土曜の夜は、もう、日曜の朝
昨日の夜、朝青龍の引退会見をやっとYouTubeで見ていて、無念さが伝わってきて、こちらも悔しい思いが湧いてくるのを抑えられませんでした。
はじめは朝青龍に嫌悪感を持っていたような憶えがありますが、こうなってみると、むしろここ数年の自分は、横綱・朝青龍に元気付けられてきたところもあったかもしれない、と思いました。自分としてはあまりないことなんですが、見ながら「やめるな朝青龍やめるな」と、口のなかで呟いていた(藤井貞和の「パンダ来るな」が反響している)。
力士の「品格」なんて幻想だと思う。少なくとも朝青龍にとっては勝負に勝つことが品格にあたるものだったと思うし、個人的には、強ければいいから力士なんだよ、とも思いたかった。
モンゴルだけじゃなく日本でだって、相撲ファンは減るに違いない(と僕は思う)。
アラン・シリトー 土曜の夜と日曜の朝 (新潮文庫 赤 68-2)
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自分がKindleを購入するのは、少なくとも和書データが十分にクラウド化されてからのことになるな、と思っていますし、書物のデジタル化についてまとまった考えをもっているわけではまったくないのですが、川添 歩さんの「読書体験のクラウド化」https://www.sociomedia.co.jp/2132という記事の文章に、ハッとさせられました。
したがって、本がクラウド化されたというよりも、読書体験そのものがクラウド化されたと言うべきでしょう。
これは、本の歴史、読書の歴史にとって、とても大きなできごとです。
付箋や傍線、ついついやってしまう書き込み。そんな個的な読書体験こそも、「本」の一部であったのであって。
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箕面でも小雪がちらつきました。
公園。左はステンレスの「葦」彫刻。誰の作かは知りません。公園自体が「葦原池」を埋め立てたものだからで、僕が中学生の頃にはもうあった。随分あちこち痛んではいます。
公園付近。打ち捨てられたガソリンスタンドの看板。塗料の剥がれかたに、なにか心を指先で「つままれる」ようなものがあったのですよ。
寒い空気のなか、歩いているいると、歩いていることが自分のなかに充ちてくる。そうすると、言葉は文章ではなくて、単語でもいいのですが、言葉も身体のなかに、充ちてくる、というか充ちている、という気がしてくる。歩くことを禁じられたら少なくとも自分はどうにかなってしまうだろう。
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Open Strings: 1920s Middle Eastern Recordings
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カル・デ・サックの中心人物でこのアルバムのタイトルにもなっているグレン・ジョーンズの映像がありました。6分くらいまでは、影響をうけたギタリスト、フェイヒーやロビー・バショーについて語ってますが、そのあと清々しい突風のような演奏を披露してくれます。
あ、ギターにギアが入ってしまった…。
これは何回観てもすごい。ギターという楽器を使い尽くしてる。
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とろーんとした感じのカイル。いろんなところに精霊を見るんだろう。
FREEDOM SUITE-The Shape of Jazz to Come Revisited/Requiem for Soldiers of October Revolution
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ライプチヒでの路上ライブ。いきなり場所を移動させられているのがいいなあ。サッカーし出してるお客が怒られてるのもゆるゆるでいいなあ。ボーカルのひとが古の映画「コミットメンツ」のシンガーを彷彿させるなあ。べースのおっさんもいい感じだなあ…。赤んぼも笑っているので(9分過ぎくらい)、これは良い音楽である。
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ゲラシム・ルカ―ノン=オイディプスの戦略 (シュルレアリスムの25時)
- 作者: 鈴木雅雄
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二〇年代のオートマティズムが少なくとも一見したところ、たいていは言語の生産性に信頼を置いた楽観的なものに見えるとするなら、ここにあるのはむしろ言語を徹底して痛めつけ、言語の解体のうちにこそ可能性を見出そうとする冷徹なものである。
――p.22 鈴木 雅雄『ゲラシム・ルカ ― ノン=オイディプスの戦略 (シュルレアリスムの25時) 』
したがってそこでは、とりあえず「作品」と呼ぶしかないテクストや造形物が、何を表現しているかではなく、いかに用いられているかという問いが立てられねばならない。
p.56 ――鈴木 雅雄『ゲラシム・ルカ ― ノン=オイディプスの戦略 (シュルレアリスムの25時) 』
空虚を満たしてもとあったはずの充満に至ろうとするのではなく、運動のなかで何に対する欠如として規定されることもない状態を造り出さねばならないのである。
p.66 ――鈴木 雅雄『ゲラシム・ルカ ― ノン=オイディプスの戦略 (シュルレアリスムの25時) 』
突然与えられる言葉であれ、説明できない出会いであれ、シュルレアリスムの問題にする体験は常に、こんなふうであるはずがないのにこうでなくてはならないという体験、いわば「不自然」かつ「自然」な体験である。この言葉やこの出来事が「私」にとって、これほどにも決定的で必然的であるにもかかわらず、それを説明できる論拠は完全に欠如していて、「あなた」に対して正当化するいかなる術も「私」にはない。
シュルレアリスムについてこれまで語られた、どんな言葉よりも腑に落ちる。
おそらくシュルレアリスムには本質的に、強い力を持って迫ってくる思想(たとえばフロイトやヘーゲル)に対し、追随する否定するのでもなく、過度に反復することでそれを作り変えてしまうという身振りが備わっている。
――p.80 鈴木 雅雄『ゲラシム・ルカ ― ノン=オイディプスの戦略 (シュルレアリスムの25時) 』
「この欲望は何を目指しているのか」という問いの代わりに、「何を求めていると解釈すれば欲望は水路を見つけて流れ出すのか」という問いが置かれたのである。
p.99 ――鈴木 雅雄『ゲラシム・ルカ ― ノン=オイディプスの戦略 (シュルレアリスムの25時) 』
以上のように、10ページ置きに、立ち止まりたくなる言い回しに出会ってしまう本になっています。