ドーナツ日乗②MELODY DOG、THE PASTELS
Melody Dog / Futuristic Lover c/w Tomorrow's World, Sun Drenched Beach in Acapulco
パステルズのカトリーナが1991年にKレコードからリリースした7インチ。
このシングルを買った頃、英米問わず、多くのバンドのシングル盤が毎月輸入盤屋さんの棚に並んでいて、どれも瑞々しかった。平凡な日常を切り取ったような歌がジャケット、7インチというフォーマット全部とからまって、パステルズやグラスゴー周辺、ひいてはUSのK周辺のシーンがこういうものか、とよくわかった気がした。
誰にでも、あの時、あのお店で出会って手に取ったことが、そのままパッケージされている気がする思い出深いシングルがあるものだと思いますが、このシングルはきっと今でも多くの人にとってそういうものであるのだろうと。
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そして、
Slow Summits【ボーナストラック2曲、ライナーノーツ、対訳付き】
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『Illumination』からそんなにも時間が経ってしまったのかという静かな驚愕がまずありました。
初めてパステルズを聴いたのは『Up For a Bit With The Pastels』でした。
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それでこの新しいパステルズ。悪くない、というよりかなり良い。良いですよ。カトリーナが歌いはじめる3曲目『Check My Heart』、個人的には一瞬シー&ケイクの魚影もかすめるポップソング。こういう曲が3曲目に自然に収まっているアルバムは良いアルバムです。
朴訥としたメロディーは変わりようもなくパステルズだし、一番大事なのは、ほんの少し、ギターを強く弾いたときのゆがみの感覚をこの人たちは絶対に手放さないという安心感がアルバム全体を貫いている(ちょっと強張った表現で、それはパステルズには似合わないけれども)。
だからなのか、「16年待った」という表現をここで使えるほど僕は忠実なパステルズのリスナーではないのですが、16年ぶりという感じもあまりしない。『Illumination』を聴いたときのように「ああ、こう変わってきたか」という感慨もない。「ない」のがネガティヴに働かないのは、結構珍しい。
ポンと「これだよ」と差し出された良質のアルバム。世の中には、こういう強さも存在する。