もみじ待ち2〜リック・ポッツ@複眼ギャラリー、そして、トミ・レブレロTOMI LEBRERO@afu(会ふ)
12日(土)
今週は大変疲れる週。いきなりこんなで申し訳ないのですが…。
しかしそれは先週からわかっていたことで、つまり先週末はその執行猶予のような気持ちで過ごしていた。
紅葉でもみれれば気も晴れるかと思ったけれども、箕面で紅葉が拝めるのは20日過ぎてからという例年通りのことを確認するために瀧道を登ったようなところがあった。
とはいえ、瀧道に入ってみると、いつもより確実に人が多くて、皆、きょときょとあてどもなく谷間にかぶさる樹々を眺めていたので、ほとんど自分とご同類ということだったのだとも思う。こういった宙ぶらりんな風情も毎年恒例のもので、どこか妙な安心をもたらしてくれるものではあります(変な書き方)。
瀧道はそんな具合だけれども、瀧の上の大日駐車場も越えてその上のビジターセンターならばどうだろう?と思って足を延ばしてみたものの、ここもまだまだ。
気になったのは、広場のシンボルで、毎年見事な深紅の紅葉をみせてくれるイロハモミジの立派な樹木があるのだけれど、それの葉が紅葉に向けて待機しているというより、ほとんど落ちてしまっている。立て看板をみると昨年くらいからキクイムシのせいで枝が落ちて元気がなくなってきているとのこと。今年は紅葉も燃え盛りは望むべくもないけれども、樹木医に診てもらっているとは書いてあったけど、大丈夫かな・・・ほんとうに復活してほしいイロハモミジ。
街に降りてきて、図書館までの街路樹のイチョウもまだ黄色にはなっていない、微妙な色合い。陽の光をうけて微妙な感じもまたいい感じ。
out of green, but hesitating to turn into yellow.
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さかのぼって、最近のライブ2つ。
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5日(土)
LAFMS(ロサンジルス・フリー・ミュージック・ソサエティ)の重要人物リック・ポッツの個展が心斎橋の複眼ギャラリーで開催され、そのオープニングに、日本におけるLAFMSの紹介者T・坂口さんのレクチャーとリック・ポッツ本人によるパフォーマンスがあるとのとで開場6時を30分ほどすぎて現場に到着。まだパフォーマンスにはなっていなかった。T・坂口さんのレクチャーを聴いていると、LAFMSの全体像はなんとなく、そしてリック・ポッツというひとの多彩な面がよく伝わってきた。
ライブは、1)リック・ポッツのソロ → 2)冷泉さんのソロ → 3)おふたりのセッションという流れで進行。
リック・ポッツが蝶番ギター(ネック部分を折り曲げ可能)をぎゅわんぎゅわんいわしている図は、諧謔を軽く超越して、健やかなものだった。
ギャラリーの壁面にはリック・ポッツの描いたドローイングやアクリル(?)のタブローが展示してあった。絵はネットで何度か見た憶えがあるけれど、これだけまとめて見ると、かなり独特(毒々)。好き嫌いのフィルターをまた軽く超えて、強烈なイメージを持った人であることはたしかで、それが絵とか音楽とかチャンネルをまたいで漏れ出てしまうんだろうなと思った。
最後にポッツが作成した映像が延々と最後まで流されたのだけれど、それはポッツが作成した、動物や人間のフィギュアを分解して半分ずつつなぎ合わせて造った異形の人形達が、一回転ずつ入れ替わるというものだった。どれもがこの世のものではないキメラたちの筈なのだけれど、どこかおどけていて、そこがポッツの感性の、ヴィジュアルアートはもちろん(ポッツはこういったキメラたちをタブローのモチーフにしている)、音楽パフォーマンスの土台にもなっているのではないかな、と思えた。それにしてもなんて数のキメラ人形だったのか・・・。
Mさんのお薦めで、冷泉さんのソロCDを購入。このあと、I佐さんとMさんとで「萊萊(みんみん」で楽しく飲み。複眼ギャラリーから流れてくるお客が多くて一瞬音楽オタク度が異様に濃密な大衆中華屋に。
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6日(日)
アルゼンチン・ブエノスアイレスのミュージシャン、トミ・レブレロTOMI LEBREROを知ったのは、偶然が重なって元旦に月眠ギャラリーでの生音ライブに誘っていただいたときだった。前日に難波でI田さんたちとブルースバーで邂逅し、そのまま勢いでギャラリーでの元旦ライブが決まったときいた。その元旦のギャラリーで聴いた小柄なブエノスアイレスっ子のヴォーカル・ギター・バンドネオンの切実さと多彩さは誰もがかけがえのないものと感じ取れるのではないかと今でも思います。
