みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

現代詩手帖の小笠原鳥類さんの詩論の後編のことや、この数週間聴いて生き延びてきた本やCDなど。

今年の暑いのが延々と続くのは、災害みたいなものらしいから、8月のエントリーが非常にさみしかったのだとしても、それは被災していたのだからしょうがないことだろう、と自分にうそぶきつつ。
業界のえげつない再編にともなっているのかどうか、は微妙だが、職場でも提携社の商品を近々に販売することになり、その帳票作成や計上システムはどうするの、そのサポートはうちがするのかどうか、みたいな話がまだつまっていないと知り、多少戦慄

現代詩手帖 2010年 09月号 [雑誌]

現代詩手帖 2010年 09月号 [雑誌]

現代詩手帖』の9月号の特集は、この二月に召天された舞踏家・大野一雄さんの特集になっている。NHKで大野一雄さんの特集をやるというので見たのだけれど、思いのほか尺も短くてあっさりと終わってしまった感があってあれーと思っていたので、折にふれてこの特集を読み返したりもするのかもしれない。

しかし、とくに大野一雄さん目当てで購入したわけではなく、掲載されている小笠原鳥類さんの詩論『青い教室で、さまよう幽霊のように』の下編が目当てだったのだ。
鳥類さんは、上編にひきつづいて、この現在(「現代」とは書かない)に新たに詩集を産み出していく若い詩人の作と、古典―万葉や梁塵秘抄の歌/詩を並走するように読み次いで、言葉の「不気味な」感触を双方に測り架橋することができるのか、試みている(のだと思います)。「不気味な」というのは、気持ち悪いということではなくて、たぶん、既知であれ未知であれ(梁塵秘抄の詩のなかの単語には今では未詳なものが多いそう)印象の強度と、その強度の連鎖がいきもののように動く様子に、とりあえずあてられた言葉であるように思えます。
鳥類さんの試論は、「いん/あうと」の頃からまったく変節していないように自分には思え、今回2回にわたったこの『青い教室で、さまよう幽霊のように』では、できるだけ多くの作品からの引用と印象を綴り織ることで、その声ももっと高く強い調子にしたのではないかなあ、と思う。それは、言葉のかたまりを詩としてとらえてみる「現在」のひとつのあり方であって、自分にとっては今も腑に落ちるものであることには変わりがない。

それにしても、思潮社から近日刊行予定の渡辺武信『移動祝祭日』はいつ書店の棚に並ぶのかなあと心待ちにしています。『移動祝祭日』はヘミングウェイのそれではなくて(関係あるのかもしれませんが)、天沢退二郎や菅谷規矩雄の『凶区』などの詩誌における60年代の現代詩の突出をまとめた書ということなのですが、鈴木志郎康さんなどがどんなふうに描かれるのか興味あるのですね。


世界クジラ戦争

世界クジラ戦争

著者のタフ・ネゴシエーターぶりは参考になりますいやいや、あこがれます。

これは買った本、というわけではないのですが・・・最近、職場近くのジュンク堂の棚をみていると、法政大学出版局からでている『ものと人間の文化史』シリーズを全巻・棚ごと買いたい、と妄想している自分に気付いたりする。
丸木舟 (ものと人間の文化史)

丸木舟 (ものと人間の文化史)


いわゆる環境保険について勉強中(職務に直接関係はありませんが)。10年前の本だけれども、根本的な理論を踏まえていそうなのは本書だけっぽい。
環境リスク管理―市場性と保険可能性

環境リスク管理―市場性と保険可能性

日本では潜在的なニーズはあれど、保険会社側の下地が整っていない様子ですが。それとは別に、人間社会にとっての「環境」というものを「エコ・クリティシズム」的なものから離れて考えてみるには、「保険」を軸に腑分けしてみるのがいいのかも、とちらり。

チュリータ

チュリータ

初めて聴くアーバン・フォルクローレ。好みです。

ディス・ナイト・イズ・スティル・ヤング

ディス・ナイト・イズ・スティル・ヤング

この暑苦しい一か月のあいだ、思いのほか聴いていたつまみぐい。

There Is No One What Will Take Care of You

There Is No One What Will Take Care of You

Days in the Wake

Days in the Wake

フォーエヴァーレコーズが1階から5階に移転しておられるのをみた日に、そのままアメリカ村のタイムボムに足をむけてみると、US/UKインディーの在庫一掃セールをしていた。半額以下でかなり抜かれている様子だったのでもはや良いものはあるまいと思ってもなお見ていると、懐かしいパレス・ブラザースの初期2作があったのでおもわず救出。この2枚は衝撃だった。2作目なんて今ジャケみるとYandekのパクリとしか思えないのだが…ボニー・プリンス・ビリーもまたまったく変わっていない。乾き果てているようでいて、複雑なやりきれなさに濡れひたっているのだな。
それにしても僕は、かなりの年月ボニビリがほんとうにPalaceのことなのだとなぜか気付かなかったのではあります。
HMV渋谷ではないけれど、リアル店舗のシビアな状況というのは、どうにもならんのだろうなあ。このままじゃ通販のみの倉庫ショップばっかりになってしまうのじゃないか。
WATARASE

WATARASE

板橋文夫さんのジャズを、僕ははじめて聴いたのですが、良いですね。「渡良瀬」のヴァ―ジョンだけでまとめられたDisc-2を重点的に聴いております。

Vintage Violence

Vintage Violence

数年前にリイシューされたときに購入していたものをよく聴いてました。Velvetsを抜けて、ストゥージズのファーストを手掛けて、テリー・ライリーなんかと遊ぶうちに、制作されたのでソロ一作目の本作なんですが、どの曲も粒が揃っていて良い。目玉はボーナストラックの「Wall」で、ラ・モンテ・ヤングやトニー・コンラッドと深めながら、Velvetsでもギターやヴィオラと原始ドラムで試みはしたけれども、おそらく「純度」の面からいってフラストレーションが溜まっていたに違いない方向の、要するにドローン作品なのですが、美しい響きだと思う。


ぞめき壱 高円寺阿波おどり(2枚組)

ぞめき壱 高円寺阿波おどり(2枚組)

  • アーティスト: 東京天水連,舞蝶連,小六連,苔作,天狗連,葵新連,飛鳥連,忍連,江戸っ子連,ひょっとこ連,吹鼓連
  • 出版社/メーカー: ABY RECORDS
  • 発売日: 2010/08/01
  • メディア: CD
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久保田真琴が録音した高円寺の阿波踊りの音楽。50年くらい前から東京の高円寺でも阿波踊りをやっていてしっかり根付いているそうな。阿波踊りの1チームを「連」と呼ぶようですが、ここには12の連の「演奏」が収められていて、大太鼓に鉦、それにスネアドラムに笛、三味線、おはやしなどが絡む構成で、どれも頭がクラクラする、文字通り暑さを吹き飛ばすビートになってます。こういう囃子系ビートって、無条件で、懐かしくなるのとわくわくするのが同時に同じ強度でくるのだよなあ。
これは名盤です。