ザ・ストゥージズ『ファースト』

数年前のテレヴィジョンのリイシューも嬉しかったがこれもすごい･･･デラックスエディションで音もすごいことになっている。
『ファンハウス』も『ロウパワー』も凶暴なパワーのみなぎった完璧なロック・アルバムだが、やはり個人的にはこのファーストに刻まれた「奇跡」にいつも帰ってきてしまう。イギーの凶暴さはまだ瑞々しさを保ち、曲のブルースから突然変異したミニマルミュージックのような簡素さは、それをぎりぎりまで際立たせる。はじめにして完璧なかたちの発明。殆ど何もかも、あるいは以後のパンクス（このコトバはあまり使いたくないが･･･）の表現欲求の全てが詰まった、全人類のための「もうひとつの青春」アルバム。パンク云々はすでにどうでもよく、音楽形態と愛してしまっている自分がいる。