みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

登敬三・高岡大祐・船戸博史 plays standard@靫公園CHOVE CHUVA

堀江のFuturoにつづき、目下いちばん好きなジャズ・トリオの2回目ライブ。心斎橋「若松」のボイラーズは行けなかったのでこれだけは、と思ってました。今回は靫公園のブラジル雑貨CD&カフェCHOVE CHUVA[ショヴィ・シュヴァ]。はじめていきました。
【一部】

【二部】

1曲目から「ラジオのように」!あのベースラインあのフレーズをこのトリオで…やってくれはるなあと思いつつ、生音で「ラジオのように」を聴くのは初めてハマりすぎてしまいました。船戸さんのアルバムに「マラカイのひとりごと」っていう曲がなかったか…と(いうまでもないですがマラカイ・フェイヴァーズはアート・アンサンブル・オブ・シカゴのベーシストです)。2曲目3曲目はたぶん…です。自信はない。この日はオーネット・コールマンの曲が多めでしたのでとても嬉しかった。
なかでもオーネットの「ブルース・コノテーション」はオーネット・コールマンの曲のなかでも最高にカッコ良くキャッチーなメインテーマを持つ快速ナンバー。目の前でこの曲を演奏されるとほんとに腹の底からウキウキしてしまった。「ピース」もオーネットの書くメロディーのつかみきれない切なさが良く出た穏やかな曲だと思いますが、このトリオの雰囲気にとても合っていると思った。「ラテン…」は聴いたことがない曲だったので、後日調べてみたらアルバム「In All Languages」収録の曲でした。ラテンっぽくて明るいメロディーだった。オーネットの書くメロディーって、自分にとってはある一線を越えるととても人懐っこくて覚えやすくて口ずさみたくなるんですが、この曲はその典型だと思いました。
オーネットがメインだったのかといえば曲数的にはそうだったのかもしれませんが、自分のなかで多幸感が溢れたのは2部2曲目の「ベムシャ・スウィング」でした。このモンクのスタンダードには、まったりとでも流麗にでも恐ろしくいろんなタイプの解釈と演奏があると思うのですが、この夜はモンクらしい不安定な感じとそれがお店の空気をぐんぐん引っ張っていく感じが同時に襲ってきて…つまり「スウィング」ということなのか?
登さんのテナーはぶっとくせり出してきてしかも滑らかに歌う。聴き間違いでなければ「ロンリー・ウーマン」のソロのなかに「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」のフレーズまで忍び込ませておられた…。高岡さんのチューバはおよそチューバらしからぬ音まで出してこのトリオのジャズを尋常ではないものに変えていると思った。しかもそれがことごとくアンサンブルの中でメロディアスに聴こえる。船戸さんの指は、最後の「ロンリー・ウーマン」で、チューバとテナーがエンディングのフレーズを吹き終わったあとも、ベースの弦を細かく爪弾き続けるのを止めなかった。爪弾きは次第にこの、何度フレーズを繰り返しても歌いきることはできない歌の核心に触れるように激しく振幅しておわった。
しかし、この贅沢なトリオの演奏を聴きに来るひとがあまりに少ないことに、一番驚きました。

The Shape of Jazz to Come

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This Is Our Music

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In All Languages

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ラジオのように(紙ジャケット仕様)

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