みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

毛利桂×Tim Olive、Black Zenith@中崎町コモンカフェ

nomrakenta2012-06-11


Tim Oliveさんと毛利桂さんのデュオは数年ぶりだったのでみておきたかった。
当たり前のことに気付いたのだけど、ちゃちな反復やダレた持続が一切ない。
自分の出した音に執着せずにすぐに次の音に取り掛かる。その連続(次の音はその前の音に従属したり模倣したりはしない)。
毛利桂さんがターンテーブルにヴィニール盤を載せていくのを見ていると、盤を手元でギューっと折れそうなほど曲げてから載せたりしていた。カートリッジで拾ったときにノイズを出すためなのだろうと思ったが、見るとその盤の表面はすでにボコボコ窪みがいくつも付いていて、すごく使いこんでいるんだなあと思ってしまった。
初めて観るBlack Zenithは、Darren MooreとBrian O’Reillyふたりによるアナログシンセと映像のデュオ。そのうち一台のモジュールの操作と映像がご同期しているように見えた。映像はアブストラクトな磁気嵐で、砂嵐と油の爆ぜるような爆音の電子ノイズでちょっと耳がいってしまった。
最後の四人のセッションは、Black Zenithの二人が一転抑えめな音量で変化のあるテクスチャをつくり、毛利さんのターンテーブルノイズとTim Oliveさんの改造テーブルトップギターからの職人芸的バリエーションの物音ノイズが「コク」をつける。一つのレンジを四人が奪い合ったり上書きし合ったりするのではなく、四つのレンジがはっきりとそれぞれの時間を作りながら静かに終息したのだった。
こういう時のコモンカフェの音は最高だと思う。