みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

連休×紅葉、シュトックハウゼン『Stimmung』、Harry & Jeanie West『Smoky Mountain Ballads』

nomrakenta2007-11-25



箕面の瀧道はとにかく紅葉見物の人達で、一杯で、いつものペースで歩くのはまず不可能でした。
日曜には落ち着くかと思えばまったくそんなことはなかった。
土曜はこのままでは欲求が不満すると思い、百年橋から、いつもはいかない勝尾寺まで片側歩行者天国となったドライブウェイを黙々と。
勝尾寺に着いたら、読経の声がうおわ〜んと聴こえてきて新鮮だった。
もちろんトンボ帰りで下山。
樹々の陽に照らされた先から、紅→黄→緑と奥につれて変わっていくグラデーションが見事なかたまりが数箇所。
本当の紅葉の光悦は来週か。汗がよく搾れました。

以下は連休に聴いた音楽。

Stimmung (Hybr)

Stimmung (Hybr)

シュトックハウゼンの声楽曲の新録。
演奏はケージの『クジラのための連祷』Litany for the Whale / Five / Solo for Voice 22でもやっていたポール・ヒリアー率いるTheatre of Voices。ジャケ裏やブックレットを見ると5・6人の歌唱者が車座になって座布団を敷いて座っている。基本、円になって歌い順番にソロをとるような構成なのか。
とにかくこれがポール・ヒリアーの特徴なのかは判断できないが、多声のユニゾンがふかふかと暖かみと弾力のあるドローンになってやわらかい空間を全編通して貫いている。現代音楽の声楽曲でしばしば耳にする素っ頓狂な声のあり方とはちょっと違うのである(適当に書いてます、すいません)。
そこに時々、女性や男性のソロが「シバ」(そう聴こえた)とか「Come On」とか「Wendsday」といった日常の単語らしきものを差込み、織り込んで異化しながら音楽の時間を暖かく豊かにする。
ラスコーの洞窟で聴ける音楽は、もしかしたらこんなだったかもしれない、などと安易に空想したりもする。この合唱は、その洞窟の内部を伸び縮みさせる。
先日、勝尾寺で聴いた読経の響きのどこか通じているようでもあるけれど、これは未だどこにも現れていない共同体のミサ曲のように聴こえるし、電子楽器をまったく使用していない肉声の音楽にもかかわらず良質なテクノのような質感もある、そんな感じです。

Smoky Mountain Ballads

Smoky Mountain Ballads

連休前に難波のタワレコで購入した1950年代に活躍した(らしい)ブルーグラス〜アパラチアン・フォークのデュオ。
ジャケットの絵が好みなんだろと指摘されれば、もちろんそうですとしかお答えできませんが、こういう音楽に好き嫌いというものは、ない(好きですけど)。
『Black Jack Davie』という曲が入っていて、この曲を僕はイギリスのアシッド・トラッド・サイケ・フォーク・バンド(なんじゃそりゃ)『インクリーディブル・ストリング・バンド』のアルバムで初めて聴いたのを思い出した。
てっきりアイリッシュ・トラッドかなにかなのだと思っていたら、今回このCDのブックレットで、少なくとも18世紀中葉からその存在が確認されている曲らしく、ジプシー音楽→イギリス→アメリカーナという歌い継がれている凄い曲のようなのである。
歌も、旅をする(いや歌だからこそ?)。
Earthspan

Earthspan