みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

20日、21日、22日。

nomrakenta2009-08-26

つづきです。右の画像は、22日土曜の「さかな」と「青山陽一BM's」。
【20日 水曜日】
これから3日間東京を歩きまわるには鞄が重すぎたので、新宿のアウトレット屋で600円のトートバッグを購入。鞄はコイン・ロッカーへ。11時から、話題のアニメーション『サマーウォーズ』を観る。単純に、楽しめました。村上隆な仮想空間のデザインには、不思議と自然な納得感があった。終盤の圧倒的な映像は、アニメ史(いや、映画史でもいい)に残りそうな気がする。花札が流行ったりするだろうか。お昼は坦々つけ麺。
午後はディスク・ユニオンを回っていると、あっという間に時が過ぎてしまい、夜は、短い東京時代の同僚と、新宿東口の串焼き屋さんで呑み。
【21日 木曜日】
午前中のうちに、2000年〜2001年の間に勤めていた会社のあった代官山あたりを見てみたくなって、恵比寿で降りて山の手線沿いの道を代官山に向かう。すでに事務所が立ち退いていることは聞かされていたけれど、10年振りにあの界隈を見ておきたかったのだった。ところが、朝から日差しが強かったためか、代官山に辿り着くまでに気持ちのわるい汗を大量にかき、息は乱れだし、嘔吐感まで催してしまう。やっと事務所がテナントに入っていたビルの前まで来て、すでに跡形もないことを確認して、ビルの前のベンチに腰をかけると、嘘のように気分が良くなってしまった。あまり良い辞めかたではなかったので、精神的なものだったのかも。意外にメンタルな自分に苦笑してしまうしかない。そのあと、代官山から渋谷へと下る細い道を、ちょっと迷いながら、辿っていきましたが、当時目印にしていたカフェや服屋もあらかた入れ替わってしまっており、印象がかなり変わっていた。渋谷駅で、当時よく食べたもりそばを食べてお昼。京王線のところで、岡本太郎の壁画をみる。ほとんど人が立ち止まらない。
夜は、吉祥寺の「スターパインズ・カフェ」でライブ。ちょっと前に吉祥寺について、ブラブラ。以前いたときも、吉祥寺は好きな街だった。規模がなにか、大阪に近いような気がするし、好きなライブハウスが密集しているし、で空気が馴染むのか。
http://gen2.blog.ocn.ne.jp/genji_news/2009/08/821_bc67.html
ちくわぶ、サーディンヘッド、東京ローカルホンク、スプラトゥラプス。オープニングアクトは男女デュオの「ちくわぶ」。最初、デレク・ベイリーでもあるかのようなギターではじまってびっくり。「サーディンヘッド」は、初見。インストバンドなんだけれども、圧倒的な演奏力で、シャープでユーモラス。人気もかなりあるみたいでした(…ただの無知ですが)。「ザ・エンデイング」(たしか)という曲が、ハードロックやブルースバンドの「典型的なエンディングのクリシェ部分のみ」をつなぎ合わせてしまったという凄い曲で、これがほとんどキング・クリムゾンであるかのような複雑骨折ハイテンションで聴かせてくれるので、感心するやら吹き出してしまうやら。
次は、今年の「春一番」で初見で、ライブアルバム『クワイエット・ロックン・ロールの世界』もすっかり愛聴盤になってしまっている「東京ローカル・ホンク」。この人たちが目当てでした。一曲目、良いんだけれど、なにか音のバランスが先日の印象と違うなあ?と思っていたら、すぐさま、ボーカルギターの木下 弦二氏が「野郎どもの声が大きすぎます」と調整。そうそう。二本のギターの絡み合いも素晴らしいし、ベースは完全にバンドサウンドを駆動しているし、ドラムはむしろ歌うよう。ボーカルもなんというか、味がある。ベースの人のコーラスうますぎ。バンドのサウンドに対する神経が細やかに行き届いているように思えました。前のエントリーで『カミナリ』を、日本の、僕らの、「マーキームーン」だと勢いで書いてしまったのですが、あながち間違いではなかったと思っています。

クワイエット・ロックンロールの世界

クワイエット・ロックンロールの世界

最後は、小川美潮さんの新バンド(なのか?)スプラトゥラプス。春一番で、「ウズマキマズウ」を観たが、ボーカル、ピアノ、ドラム、パーカッション編成のこのバンドの方が好みであるかもしれない。たいへん、良い気分で新宿に帰る。
【22日 土曜日】
東京最終日。この日は忙しかった。
まず、朝8時に、湘南新宿ライン快速に乗って二時間かけて高崎まで出て、そこから両毛線に乗り換えて前橋まで。前橋市は、萩原朔太郎生誕の地で、前橋文学館という施設があり、今年はここで、詩集『声の生地』で「萩原朔太郎賞」を受賞された鈴木志郎康さんの特別展が開かれていて、この日は鈴木志郎康さんご本人による講演「詩を書くのは楽しい。だけどその後は…」が開催されるので、それを見に行ったのでした。展覧会と、講演については、次のエントリーで書くとして、前橋市は市内を綺麗な川が流れて緑が多く、良いところでした。
3時過ぎに次の予定があったので、東京にとんぼ返り。またもや吉祥寺の、今度は「MANDALA2」で、「青山陽一 the BM's」と「さかな」のダブルヘッダーライブ。かなりの客入りで、メール予約したのみだったので店内に入るのがほとんど最後。なんとかカウンター脇に立ち位置を確保して観ることができましたが、はじめにBM'sとさかなの合体で何曲かやってから、さかなの出番。新曲(?)が多いのか聴いたことない曲が多かった。アルバム録音の予定もあるんだろか。楽しみ。お客さんの反応がちょっと微妙な気がしたが、考えてみれば、このあとのBM'sさんのファンが多かったのかもしれない。つづいて、青山陽一さんは初見。大昔、ナゴム・レコードから「グランド・ファーザーズ」という素敵すぎる名前のバンドで登場して、そのあと地道に活動しておられる、という知識しかなかったけれど、このBM'sは、意外にファンキーかつストレート、変にひねったところなど皆無で、穏やかにうねるようなグルーブのある音で、お客さんをグイグイ盛り上げていた。「産毛の生えたフリーダム/足の遅いフリーダム」と歌われる「Freedom」というスローテンポな曲が気に入ってしまい、あとでミニアルバム購入。
最後に、さかなのおふたりと再度合体して、演奏。アンコールの最後にやったのはキャロル・キングの「You've got a friend」。これほど演る人によって、あざとさが目立ってしまう曲もないと思うが、ポコペンさんの熱の入った歌が、こころまで浸みこみ尽くすのに、ただ気持ちよく無抵抗でした。この日もまた、気分よく新宿に帰る。
翌日、朝早く帰阪。夕方からこちらの友人たちと呑み。旅行前に編集のおわったコンピCDをみんなに渡す。この9日間、よく遊び、よく移動したので、まったく退屈しなかった。退屈がつづくと仕事がつらいのですよね。