『足ふみ留めて』『HomemadeMusic』、山田ノブオ
今日は、エイプリル・フールということだったけれども、嘘どころか冗談いう気にもならない。
管政権が東北の復興をよびかける青写真と野党への協力呼びかけには、災害前に息も絶え絶えだった民主政権の起死回生をねらったポーズが透けて見える。被災者にとって少しでも助けになるならそれはもちろん、良しなのだけれど…。福島で野菜をかじる西田敏行のほうが、まだ泥臭く人間的で胸を打つパフォーマンスだ。

- 作者: 佐々木中
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/03/16
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宅録~D.I.Y.ミュージック・ディスクガイド HOMEMADE MUSIC (P‐Vine BOOKs)
- 作者: 江森丈晃
- 出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク
- 発売日: 2011/03/03
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ディスクガイド本というものが今日可能なのか、というほとんど過ぎ去ってしまったような感のある問いを、あらためてこのムックはONCE AGAIN(『足ふみ留めて』より)でやりなおしている感がある。ディスクガイドという枠を完全に踏み越えつつ担保して余りある編集がされている。この過剰さは、大仰なものではない、それが掲載されている作品群の質とも共鳴し合って、豊かな剰余の感覚を生んでもいると思う。
挙げられるべき作品は挙げられていると思うし、挙げられていない作品にも想像で補う余地があまりある編集指針だと思う。
このムックを手に取ったら、日本の音楽受容(文化、とは書かない。これは個人から始まって絶えずそこに立ち戻るべき問題だ)にかんして「失われた10年」などなかったと断言したっていいはずだ。僕らはこんなにも音楽が好きで、音楽を作り出すひとのことを知りたくて、その核を探して止まず倦まずそして諦めなかったのだから!(それは誇りに思うまでいかなくとも、恥なくてもいいのではないのか?)
じつは宅録系〜DIY系とかそういうカテゴライズはどうでもよくて、本当に極私的な核を持つ音源を挙げるならこの形が最大限に正しい、だからこのムックは美しい。なぜなら、山田ノブオさんの作品が2枚も挙げられているから…。

【左】昨年のベストに挙げ損なった『Daydream of Wok』は、レコードショップ『Art into Life』主催で行われた2008年のライブ音源。音の立ち上がりから次第にノイジーなカオスが生成していくのだけれど、決してゴリ押しではない。この音源に関しては場の雰囲気、というのか、決定的なアトモスフィアがあって、それは終始途切れることがない。
【右】目下最新作のカセット『Bycycle Runnning Eve』。2010年のクリスマスイヴ、自転車にマイクを取り付けて町をいく山田ノブオさん。環境音とも物音とも区別できない感触の記録的な音源ともいえるし、B面最後のレコーダーの電池切れによる音のハーシュ化はファウンドサウンドとしても面白いです。