みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

雨が降る:レディ・イン・ザ・ウォーター

nomrakenta2006-10-23

勤務先近くの吹き抜け。いつもは若い人たちがダンスや漫才の練習をしているが、雨が降るとなんとなくいい感じに。最近観た映画『レディ・イン・ザ・ウォーター』(M.シャマラン監督作品)を思い出す。
シャマラン監督というと、いつものどんでん返しを期待しがちですが、この作品は真っ当なファンタジー「おとぎ話」。むしろこのような作品を撮ることこそ、監督にとってはチャレンジだった筈。「おとぎ話」をまっとうに物語れなくなった映画に、シャマラン監督自身の誠実な(父性の?)「物語」本能が投げ込まれているように思えてなりません。ゆえに、商業映画としては、マイナス点をちょこちょこ付けたくなる人も多いかもしれませんが多分シャマランはそんなことはわかりきって作っている。個人的にはポール・ジアマッティーの顔をみてるだけで退屈しない人間なので、いい塩梅の映画でした(しかも本作では主役!泣かせるところも有り)。 「ヴィレッジ」でも綺麗だったブライス・ダラス・ハワードも神秘的なだけでなく、はかない水の妖精「ストーリー」(という名前)の雰囲気をよくだしていたかと。監督自身が作家志望の青年の役で出てきますが、演技にも強い必然性を感じました(自らの死期を知らされたあとの演技などは、シャマラン自身でなければ、少なくとも僕は納得できなかったと思います)。水の妖精をその世界に帰すために、アパートの住民が一致団結して、各々の本当の役割(「翻訳者」「守護者」「記号解読者」「癒す者」などなど・・・最終的に誰が「癒す者」と「守護者」なのか、という意味では、「どんでん返し」がある、とも言える)を見出す過程が物語りの核になっていますが、もちろんこれは世界と共同体と人生のアレゴリーでもあるのだろう、と。

As the Bluebird Sings

As the Bluebird Sings

レディ・イン・ザ・ウォーター」で使用されていて、その変わった音処理がすごく気になったボブ・ディランの「時代は変わる」(The Times They Are A-Changin) のカヴァーを収録した、USのピアノ、ストリングスとエレクトロを融合したダークなバンドの今のところ唯一のフルアルバム。West Thordsonという人が中心人物のユニットのようだが、この人、ボブ・ディランの歌を聴いて人生が変わったのだそうな。このような音のバンドとしては珍しいような気が。