みみのまばたき

2006-2013 箕面の音楽・文学好きの記録です。

鱈なべの夜。モールス『REBEL BEAT FACTORY YEARS』

nomrakenta2008-03-08

我が家は、魚に関しては、香住の港から直送してくれるもので相当豊かな食生活になっていると、つねづね感謝しているのですが、昨日電話がかかってきて「おっきい鱈がどうやら余りそうなんですが、いかがですか?」と訊かれて、うちの親父は「もちろん頂きます」と即答したらしい(えらい)。なので、今日は鱈なべでした。
長いこと生きてきたが、こんな肉厚(っていうのだろうか)の鱈をぶつ切りにしてぐつぐつやって旨い酒を飲むのははじめて。至福のひとときでありました。白子の濃厚さに参った。
おまけに箱に入れてくれた大量の海老がまだ活きていて、塩もふらずに焼いたのみで相当おいしい。隣に住むうちの祖父母もおいしいおいしいとパクパク食べてました。食べ過ぎて鱈なべのほうがかなり厳しいハードルに(明日うどんと煮込むのだ)。この贅沢なおまけも送料も含めて3000円とは、有難すぎるです。

mooolsの初期作品集という『REBEL BEAT FACTORY YEARS』を聴く。

レベル・ビート・ファクトリー・イヤーズ

レベル・ビート・ファクトリー・イヤーズ

mooolsは、一年くらいまえに『モチーフ返し』を聴いておもわずうなってしまった。
説明するのがとても難しいのだが、昔よくオリジナルパンクの頃にでたコンピレーションを漁って聴いていたのですが、どのバンドもへたくそな演奏で録音も粗いのに、音を出す喜びそのものが出ているというのか、一曲ごとにバンドの表情が当然違うし一発屋のようなバンドもいっぱいいて、そういうコンピの玉石混交具合そのものが大層おもしろかったのですが、mooolsはアルバム通してずっとそんな新鮮さが持続するバンドだった。
一曲一曲の立ち上がりが非凡なのだ。ありえない感じといってもいい。
シュールなのか生活観なのかよくわからないけれどユーモラスな歌詞を切実に歌いあげ、時には絶唱にも至る酒井泰明氏と演奏が一体になって切れのいい屈折をする様が実にいい。バンドがひとつになって、音でアクリル絵の具でイーハトーブで呆けたバスキアのような絵を描いている、そんな気がする。こんな良質に「ねじくれた」バンドがいるのだという事実に、私は全面的に幸せを感じるものであります。
このデビュー作『光ファイバー』と『マジック200』を収めたリイシューも、基本的に『モチーフ返し』の印象と変わらない。若干初々しい気もするのだけれど、はじめからモールスはモールスだったみたい。妙に安心。
「イルミネーション依存症」など、ユーミンの「守ってあげたい」ちっくなコーラスがおもしろい)「言葉の意味はよくわかるからすごい自信ない」。「温床の都」は『モチーフ返し』でもやってた曲だなあ・・・でもこの初期バージョンも荒々しいくてダイナミック。叙情が激情化してうねっている。「バオー・来訪者」なんつー曲もある。
ますます捨て置けない・・・。
こういうバンドを集中的に聴く時代は、個人的には6年くらい前に収束したけれど、残るものは残る。僕にとってモールスはそのひとつみたい。
ライブを観たいものだなあ・・・。