始時、korgの音が出なくなってしまうトラブルがあったんですが、その音の消え方がなんともふーーっ・・・という感じで気持ちよく消えていったのが印象的でした(って、これはどうでもいいですが)。CDの帯にあるジャド・フェアが大絶賛したという話も納得できる。忘れていた古いおもちゃが勝手に奏で始めたような、子供の遊ぶ声が一番似合う音楽は、どんな小賢しい解釈も必要としない。今までフリーな即興が続いたせいか、短い曲が中心の構成に印象際立つ。3人の抑制というものが全くプラスの方向に向かっていて、完全にバランスがとれた音にまどろむ。CD『kirito』購入。(写真:左上)
こちらはバンドのブログ→http://popokibito.exblog.jp/
メンバーには京都で「ふちがみとふなと」の渕上純子さんとバンドをしていた人もいる様子。
ブラジル
西崎美津子さん、稲田誠さん、西川文章さん、服部玲治さんによるコントラバス+ボーカル+パーカッション+ギター×不思議風味による簡素ながら、日常の中の奇妙な感覚を宙吊りにしてしまうバンド。ブリジット・フォンテーヌの『ラジオのように』のキャッチーなところばかりを寄せ集めたような錯覚を持ったのは多分、コントラバスとボーカルのせい。「ふちがみとふなと」や「さかな」が好きな人は是非。奇を衒っているわけでもないのに不穏と安心が同居、心ある人なら耳をふさぐことなどできはしない音楽。CD『希望』購入。(写真:左下)
Hans Fjellestad+森山ふとし+YOSHIMI
ヨシミさん、久しぶりに見た。
Roger Turner+内橋和久+天鼓
いろんな人にとって「神」でなければ「果心居士」のような人デレク・ベイリーとも共演経験のあるDrのRoger Turnerさんと70年代後半のパンク時代「水玉消防団」からのヴォイス・パフォーマー天鼓さん、そしてベイリーも彷彿とさせる自在なプレイのギターの内橋和久さんの演奏。スピード感がものすごい、と感じた。こちらのEuropean Free ImprovisationをRoger Turnerさんでみていると、当たり前だが知らないアルバムばかり。EMANEMはもっと聴きたいなあ。

梅田哲也
今にも壊れそうな扇風機3台を使った演奏(?)パフォーマンス。残念ながらパフォーマンス途中で中断、という流れになってしまいましたが、下からの扇風機の風で風船が中空で震えながら浮かぶさまは何やら崇高でした。アーティストHP(写真:右上)
Carl Stone+oorutaichi七尾旅人
目当てのカール・ストーン。あの、プログラミングされた音楽にもかかわらず、聴くたびに「思考の手触り」を発見できる美しい名作『MOM's』のカール・ストーン

Mom's

Mom's

目の前を通るのを見ちゃいましたよ、全然普通のおじさん。oorutaichiさんと七尾旅人さんの作り出す音をカール・ストーンが中央でなにやら音処理している感じでしたが、はっと息を呑むような瞬間、多々あり。大友良英カール・ストーンの共演CD購入。(写真:右下)
Alessandro Bosetti+Marcos Fernandes+江崎將史
沈黙の求心力が素晴らしい演奏。最後のトランペットの音量にこどもが泣き出してました。
U-Zhaan+Samm Bennett+勝井祐二
(途中退場)
今回、BRIDGE自体に初めて来たので、ばかでっかい屋根裏のようなスペースに先ず驚き、世間話のようなスタンスで会場を仕切ろうというのとは対極の司会や、参加アーテイストCD売り場、飲み食いスペース(カレー美味し)には、出番前後のミュージシャンと観客がなんの垣根もなくしゃべったりしているという、大変贅沢というか管理をしない空間がとても開放的だった。演奏中、座りながら眠っているようにして聴いている人が目についたが、もちろん疲れてぐったりしているのではなくて、あんまり気持ちいいからだった。今年で10回目ということですが、新世界BRIDGEでやるならまた来年も来ようと決意。
今回は、フリーなインプロに思わずとろけてしまいそうな美しい部分と覚醒しきったような瞬間両方発見できて、楽しかった。そして、やはり「うたもの」に弱い自分も再認識(笑)。