mukashi,mukashi,雲のうえで、メアリーを待っている:『キノコの合唱』読み始める、ペル・ユビュ『Cloudland』
雑用に追われ、自分の仕事ができずに終わる。その雑用の数々も、自分のペースでやれれば、「自分の仕事」なわけですが、そこまでいえないもどかしさが。
電車の中と昼休みは、アマゾンから取り寄せたHiromi Gotoの『キノコの合唱(Chorus of Mushrooms)』を読み始める。『崩壊ホームレス』は重いので、就寝前用なのだ(・・・誰に弁解しとるのか?)。
Chorus of Mushrooms (Nunatak Series)
- 作者: Hiromi Goto
- 出版社/メーカー: Newest Pr
- 発売日: 1996/03/01
- メディア: ペーパーバック
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帰宅後、先月購入していたペル・ユビュの1987年作『Cloudland』を聴く。
- アーティスト: Pere Ubu
- 出版社/メーカー: Universal UK
- 発売日: 2007/05/15
- メディア: CD
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- アーティスト: Pere Ubu
- 出版社/メーカー: Geffen Records
- 発売日: 1996/08/27
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1997年というのは、個人的な経験ではだんだんNYのアングラ・シーン(後に「グランジ」「オルタナ」という言葉に回収されてしまう前の)がおもしろいと思っていた時で、そのころリリースされた本作「Cloudland」は聴きのがしていたのだけれど、同時期リリースの『Tenement Year』は、そのポップさが自分にとっては半端なものに聴こえてしまったので、素通りしていた。
しかし、ペル・ユビュなのである。その何重にもひねくれた具合の絶妙さの、その実一本気なところなど、いきなり餓鬼に理解できる筈がない。
今日あらためて(いや、はじめて)聴く(向き合う)『Cloudland』のポップさを決して上手く表現することはできません。しかしあえて書いてみるとすれば、あまりに多くの表現欲を抱え込みながら「ポップス」であることを引き受ける姿勢が、ペル・ユビュを、デビッド・トーマスを、何よりも「ポップス」から超然と際立たせてしまうというパラドックス。その、「伝える/伝えない≠伝わる/伝わらない」の葛藤と逡巡と憤激を何千回も繰り返してきたバンドだからこそ持てるほとんど奇跡に近い強さが、やはりこの1987年の時点でのペル・ユビュにはあったのだと。
良くも悪くもデビッド・トーマスの歌、そして過剰なまでに演劇的な身振りがペル・ユビュの最大の個性でもあり障壁でもありますが、今はそのブライアン・ウィルソンにも似た「音楽への稚気」が素直に感じ取れます。いや、受け取らなければ。
最初期の「Final Solution」にしたところで、そのへんのパンクバンドがやれば、ユーモアを欠いてほとんどネオナチかぶれの「白人の餓鬼のブルーズ」(リディア・ランチ)でしかないが(太って禿げる前のピーター・マーフィーのヴァージョンが唯一ギリギリのライン)、トーマスの鬼気迫る異貌による飄けたパフォーマンスあってこそ、特異な音楽のメッセージになり得ていた筈なのだ。
こちらは収録の名曲「メアリーを待ちながら」の映像。昔デビッド・サンボーンがホストをやっていた『Night Music』でのライブ。ゲストがペル・ユビュはもちろん、フィリップ・グラスにデボラ・ハリーとはなんたる・・・
一日の終わりに聴く曲としては、悪くない。
そういえばメジャー進出したてのソニック・ユースも同番組に出演してイギー・ポップと「I Wanna Be Your Dog」を演奏して締めくくっていましたっけ。