音・ことばに浸みこむ冬の陽:『かれらの日本語』、Four-tet、SIMI LAB、Mount Kimbie、AMY DENIO、リゲティ
起床して瀧道。
曇っていると、常緑樹でも煤けてみえるのが冬の興醒めなところですが、空気は吸い込むたびに内臓の輪郭が明確になるような気がしていい気持ち。
箕面の瀧道は、今年電柱電線の地下への埋設工事を予定しており、そのためか、谷道の道標に、車向けに赤い蛍光のマーカーが取り付けられていた。
登り道ですれ違ったおじいさんは、両側両手に小さな孫二人と手をつないでいて、孫の足元を気にしながら、「壊れたり要らなくなったピアノでも、直したらまた欲しい人がいるの」と両方の孫に優しく話しかけていた。どう考えても「タケモトピアノ」の話しとしか思えなかったが、やはりあのCMの「ピアノ売ってちょ〜だい♪」は子供のハートを掴んでしまうのだなあと感心をあらたにしました。
降り道でやっと日射しが良い具合に谷間に入りこんできた。
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また台湾に行きたいなあと思っていて、それに向けての復習予習ではないのだけれど、 安田敏朗という近代日本言語史研修者の『かれらの日本語』という本を、司馬遼太郎の『街道をゆく台湾紀行』と併読しつつあります。
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台湾では日本語を話す人が多い、ということを2年前に台北に行くときに聞いてはいたけれど、実際現地でちゃんと日本語を話していたのはツアーのガイドさんとタクシーの運転手の劉さんだけだった。劉さんにしても、最近まで日本企業の台湾法人で働いていたから日本語が上手かったのであって、植民地時代の名残であるわけがなかったから、本書でいう「かれら」は徐々に少なくなっていく「世代」の話しでもあるのだろう。
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昨年末の載せ忘れ。
なぜか、Four tetを書き忘れていました。
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もともと自分は「フォークトロニカ」という言葉は知っていたけれどそのときFour-tetの音楽を聴いてはいなかった。レコ屋で手に取ったFour tetのREMIX盤『DJ-Kicks』に、David Behrmanの『LEAPDAY NIGHT』が入っていたから、目の(耳の)つけどころが良い人だなと思ったの最初の浅い感想だった。
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SIMI LABを聴く。
これも、本来昨年のうちに聴いておくべきだったと思いますが、遅れてしまった。
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WALKMANのトラックの面白さは「つまずき」がビートを生んでいる感じ、言葉でいえば「どもり」がビートになっている感じ。変な感じなんだけど、ループとシーケンスの力を信じてるというか…。『Uncommon』のトラックなんて、これ以上無いくらいシンプルな要素で出来ているけれど、そこにラップがかぶさっていくことで、ヒップホップのヤバさが全開になっていく。ヒップホップはもちろん大好きなんだろうけれど、それよりもなによりも自分のアンテナに引っかかってくるものなら何でも好きなんだろう。そうとう妙な音も入っているけど、このひとたちはどれもファットなビートにしてしまえる。QNもOMSBeatsも、それぞれトラックメイカーとして別名を持っていたりするのもおもしろい。
人種混成とかそういうのは、今はそれほど重要な要素ではないと思う。SIMI LABの楽は、そういうことの上に成り立っているかもしれないけれど、それだから面白いのではない、と。まずは、やっぱりそれぞれのラップが個性的でいい…と思っていたのだけれど、インタビューを読んでみると、やはりハーフで英語がしゃべれないこと自体がストレスになっていたりして、それぞれマイノリティーとしての思いがあったらしい。それぞれ自分の内側と外側に背景を持っている人たち同士が集まって刺激しあって音楽が作られている。
昨年聴いたCool Kidsのアルバムにノリが近いような気がしていて、それは、売れるために自分をフォーマットに落とし込むような方向ではなくて、すでにSIMI LABというポッセ自体が、音楽の楽しみを即時的に生み出すサイクルになっているから、彼らはそれを表に出すだけでいい。
SIMI LABの名前を一気に拡散させたPV『Walkman』は、しかしこの1stではなくて、QNのトラックメイカー名義のEarth No Mad Fromの『Mud Day』に収録されている(アルバムヴァージョン)。
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タワレコで「ジェイムズ・ブレイクの次」と書いてあったので気になったのがMount Kimbie(これもだいぶ遅れてますね)。
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サンプラーをプレイする二人、結構興奮して観ている自分がいる。お客がみんなヘッドフォンつけてるのがいい。
SIMI LAB関連を聴き漁ってから、Mount Kimbie聴いてみると、どちらもやっていること、音の扱い方が自分は大好きだということがわかったが、くだらないことも思いついてしまったので書き捨ててみます。
ダブステップでラップしてしまうとヒップホップになってしまうが、たとえばQNがMount Kimbieみたいな音をサンプラーから出してもヒップホップとして認知するのに何の支障もないだろう……(あ、それは「グライム」になるのか?覚えたての煙草をふかす中○生の気分です)。ほんまに下らん形式的な思いつき。
ヒップホップの雑食性、みたいなことが書きたかっただけなのですが。
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Amy Deniohttp://www.amydenio.com/body/Biography.htm(Ohioみたいに「デナイオ」と発音するのが正しい様子)が1986年に自分の部屋で完成させた最初のカセット『No Bones』のCD-Rがアマゾンから届く。
- アーティスト: Amy Denio
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ただし、Denioの場合は、この時点でサンプラー類を使っていないのは時代もあるのかもしれないしおそらくこれからも使うことはない。彼女にとっては4トラックのTascamのカセットレコーダーが一台あれば十分だったわけだ。声、電・生両方のギター、エレキベース、アルトサックス(後に彼女のトレードマークになるアコーディオンはまだ手にとられていない)、マーチングドラム、鳴りもの各種、キーボード、花火、タブラ、ペーパーバックの本、煙草の小袋、テープループそれにキッチンシンク(!)を使って作り込まれた世界は、しかしそれほど密室的にこもった感じがない。もちろん音質はよくないし、ラテンのリズムで踊りだすわけではないけれど、手作りで場当たりと創意を重ねた音には適度の風が吹き抜けている。
自分がDenioの事を知ったのは、ジョン・ケージが亡くなった直後にCrampsからリリースされたコンピ『CAGED・UNCAGED』だった。
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鼻歌混じりにキッチンで皿を洗う音が次第にリズミカルに聴こえはじめたと思ったら、エレキベースのフレーズが始まり、Denioの衒いのない歌が舞い上がる…といった曲で、他の収録作品のどれよりも自分にはケージ的に聴こえた。そのあと、Denioが参加していたバンド「(ec)NUDES」(クリス・カトラーがドラム)なんかも手を出してみたが、『Dishwasher』のイメージが強くてあまり楽しめないと思った。
2010年 The STONEでのパフォーマンス。聴衆に掛け声で参加してもらい、それをループにして自身の歌を重ねる。
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Continuum / 10 Pieces for Winds
- アーティスト: György Ligeti,Gottfried Michael Koenig,Cornelius Cardew,Gyorgy Ligeti,Antoniette Vischer,Zsigmond Szathmáry,Karl-Erik Welin,South West German Radio Wind Quintet
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チェンバロがもはや蜂の羽音のような群音になった「コンティヌーム」、電子楽器のための「グリッサンディ」。どれも今だからまたおもしろく聴ける。