20年前から多分一日しか経っていない:MioFouⅡ
- アーティスト: miofou
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 2007/08/10
- メディア: CD
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美尾洋乃と鈴木博文によるユニット、「ミオフー」の実際の活動期は、もちろん僕は知りません。WAXからリイシューされたファーストを聴いた記憶がありますが、実は印象があまり残っておらず、ただ、彼らの『Pierrot le Fou(気狂いピエロ)』という曲のみが強烈な印象としてありました。
『Pierrot le Fou』は、現在は紙ジャケ復刻されたこちらで聴けますが、
- アーティスト: オムニバス,Mio Fou,水族館オーケストラ,Portable Rock,ヴォイス,リアル・フィッシュ
- 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 発売日: 2005/06/22
- メディア: CD
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で初めて聴きました。この曲は、周りのフリクションや突然段ボールや「陽気な若き水族館員たち」周辺の「実験をくぐりぬけたネオアコ勢」と比べても、その密室性と詩情が浮き立っていました(いや、凹むことで際立っていた?)。ミオフーに比べれば、他のバンドの音楽は時代に形式を負っているように思えた。「衝撃」や「驚き」とは別の種類の強烈さが稀に存在することに気付かせてくれました。ヌーヴェルヴァーグのいけないところを凝縮したようなロマンティシズムにはっきりとパンク以上の「爛れ」を感じたものです。
どうしてもこの曲との水位を測ってこのセカンドも聴いてしまうだろうことは、最初から予測できていたんですが、そんなことはやはり余計な心配・杞憂でした。ただ止まっていた時計が動き出したように、音楽が流れ始める。二人でいることに充足している、と同時にそれ自体に創造的な痙攣を含んでいる。多分、こんな幸福な音楽は最近の土壌から掬いだすのは、かなり難しいだろう、などと勝手なことも考えてしまう。
ずっと以前、鈴木博文が雑誌でルー・リードに関して、ライブ映像を観た時の印象として「まったく客を意識していない目がすごい」というような事を書いていた。何の根拠もないけれど、現在の鈴木博文氏自身、そんなまっすぐと虚空を見つめる姿で演奏しているじゃあないだろか。
このセカンドCDの体裁も、長年のファンの心の襞を見透かしているみたいで、素敵だ。
ジャケットが、1stの写真そのまま?と思えるほど(手元にないので比較検証できません)そっくりな夕焼け空の微妙な色合いの写真であることは、わかりやすいくらい意図的なこととしても、もうひとつ嬉しいのは、裏の薄ベージュ色にシンプルな字体のタイプや黒い帯など、80年代末にWAXレコードが、日本のインディーズ盤をCDで復刻リリースはじめた頃の(つまりミオフーの1stが初CD化された時)のまんま、をかなり意識しているらしいこと。
回顧的なことが逆に殆ど詩的に攻撃性を帯びている・・・というのはいつもの勘ぐり過ぎなんでしょうか。でも、それが許されるのが「ミオフー」です。
*1:レベル インコーポレイテッドの曲目(1988年CD版) 1.FRICTION(フリクション)/crazy dream 2.Phew/終曲 3.突然段ボール/ホワイト・マン 4.BOYS BOYS/monkey monkey 5.GUNJOGACRAYON(グンジョーガクレヨン)/35 6.TSUNEMATSU MASATOSHI(恒松正敏)/gears 7.P‐MDEL/heaven 8.INU/メシ喰うな 9.E.D.P.S(エディプス)/to rule the night 10.THE STALIN(ザ・スターリン)/ロマンティスト 11.THE STAR CLUB(ザ・スタークラブ)/power to the punks 12.ALLERGY(アレルギー)/joker 13.あぶらだこ/paranoia 14.MioFou/pierror le fou 15.直枝政太郎/torokko 16.CHIKO HIGE(チコ・ヒゲ)/trap 17.恒松正敏/you've got to hide your love away もちろん現在は上記の日本インディーズの特徴的な曲はそれぞれのアーティストのリイシュー盤で殆ど聴くことができますが、1988年当時、このオムニバスは本当に貴重でした。しかもCD盤よりLP2枚組の方が収録曲が多かった。LPバージョンでのCDリイシューを望みます。