みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

Carlos Giffoni + Jim O'rourke @難波ベアーズ、HPラヴクラフト、アルヴィン・カラン70年代作品集、Low Anthem『Smart Flesh』。

4月13日(水)Carlos Giffoni + Jim O'rourke @難波ベアーズ
 ジムが髭生えてサンタクロースみたいになってる!
 NO FUN PRODUCTIONを率いる重鎮カルロスとの日本ツアー。セットは(1)カルロスソロ(2)ジムソロ(3)カルロスジムデュオ。
 カルロスはゲームの効果音のような音を爆音でランダム化した果てに、肝の据わった野太いノイズを放出する。
 ジムは地震で自室の機材を相当ヤられてしまってラップトップも買い直す羽目になったと言ってました。そのせいか、ソロのはじめは音がうまいこと出ないようなことがあったけれども、ラップトップ音源なども絡めた奥行きのある襞が浸透していくような理知的な音。
 動と静のようにコントラストの効いた二人の音がデュオで合わさると、奥行きがあってしかもハラワタを熱くしてくれるノイズ、という興味深く、変化に富んだものに。カルロスというひとのことをよく知らずに自分は勝手に凶暴なノイジシャンだと思いこんでいたけれど、微妙な強弱に神経の行き届いていると感じた。
 体調不良時にはノイズが効くというジンクスはまたも守られた、と思うのと同時に、おそらくジムもカルロスも「ノイズ」をやろうなんて毛ほども考えちゃいないだろうと思い当って立ち止まる。

 ジムが途中でお客に座るようにいったので、ジムが全く見えない・・・。

 会場で東瀬戸さんが物販しておられたこのツアーのためにCD。ソロ・ソロ・デュオの3トラックで、この日のセットそのままの構成。一曲目のジムのソロはこの日演奏されたものよりもミニマルな印象のトラックになっている。デュオのほうはライブに比べると変化に乏しい印象がどうしてもしてしまいます。


Sonic Youth & Enrique Morente,2004年バルセロナ。急にはりつけたくなってしまいました。

DREAMS IN THE WITCH HOUSE: THE COMPLETE PHILIPS RECORDINGS

DREAMS IN THE WITCH HOUSE: THE COMPLETE PHILIPS RECORDINGS

 60年代シカゴのサイケバンドの2in1盤。ヴォーカル二人の高めのコーラスワークに、特徴的なオルガンサウンドで牧歌的だけれど憂いにただれたメロディーは、アメリカン・ゴシック・ホラーの巨匠作家からとったバンド名に恥じない。その昔、ビーフハートやモービー・グレイプ、クイックシルバー目当てで購入したサイケコンピCDに彼らの曲「Spin,Spin,Spin」が収められていたのを聴いて、そのメロディー感覚がどのサイケバンドよりも群を抜いていると思った。その「Spin,Spin,Spin」を含むセカンドの音源が素晴らしい。『狂気の山脈にて』などという曲まであって、ラヴクラフト世界への傾倒も本気だったことがうかがえます。曲によっては、「割礼」の淵源ではないかとも思わせる、どサイケ。


 Musica Elettronica Viva(MEV)に参加したローマの現代音楽家アルヴィン・カランの70年代の作品集。

Solo Works: the '70s

Solo Works: the '70s

 どの作品も極めて純度が高いサイケデリックな人口庭園。全ての作品に通底する硬質な陶酔感と、誠実なランダムネスは、この世代の他の作曲家でも特徴があるとおもう。MEVに関わったひとたちはほんとに半端な人がいない。まとめてリイシューしたNewWorldは偉い。
 スティーヴ・レイシージョン・ケージが即興ピースを提供したラジオ用の作品を思い出した。
Alvin Curran: Maritime Rites

Alvin Curran: Maritime Rites


Smart Flesh

Smart Flesh

 The Low Anthemのアルバム『Smart Flesh』。
 前作の『Oh My God, Charlie Darwin』はたしかタワレコのフォークカントリー棚でみかけて視聴もしたように思うのだけれどそんなに印象付けられることがなく購入に至らなかった記憶がかすかにある。しかし、この、ほぼ古いスパゲティソース工場で録音されたセッションで構成されたアルバムは、冒頭の「Ghost Woman Blues」が鳴り始めた瞬間から得難い瞬間を切り取った作品であることがはっきりとわかる。
 アップライトベースやジューズハープ、ハーモニウムクラリネットなどなどのさまざまな楽器群が、雇われセッションマンの演奏の継ぎ接ぎとは対極の、常にひとつのかたまりのようになって、シンプルな歌に寄り添って彩っていくのを聴くのは、自分もこのスパゲティソース工場セッションでの演奏に立ち会っているような幸せな錯覚を起こさせるのに十分なものだと思う。
 何よりヴォーカリストBen Knox Millerの震える歌が、今現在の他のどのシンガーよりも必然性を感じてしまうのなぜなのか。これは新しいアメリカーナの、というより、まだまだ今年リリースされるであろうポピュラー音楽のアルバムのなかでもベストな作品のひとつになると思う。それを、あまり肩ひじ張らずにリラックスしたムードで差し出してしまう風情も、とてもいい。
アルバム冒頭をかざる「Ghost Woman Blues」。

もうここからわしづかみなわたし。でもこれはスパゲティソース工場ではない。
スパゲティソース工場でのクリップはこれ。

「Boeing 737」。アルバムのなかで一番激しい曲でもある。9.11の歌なのかと思ったのだけれどボーイング違いみたいだ。

この曲、最後にコーラスを携帯電話を使ってやっているところまでも美しい。




今年の桜は、忘れられないものになりそうだ。3月11日以降、明らかに重みも意味も変質してしまった日常というものの起点として思いだすことになりそうだ。