みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

桜の季節の食べ残し:POPO、SAKANA@アバンギルド

先週京都でロルフ・ユリウスのシンポジウムを聴講して、そのあとギャラリー虹のインスタには寄らなかったので心残りだった件を土曜日に京都に出る予定があったのでこなしてきました。
楽して烏丸から地下鉄を乗り継いで蹴上まで。

2番出口から出ると琵琶湖疏水の雰囲気と満開の盛りをまさに過ぎようとしている桜並木(写真なし)。快晴ではないけれど心地よい気温に風に含まれた桜の匂いが心地よい。観光客も最高の日和を見込んで多い(自分も似たようなもんだが)。時間もないので疏水には行かずに三条通を少し下ってウエスティン近くのギャラリー虹に向かう。ウェスティンの向いには、学生時代にグループ展をやった流れで友人たちが展覧会を開いた記憶のあるギャラリーがまだあった。オープニングにたしか、森村泰昌さんが来られたのだった。懐かしい。

お客が僕含めて3人のギャラリー虹に入ってからしばらく外の雑音を振り払うと、インスタの小さな音が自然に耳に入ってくる。灰の中に埋められ、あるいは、水に浮かべられた、石に付けられた小型スピーカーそれぞれ鳴り方が違うようだった。ギャラリーの中はそれらの小さな音たちが混じり合って一つの音(身体を移動すると当然音の軸が劇的に変わる)が息づいていて去るのが惜しい空間になっていた。

ギャラリーを出てから徒歩で京阪三条に向かう。東山からのゆるやかな傾斜を鴨川方面にゆるゆるくだっていく快感というのは、何百年もかけて人が味わってきたものだろうなあと思った。
木屋町のワークショップ・レコードに久しぶりに足を向けてレコ掘り。フリージャズはたとえ状態が良くなくともヴァイナルで聴くのが一番好ましいと思う最近。ギュンター・ハンペルの70年代初期のNY録音と、デヴィッド・マレイの「Flower for Albert」を発見(船戸博司さんがソロCD『通り抜けできません』でこの曲を取り上げてから、ずっとオリジナルのLPを探していた)。ケージのプリペアド・ピアノとDavid Toopの計4枚。まずまずの収穫。
夕方「世界の山ちゃん」で手羽先を食べてからアバンギルド。レッドアイ飲みながら開演を待つ。
この夜は「ウララカ」というイベントで、sakana、popo、miki + 足田メロウが出演。
最初のmiki + 足田メロウは、mikiさんの鍵盤の演奏に並行してイラストレータの足田メロウさんがライブ・ペインティングを行うというもので、お二人ともはじめて観るのだけれど、鍵盤のメロディーに呼吸を合わせるようしてメロウさんの即興イラストが完成していくのが存外新鮮で得難い体験だった。
久しぶりに観るpopo。江崎さんに立派がお髭が。

家族連れのお客さんの子供がやはり、popoのとき喜んで声をあげる。世界で一番子供の声が邪魔にならないチェンバーダブトリオである。

こちらも久しぶりのSAKANA。「さかな」が「SAKANA」になってそもそものはじまりのお二人になってからのほうが長い年月になっていたりもするのかな。思えばソニック・ユースが先行き不明になってしまったので、20年がけで聴き追いしているバンドというはもうSAKANAくらいしか残っていない。POCOOPENさんがハコの空気を包みこむようにして文節するリズムギターに優しく絡む西脇さんのギター、そしてもちろんPOCOPENさんの「うた」。自分にはかけがえのないものなんだけれど、聴いたことがない人がまだまだ多過ぎるんだろうなあと思う。高校生の頃東京は、自分にとって「さかな」が活動しているからこそ羨ましい場所だった(こんなことを数年前にも書いたかもしれない)。「さかな」に夢中だったから「渋谷系」は自分にはあまり必要なかったとも今にしては思える。今も誰かにとってそうであれば良い。
『スカイ』を聴いてなぜか涙が出そうになる初めての体験。それくらい耳から頭に抜けて物語が湧いて出てきた。

BLIND MOON

BLIND MOON

『Blind Moon』は、歌詞の物語と音楽のブレンドが突出した出来のアルバム。

日曜はムジカでワンマンらしかったが、そちらは知らなかった。最後に『ロッキングチェア』を聴けたので良しとする。