みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

本町NuoohでのBoilerz、Henry Threadgillの7CDSET、瀬川深『チューバはうたう』

6日(日曜)、キリヒトとBoilerzが出るとのことで本町Nuoohのイベント『ototonari』。
 ボナンザス、キリヒト、ともに初めて見る。ボナンザスはうわさ通りのテンションと爆音。キリヒトは10年くらい前からずっと見たかった。でやっと見た。さすがの迫力&上手いと思った、が…残念ながら途中で耳がしんどくなってきてしまった。花粉症で本調子じゃないみたい。
トリは一番生音に近いBoilerz。正直、ボナンザス、キリヒトの後じゃ分が悪いのでは?としょうもないおせっかいな気持ちがもたげていたのは確かですが、この日のBoilerz、今まで天婦羅屋「若松」での完全生音とウツボ公園のブラジルカフェでの西滝太さんとの共演の二つしか聴いていないのだけれど、最高にぶち切れていた。疾風する走馬灯が怒涛するワンセット40分間切れ目なしで完全無欠の演奏でした。
最初、爆音キリヒト後のチューバ(真空管アンプリファイド)とドラムセットの演奏に場内の空気自体が上手くついて行っていなかった。そんな空気を反映してか、おふたりの演奏も出だしの数分、少し試し・合わせで滞っているように聴こえた。それが、徐々に二人の演奏が空気に馴染んでいって、客はどんどん演奏するBoilerzの二人の前に進み出ていった。高音、打楽器的使用で慣らしを終えた高岡大祐さんがマウスピースをセットしてチューバをブロウし始めると、もはやBoilersの音楽の決壊を誰も止めることができなかった。演奏が終わった時の客の感嘆・狂喜の歓声は長く続いた。ぐったりと放心したようなお二人の姿は目に灼きついた。
Boilerzの東京ツアー、東京の方がうらやましくてなりません、ほんと。



 今週、年度末ということで、仕事がかなり抜き差しながらい状態。帰宅後頭がしばらくぼうっとしてしまうのだけれど、5月のイベントに向けて、フライヤーをコツコツ作成。どうやら目途がつきそう。
 しかし、印刷用のデータをつくるなんて何年ぶりだろう・・・自分自身のため、であればむしろ初めてなのかもしれません。

 といいながら、昨日はタワレコに久しぶりに立ち寄ってぶらぶらしていると、これを発見。

The Complete Remastered Recordings on Black Saint & Soul Note: Henry Threadgill

The Complete Remastered Recordings on Black Saint & Soul Note: Henry Threadgill

ヘンリー・スレッギルは昨年末NOVUSとコロンビア音源のボックスにハマりましたが、こんどはBLACK SAINTとSOUL NOTEのアルバム7枚を完全コンパイルしたもの。これでスレッギルはほとんどコンプリートか?エアーの「Live AIR」、「Air Mail」などから順番に聴いていっているけれど、やっぱり良い、としかいいようがないです(失語状態)。


火曜と水曜で読んだのが、昨年購入して積読だった瀬川深『チューバはうたう mit Tuba』。

チューバはうたう―mit Tuba

チューバはうたう―mit Tuba

実は購入したときは「チューバ」っていうだけで購入していた。上に高岡さんのことを書いたりする自分の状況で、またここで『チューバはうたう』か、と思うと洒落にならない感がありますが、表紙をめくったらシカラムータ大熊ワタルさんに捧げられていたりして、こりゃますますという想いとおおっ!という興奮と。前半主人公の女性が中学時代にラジオで聴いて衝撃をうけるバルカンのブラスバンドは、どうやら映画『アンダーグラウンド』、『黒猫・白猫』のあのバンドみたい(作家ご自身のHPでも言及がある様子)。
ギリ・ガラブディ

ギリ・ガラブディ

ここまで書くと、まったく自分の趣味にはまりまくっていて耽溺して読めそうなものだけれど、読んでいるうちに、チューバの音や、またチューバという楽器を選択すること自体への描写(主人公の独白というかたちをとっている)を読んでいるうちにこちらは興奮してくるのだけれど、文章自体は相当冷静に制御されていて、ちゃんと清潔な距離感がある。一息に、ひとりの女性が変化していく様態を語りきった中編で、興味深い題材だけではなくて、このあたりの力量が太宰治賞を受賞した所以なんだろうなあと、ひとりいまさら得心してしまった。