みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

登敬三・高岡大祐・船戸博史 plays standard @堀江FUTURO

nomrakenta2010-11-02


この日は平日の火曜日でしたが、翌日水曜が休日につき、ライブ行ってもいいよねと自分にいいきかせる、というか、ボイラーズの高岡さんと「ふちふな」の船戸さんが同時に観れる/聴けるしかもジャズで、というなら行くしかないよと一か月前から心に決めていました、が、職場で店じまいする直前にスタッフに「からまれ」、しかもその訴えが非常に真摯なものだったので、思わずこちらも一緒に考え込み始めてしまい、ついつい開場時間を過ぎて堀江のFUTUROに駆けつけることになってしまいました。
レトロフューチャなインテリアや楽器、そして今は亡きレコード店『人類レコード』の在庫LPを置くこのカフェ「FUTURO」は、Iさんに教えていただいたのでした。このお店、シナモンを効かせたホットワインが最高に美味しいのですよ。

職場から徒歩でFUTUROに辿り着くと、ほとんど演奏始まりかけのようで、お客さんも結構入っていた。立ち見かなと覚悟していると、一番前の席が空いていて助かりました。もちろんホットワインを注文。船戸さん、登さん、高岡さんの演奏がすぐに始まりました。




【1st set】

  1. All Blues / Miles Davis
  2. Goodbye Pork Pie Hat / Charles Mingus
  3. Stolen Moment / Oliver Nelson
  4. Afro Blue / Mongo Santamarias

【2nd set】

  1. Pithecanthropus Erectus / Charles Mingus
  2. I Mean You / Theronius Monk
  3. Freddie Freeloader / Miles Davis
  4. Lonley Woman / Ornette Coleman

という感じで、これ以上ないというくらい、文句のなきモダンジャズの「スタンダード」ばかりでした。モンゴ・サンタマリアだけ知りませんでした(じつはマイルスも苦手でアルバムは持っていても曲まではわかりません)。

不覚にも揺さぶられるような思いになってしまったのは、恥ずかしながら初めて聴く登敬三さんのテナーサックスの図太い音色だった。
1セットのオリバー・ネルソンの名盤『ブルースの真実』(原題:The Blues & The Abstract Truth)の冒頭に収録されている「ストールン・モーメンツ」では、たしかエリック・ドルフィーが吹いていたと思います。その印象を塗り替えてくれるような図太くてつき刺さってくる音色を登さんのサックスは出していた。

ブリュッセル〜大阪〜東京などを旅するチューバ奏者・高岡大祐さんは、7月にここの近くの心斎橋筋の天ぷら屋さん「若松」でワタンベさんとのユニット『ボイラーズ』の凄まじい投げ銭ライブを深夜まで降りやまない雨の日に観て以来。
初めて高岡大祐さんの演奏を観たのは、数年前の新世界ブリッジでの森本アリさんとの「口八丁」で、そのとき物販で高岡さんのチューバソロのCD-Rを買った(白い盤のまわりにマジックでクレジットが書き込まれているやつです)。で、そのあとIさんのお友達の紹介でお出会いした方が「渋さ知らず」に関係しておられた方で、コントラバスとチューバのデュオ『低音環境』がよかったですよねえなどと調子にのっていると、そのチューバが高岡さんだと指摘されて大変な赤っ恥をかきました。

低音環境

低音環境

「ふちふな」の船戸さんは、たしかこの次の日に神戸のビッグアップルで「ふちふな」結成20周年イベントを控えていらっしゃったと思う。船戸さんのソロは2枚とも持っていて大好き(セカンド『通り抜け ご遠慮ください』の2曲目「Flowers for Albert」が、デヴィッド・マレイだと最近気が付きはずかしかった)ですが、船戸さんが思いきりジャズをするのを生で聴くのは初めてかもしれない。

セットの最後はオーネットの「淋しい女」。船戸さんのコントラバスが、あのチャリー・ヘイデンが弾いたモダン・ジャズ史上最も不穏なベースラインをはじきだし、テナーとチューバが有名なむせび哭きのテーマを同調しずれあいながら蠢く。

確認のために今夜の曲のオリジナルアルバムを以下に。

Kind of Blue

Kind of Blue

MINGUS AH UM

MINGUS AH UM

Blues & The Abstract Truth (Reis) (Rstr)

Blues & The Abstract Truth (Reis) (Rstr)

Mongo Santamaria Greatest Hits

Mongo Santamaria Greatest Hits

Pithecanthropus Erectus

Pithecanthropus Erectus

5 By Monk By 5

5 By Monk By 5

The Shape of Jazz to Come

The Shape of Jazz to Come

名盤ばっかしですね。


物販で購入した、高岡さんとワタンベさんの現ボイラーズ組とデグリチーニさんによるパンク・トリオ『BOLSHOIZ』の1ST。2007年の録音。高岡さんのブログによると、BOLSHIZは欧州ツアーも敢行している様子です。これはかっこいい!そして確実に何かを「晴らせる」効用/高揚をもっている、つまり正しくパンクということ。ハイスピードでつんのめりつづけるべースラインは、高岡さんがアンプリファイドしたチューバで吹いている。なるほどこれがつまり、「BlowBass」か!フリクションの『軋轢』の曲と混ぜて聴いてもぜんぜんいけます。
軋轢

軋轢