みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

ひさしぶりにYouTubeでいろいろと。

ひとのブログ経由でひさしぶりにYoutubeにはいり、Warren Zevonの映像を漁ってみました。最後のレターマン・ショーでがんに侵された自分のことを割りと陽気に受け流している様が衝撃だった。
スコセッシの『ハスラー2』で、トム・クルーズが登場するときにプールバーでかかっていた曲がジヴォンの「ロンドンの狼男」なんですけど、憶えているひとがどれだけいるのか・・・。あとリンダ・ロンシュタットも『Poor Poor Pitiful Me』を歌っていた、みたい。万感の想いを込めつつあまり気にしないという、ジヴォン節ともいえる良い曲です。

ハスラー 2 [DVD]

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ラブ&ピースから遠く離れたダークなキャラでデビューしたシンガー・ソングライター時代から、ハードなロック、それからREMをバックにアルバム作ったり、共作をしたりもした。僕的にはその頃はじめてジヴォンを知って、おっさんのくせにエッジのたってるヤツがいるんだと思っていた。「Sentimental Hygiene 」(REMがバック)だとか、「Transverse City 」だとか「Mr. Bad Example」だとか、ブコウスキーサイバーパンクが混ざったようなコトバのセンスも好きだった。
これは『Splendid Isolation』

砂漠でひとりで暮らしたいんだ
ジョージアオキーフみたいに
街になんか出るもんか
この格別な孤独 
俺には誰も必要ない

Georgia O'keeffe: In The West

Georgia O'keeffe: In The West

この曲、歌詞だけ読むともちろん鼻につくことはつくわけですが、爛れたようなジヴォンの男気あふれる歌が中和するんですよね。個人的にはものすごい美人に歌ってほしいナムバー。

70年代後半に『エキサイタブル・ボーイ』に打ち込んでいたとき、俺には休暇が必要だと思ってハワイにいった。長い日の終わりにカクテルなんかを飲みながら曲を書いた。グロテスクな経験だったね。経験から学んだよ。それから休暇をとったことはない。

と渋い前置きで演奏される『Lawyers, Guns and Money』。にっちもさっちもいかなくなって憔悴しきったギャンブラーが「父さん、弁護士と銃と金を送ってくれ!」と叫んでいるように聴こえる(多分、ちがう)この歌、ジヴォンの中でも初期の名曲です。うねりを押さえ込むようにざっくざっくと演奏される12弦ギターが気持ちいい。

大味なことは大味。直球といえばもりろん直球。ルー・リードほどひねてるわけでもない。でもそれだけに五臓六腑に染みる歌ばかりだったウォーレン・ジヴォン。なぜ自分にエルトン・ジョンもブルー・スプリングスティーンニール・ヤングもあまり必要なかったのか考えると、この人の歌があったからかもしれない。

このライブ盤がジヴォンのおいしいところを一番いい状態で聴けるのではないかと。

Learning to Flinch

Learning to Flinch


個人的にカンの「Yoo Doo Right」の次にカラオケで歌ってみたい曲なのがデッド・ケネディーズの『ホリデイ・イン・カンボジアですが、Youtubeで原曲よりもカッコよいバージョン(ごめんねビアフラ)を発見してしまいました。
システム・オブ・ア・ドーンのヴォーカルがフー・ファイターズに合体。ビアフラの演劇的ヒステリーをかなりバージョンアップしてます。いや、ガッツのある演奏だわ、しかもなんかおしゃれだし。どっちが「デッケネのアレやろうぜ」といったのかが非常に気になるところです。

この原曲を最初から最後までまるごと映画中ラジオから流れる曲として使ったレオス・カラックスの『ボーイ・ミーツ・ガール』は、そこだけすごかった(語弊あり。存在感というものが確実に常人と1cmほどずれているドニ・ラヴァン自体が見みもの。カラックスの映画にラヴァンが出なくなった時点で僕にとってカラックスは意味がなくなりました)。

ボーイ・ミーツ・ガール [DVD]

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最後のリフレインが「ポル・ポト」といっていることに気づいたのは相当後になってからだった馬鹿なわたし。やっぱりピストルズの「Holiday in The Sun」へのアンサーソングだったのか。もはやどうでもいいことだが、こちらの果てしなくダークなパワーのほうが「パンク」だった。ビアフラは「パンク」が演劇的な身振りであることだと見抜いていた。「そら、カンボジアで休日だ。あそこじゃ皆喪服を着てる。女房を荷造りすんのを忘れんなよ!」
Fresh Fruit for Rotting Vegetables

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ポル・ポト―ある悪夢の歴史

ポル・ポト―ある悪夢の歴史