みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

Luc Ferrari 『Presque Rien(ほとんど何もない)』

nomrakenta2006-05-25

先日映画も観にいったリュック・フェラーリの本「ほとんど何もない」のタイトルにもなっていた作品をまとめたCDを購入。
①〜②
Music Promnade 『音楽散歩』(20'29)
一番ミュージックコンクレートらしい、雑踏などの音をコラージュしたもの。
③〜④〜⑤
Presque rien n1, le lever du jour au bord de la mer
『ほとんど何もない第一番』
((20'43)
上映会の講演で訳者の椎名さんも触れていた、海岸の町の日の出から朝までの音を採取、音像化した、という有名な(らしい)作品。
ざわめきや車の音が、はじまりつつある海辺の町の朝の営みを喚起する。
聴くには自然だが、自然に聴かせるために相当の編集をしているような気がする。「ほとんど何もない」とはアイロニカルな美学のあらわれか。

一種のインスピレーションの中にいたのですね。ロマンティックな言葉ですが・・・。抽象的な音とそれと解るような逸話的な音を並べておくことが非常に美しいと思ったのです・・・つまり、〔音〕を見ることができるようになる。〔最初は〕直感と官能性をもって作りました。ついでより概念的になった、それは例えば、『音楽散歩』(1969年)や『ほとんど何もない第一番』(1968年)の場合です。

リュック・フェラーリと ほとんど何もない」p.48

⑥〜⑦〜⑧
Presque rien n2, ainsi continue la nuit dans ma tete multiple (21'29)
「ほとんど何もない」の第二番。⑧が雷鳴のような音を電気処理して、一定感覚でのばしながら反復する「漸次音楽」になっている。手法的はわかりやすいのに何故か神妙に耳をそばだててしまう。
⑨〜⑩
Presque rien avec filles (13'54)
女の子の囁きなどがコラージュされている。
実験性の中にも官能があり、官能の中にも上品さがあるとこがミソ。