みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

SOFA(Keith Rowe&Kjell Bjørgeengen、Kim Myhr、MicroTub&高岡大祐)@本町NuoohとMount Kimbie@Zettai-Mu presents ”springup 2012″心斎橋CONPASS

18日(水)
行けるかとても不安でしたが、なんとか18時半に切り上げさせてもらって本町Nuoohへ。
ノルウェーのレーベル『SOFA』の日本ツアー。最近で一番濃密なライブでした。
1)Keith Rowe(guitar&electronics)×Kjell Bjørgeengen(live video)
キース・ロウ。あの、AMMの、キース・ロウ。まさか大阪で見れるとは!しかし今夜のセットではキース・ロウだけが目立つとかそういうものではなかった。ライブ映像のBjørgeengenとの相性が抜群で、受けた印象から言って二人を分けることが自分には不可能。とはいえ、Bjørgeengenのブラウン管磁気嵐のアーティキュレーションは壮絶にピュアだった。はじめの5分間こそ何が起こっているのかわからなかったが、次第に粒子やテクスチャーが変化していくのがBjørgeengenの「演奏」であることがわかってくる。だんだんその場にいる自分がブラウン管の中の磁気嵐のなかを吹き飛ばされながら漂うクラゲか何かのように感じられてくる。何本もの稲妻のようなものが縦に走りだした時はもはや天地創造である。キース・ロウが作りだす音響との相性が完璧だったため、大小のモニターから出ているノイズに思えて仕方なかった。
2)Kim Myhr(guitar solo)
12弦ギターによる即興ソロ。スティーブ・ライヒのように響く瞬間が何度か。
3)Microtub (Robin Hayward / Kristoffer Lo / Martin Taxt) 3 tubas with 高岡大祐(tuba)

チューバが四本並んでいる迫力の図。もちろん初めて見る光景。しかも左から二本は、微分音を出せる特注マイクロトーナルチューバ(高岡さんからの受売)。マイクロタブはロビン・ヘイワードが音楽的な必要性から上記の特注チューバを作らせて結成したチューバトリオらしい。この日聴いた限りではロングトーンがそれぞれ異なった調性で鳴るので一音一音が微細であっても重なって聴こえると複数のシーツが敷かれているように感じられる。ベルを響かせない空気を送りだすような奏法でもそれは感じられた。そこに高岡さんもベルを外してケーナのような奏法でこれも美しい微かな倍音が感じられる音で広がりを作り出していた。
終演後、キース・ロウ、Bjørgeengenと握手させてもらいながら「beautiful.impressive」としどろもどろに感動を伝えた。
3セットともに素晴らしい演奏だった。しかし同時に、風営法により制限されつつある音楽の場所(Nuoohは5月で閉鎖される)のことを考えざるを得ない夜でもあった。

20日(金)
会社の飲みもそこそこに、鰻谷のCONPASSに。SUNSUIの頃は行ったことがない。この場所自体が初めてだったが、Mount Kimbieが来阪していることを当日知ってしまったのだった。今年の始めに「Carbonated」で知ってすぐにライブを見れるというのは幸せな事です。
会場はとにかく年齢層が若くて浮きまくってしまいました。

使用しているサンプラーは少なくとも左手前のものはNative Instrumentsの「MASCHINE」じゃないかと思えた。

1時間という短いセットだったけれど、アルバムの曲はかなり聴けたように思える。「Tunnel Vision」やデレク・ベイリーみたいなギターの爪弾きのサンプリングで始まる「Before I Move Off」。頻繁にギターを持ち替え、場所も二人でスイッチしながらのパフォーマンス。「Carboneted」の印象的なイントロが聴こえてきたときはやっぱり胸が高鳴ってしまった。

ベース・ミュージックというのが未だによくわからないのだけれど、Mount Kimbieにはサンプリングしてくる音の一つ一つから拘りがしっかりと感じられて、どれも歌心が清清しい。泣けるようでもありアンセムのようにも感じられるところも良いし、足し算と引き算のバランスが秀逸なのも良いけれど、音の躓きというかどもりのようなループの断層をテクスチャー/メロディーとしてそのまま活かしているところ―それがMount Kimbieの二人にとって素直な脈動なのだろうなと感じられるところが、自分としては一番気に入っている点なのだと思う。

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