これは、あのヴィンセント・ムーンのTake Away Showでのパフォーマンス。
なにを置いてもこの映像だけは観たほうがいい。曲は『Cuando a caballo(馬に乗って)』。店内でバンドネオンを演奏するトミの背後の壁に飾ってあるのは「伝説の娼婦」のパンティとのこと。後半のお客を巻きこんでの大合唱、これは是非とも憶えておいていただきたい。そして演奏終了後のトミの「うふふふ」というはにかんだような笑い声も。これがどこでも巻き起る現象なんですよ。元旦のギャラリーでも、この日の「afu(会ふ)」でも。
当日「afu(会ふ)」には、主催のI田さんに呼んで頂いていたこともあってお昼から会場の準備などのお手伝いで参加。とはいえ、お客さんの椅子の設置などはリハ終わってからするものであって、到着したころにはPAも完璧にセッティングされていたので、演者さんの入りを待つ感じ。
午後二時くらいに、ゲストのオオルタイチさん+YTAMOさんが到着、さっそくリハと映像撮り。これが、リハ時に映像のYさんがafuビルの屋上からアメリカ村界隈で撮影したクリップ。
http://vimeo.com/31854729
曲は『夢の山』。お二人の最新のEP『ihati』に収録されている、早くも名曲です。
トミも到着。PA出音のバランスへの繊細な気遣いが印象的でした。
要するに、リハのときから、もうすでに多幸感分泌しまくっているわけでした。三人のセッション本番にいやがうえにも期待が高まる・・・・
主催のI田さんが、トミの出番前にみじかい前説。「進化し続けている」。その言葉をそのあと、まざまざと目の当たりにすることに。
元旦のギャラリーでは、ギターあるいはバンドネオンに伴われた歌だけでしたが、この日は、この二つプラス、バンドネオンの上にカオシレーターなどを置いて音響操作。手が塞がっているので鼻でカオシレーターを操作する局面も。足元に並べたボウリングのピンのようなベルを足で演奏して、音の広がりを作っていく姿には驚いてしまった。
友川かずきさんの「生きてるっていってみろ」Tシャツを着て熱唱のトミ。
次第にトミをはじめて聴くお客さんも(といっても僕も二回目であるにすぎませんが)だんだんとうちとけていくのがよくわかった。音楽の力やなあと。そして最後に、やはり『Cuando a caballo(馬に乗って)』。お客も大合唱だったことは言うまでもありません。
そして・・・、最後の三人セッションではオオルタイチさんのソロ曲『Venus』!
今回の共演は、オオルタイチさんのライブ映像をブエノスアイレスで観たトミは希望してとのことときいていましたが、その理由や喜びが充満して炸裂していた。この日のあと、トミはタイチさんのおうちにいっていろいろ熱心に話しこんでいたらしいです。
会場物販CDにちゃっかりサインをもらいました。
asin:B001PKI8FI
日本編集のベスト盤。ライブで聴ける曲の殆どが収録されているが、個人的にいちばん胸にクるのは、4曲目ルー・リード調の『7dias(7日間)』。ブラジルの詩人にインスパイアされた曲ということですが、初期ルー・リードのメランコリックなソングライティングと声のトーンを全部トミのものにしていると思う。元旦の、僕:「あなたの声を聴いていると一番きれいな頃のルー・リードの声を思い出します」トミ:「ぼくもルー・リード好きなんだ」というやりとりと共に、極私的名曲確定。
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つづけて10日(水)
トミの大阪最後の日、南田辺の名店居酒屋「スタンドアサヒ」http://r.tabelog.com/osaka/A2704/A270405/27005092/での歓・送別会に呼んでいただく。スペイン語のネイティブはトミだけで、みんなカタコトの英語で話していましたが、美味しい料理とお酒と楽しいひとたちが一番強力な言語ということが確認できた夜、なのでした。
トミと話したことというと・・・
僕:「バンドネオンのボタンって何でできているの?」
トミ:「たぶん骨」
僕:「人間の!?」
トミ:「たぶん動物の(笑)象牙かな。」
僕:「地元のミュージシャンの知り合いってどんな人ですか?カルロス・アギーレは?」
トミ:「彼の事は尊敬してます。僕は彼にくらべるともっとアヴァンギャルドというかヤンチャで、彼はもっと・・・」
僕:「ジャジー?」
トミ:「そう(笑)」。
噴飯ものというか、もうちょっとマシなことをききなさいとあの夜の自分に諭したい・・・。
どなたかが描いたトミ似顔絵、似てる!と一同絶賛。
行く先々で音楽のマジックを起こしてしまう、トミ・レブレロ。来年もぜひ日本に来てほしいものです。