ブギーとドローンのみちすじ:秀作コンピ2枚
DR. BOOGIE Bear Traces: Nuggets From Bob's Barn CD
Bear Traces: Nuggets from Bob's Barn
- アーティスト: Dr. Boogie
- 出版社/メーカー: Sub Rosa
- 発売日: 2011/08/02
- メディア: CD
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曇った音質のなかで野性と洒脱がほとばしる各種音源のいちいちが素晴らしいのはもちろんですが、Bob Hiteがこれらを聞き狂っていたことを想像すると、Canned Heatの音楽がより立体的に捉えられてくるわけで、名曲「On The Road Again」の背後の豊穣な音楽的ルーツを聴き取れるような気もします。
Bob Hiteはこの映像ではドラムの後ろで巨体を揺らしてノスノス踊っているだけなんですが…。
- アーティスト: Canned Heat
- 出版社/メーカー: Zyx
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: CD
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- アーティスト: Houndog
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 1999/03/16
- メディア: CD
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VA Roots Of Drone 2CD
- アーティスト: Roots of Drone
- 出版社/メーカー: Chrome Dreams
- 発売日: 2012/03/06
- メディア: CD
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ジャケのイーディ・セジウィックの写真は何故に?という違和感が残るのは確かだとしても(Velvets不在だし)、これも秀作コンピかと。
「ドローン」というと、通奏低音であって、ミニマルドローンといわれるものはその用法の一部を限定拡大したものなのだけれど、反射的に出てくるのはPauline Oliveros、Tony ConladやEliane Radigueなんかの豊穣だけれどもある意味ハードコアなドローン音楽じゃないだろうか。それほど音楽においてドローンという言葉はある種代表的なの音像イメージを確立されているような気がする。本番を手にとった時、まずそんなことを感じていました。聴いてみると、この2枚組コンピは「ドローン音楽集」というだけではありませんでした。
自分の念頭にあっったような末端肥大症(懐かしい響き)を和らげてくれるだけでなくて、ドローンを切り口/より糸にして(縦糸なのか横糸なのかは問わないとして)豊富な音源に触れさせてくれる出来。
ワーグナーからブルース、ラ・モンテ・ヤングはもちろん、ジャチント・シェルシ、チベット僧の歌唱、ラヴィ・シャンカール、サム・クック…。ボ・ディドリーが両ディスクに一曲ずつ入っているのは納得。VelvetsやTony Conladが入っていないのはやはり気になるが、これはラ・モンテが入っているからいいでしょ、といったところなのかと。
こういった中に、ハイドンの交響曲が収められていると、たしかに耳はそれまで気が向かなかった導入部の通奏低音にフォーカスされ、そこからハイドンの建築が立ち上がってくるのは確かに興奮を覚えてしまう体験。ハードコアなドローン音楽集ということではなく、ドローン耳から音楽の世界を拡げていくという編集意図は成功していると思えます。
ここに集約されたクラシックや伝統的な歌唱やポップソングをドローンという切り口で聴いていると、およそ音楽でドローンの効用を使用していない音楽を見出すのは難しいだろうな、という教科書的な認識(それとて興味深い)とドローンの根源、と謳っているのはいささか不明瞭でもしかしたら「Root」というより「Route(道筋)」と言いたかったのかもしれないなと思ったりも。
上に挙げたBob HiteのDR. BOOGIEコンピと合わせて聴くともっと面白いと思います。実際、ここ1週間くらいはこの2コンピの間を常にウロウロしながら聴き飽きが来ない日々です。