冬のオーガスト:Sarah Jane Morris『August』
- アーティスト: Sarah Jane Morris
- 出版社/メーカー: Fallen Angel
- 発売日: 2012/08/28
- メディア: CD
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リボーのアコギの伴奏も、『Don't Blame Me』asin:B000009Q8T『Saints』asin:B00005NSQWラした前衛ジャズタッチが信じられないほど(だからこそ、か)繊細で穏やか、歌のあくまで付き添って雰囲気を作っている。
といっても、しっとりと聴かせるという風では案外なくて、「女トム・ウェイツ」といえそうなところをぎりぎり踏みとどまりつつ、しゃがれ声から感極まったような声、喜びに満ちた声まで、表現力の幅が広い、といえば陳腐だが。相当あくが強い声なのに、それでいて強弁めいた聴こえ方にならずに、豊かさになる。
たとえばジョニー・サンダースの「You Can't Put Your Arms Aroud A Memory」。ハートブレーカーズの「LAMF」とか「DTK」のステディなパンクロックの面が圧倒的に語られることが多かったけれど、時折聴かせるアコギ一本の歌は他とは隔絶とした寂しげなロマンティシズムがあった(アコギ一本の元祖宅録(?)『Hurt Me』も忘れられない)。サンダースのどん底のよれよれ状態から搾り出されたこのセンチメンタルなメロディーが、このアルバムでサラ・ジェーン・モリスに歌われ、マーク・リボーに伴奏されることで、なにかが成就したような気分にさせてくれる。このしんみりから一転して次のジャニス・ジョプリンの「Piece Of My Heart」は、レゲエ風の幾分コミカルなアレンジで、ジョプリンのブルースの絶頂感を確実に押さえながら、サラ・ジェーン・モリスの歌いまわしには見事な抑制を感じれる。
ジャケットやインナーのブックレットのモノクロ写真もなにやら「コーヒー&シガレッツ」といった風情で、真冬に聴いても乙なものかと。
- アーティスト: Johnny Thunders
- 出版社/メーカー: Sire / London/Rhino
- 発売日: 1992/07/14
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- アーティスト: Janis Joplin
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 1999/09/02
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身も蓋もないが、聴く方としては「うた」に関しては、別にその人のオリジナル作詞作曲である必要は全くない。「歌いっぷり」でうならせてくれれば、それでいい。それさえあれば十二分ですら、ある。